「風立ちぬ」を以って、長編アニメ映画は製作しないと宣言した宮崎駿さん、過去の彼の作品には、素晴らしいものが数多くあったと思います。かれこれ10本くらい製作したと記憶していますが、それらの作品群を見るに、いわゆる化け物――「もののけ」が絡む話が多くあったと考えます。
第一に、そのものずばり「もののけ姫」。色々な「もののけ」が登場して、その世界観には圧倒されたものです。古い順番に挙げてみると「風の谷のナウシカ」:これに出て来る腐海の主、王蟲(オウム)。「魔女の宅急便」:主人公は魔女、「となりのトトロ」:登場する森の精たち、「もののけ姫」:(上述)、「崖の上のポニョ」:人魚?「千と千尋の神隠し」:「もののけ」相手の銭湯、・・・などなど。
おむむね、宮崎さんのアニメ映画の約6割に「もののけ」が登場するようです。これは偶然のことでしょうか?・・・なんらかの、宮崎さんの内的事情があるのだと思います。でも、彼の心の中を覗くのは不可能ですから、これまでの日本人が「もののけ」を取り上げた事例を見ていきたいと思います。
まず、思いつくのは、江戸時代中期の国学者・戯作者の上田秋成。この人は、幼少のころ、大病をして、以後病弱になり、また「もののけ」ととっても近しい場所にいたのだと思います。「雨月物語」「春雨物語」でその想いの丈を開陳しているのですね。
また、江戸・明治期に跨って活躍した落語家・三遊亭圓朝(えんちょう)は、過去の物語、例えば中国の怪奇物語「剪燈新話:せんとうしんわ」から、「牡丹灯篭」をアレンジして名作に仕立て上げたり、また、「真景累ヶ淵」などを考案したりして、いわゆる「鳴り物入り」の落語を披露していました。
それから、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、ギリシャ系の外国人でしたが、日本の伝統文化に惹かれ、日本に帰化して、島根県あたりで人口に膾炙する「もののけ」話を集成して「怪談」を物したのですね。
妖怪マンガのジャンルを確立した水木しげるさんも忘れてはならない人物です。もし、水木さんがいなければ、「妖怪物」といった現代的なジャンルも生まれなかったかも知れません。
同じく、楳図かずおさんも、大きく寄与していますね。
他にもこのような「もののけ」話が好きな人物もいたかも知れませんが、私が押えられるのは、このくらいですかね。曲亭馬琴(滝沢馬琴)の「南総里見八犬伝」も、数え上げられるかもしれません。
さて、宮崎さんに話を戻すと、彼も「怪談」=「もののけ話」を若いころ、貪欲に吸収していたのかも知れません。そのような感性を持って、決して結末が「アン・ハッピーエンド」に終わらない話を紡いでこられたのかも知れません。だいたい、彼の作品は「ハッピーエンド」になっているようですね。おおむね子供向きのアニメだからでしょうか。
今日のひと言:結末が「アン・ハッピーエンド」に終わる話の代表格は、「雨月物語」の「吉備津の釜:きびつのかま」でしょう。極めて残酷で、恐ろしいお話です。
参考過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20120105#1325760340
以下は、宮崎駿さんに関連したやり取りです。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20160829#1472455394
C:こんにちは。
日本のフランス文学科ではその昔、毎年複数名がサン=テグジュペリで卒論を書いたほど人気があって、「サンテックス」と呼んでいました。墜落した飛行機や持ち物が見つかったのは20年くらい前でしょうか。大騒ぎでしたね、ファンの間では。
宮崎駿は大ファンだと公言していますが、私の中では二人はかぶります。飛行機少年というところ。iirei:
>Cさん
暑い中、訪問ありがとうございます。サン=テグジュペリはそれほど日本のフランス文学科で人気があったのですね。私の場合、フランス文学科に進めたら、最初はアナトール・フランスを、次にはポール・ヴァレリーを、最後にアルフレッド・ジャリを専攻したいと思っていましたので、方向性が違いました。でも、サン=テグジュペリもおおいに人気があった作家だったのですね。勉強になりました。宮崎駿さん、彼の2大テーマの一つが「飛翔」、おっしゃる通り、二人はかぶります。(もう一つが「救出」)、その意味では「天空の城ラピュタ」は両方兼ね備えていますね。
ちょっと補足しますと、宮崎さんはルパン3世のテレビ版(第1シリーズ)と、劇場版「カリオストロの城」で、女性を救出するルパンを描いています。
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今日の一品
@水菜と炒り卵の和え物
弟作。茹でた水菜と炒った卵を醤油、塩、ゴマ油で和えました。上品な味。
(2016.09.11)
@雲南百薬の酢の物
我が家の定番野菜。「岡わかめ」の別名もあり、酢の物が合うかと、作ってみました。茹でた後20分ほど晒してシュウ酸を除き、梅サワー漬け、醤油、ミョウガ、カツオ節で合わせました。
(2016.09.12)
@カレイとシラタキの煮物
魚と煮ると、魚が煮崩れしにくいというコンニャク。今回はシラタキを使って、カラスガレイを煮てみました。たしかに煮崩れしませんでした。なお、コンニャクと肉では、肉が硬くなるのでご注意を。
(2016.09.13)
@ナスとシーチキンの味噌煮
弟作。クックパッドでは、ナスとシーチキンの料理が結構あるらしいので、ナス、シーチキン、味噌、ヤマサの昆布汁、砂糖で煮ました。これが案外いけます。
(2016.09.14)
今日の詩
@animal affection (動物たちの友愛)
Windowsの壁紙に
友愛の感情を持った動物たちが登場する。
おおむね、同じ種類の動物たち。
これが14組ほどあって、
適宜入れ替わるのだ。(スライドショー)
白鳥の場合、しなった首でハートマークを作り
キスする姿が実に美しい。
動物の友愛の表現としては
キスという手段をとるのが多いように見えるが
それは人間に限らぬ友愛表現なのか?
(2016.09.15)