虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

ネガポ辞典(書評)〜物事の表裏

 これはよく知られたお話ですが、ウイスキーの瓶に中身の液体が半分になっていたとき、「ああ、もう半分しかない」と嘆くのが悲観主義者、「ああ、まだ半分ある」と喜ぶのが楽天主義者だと言うお話。このように、悲観的なものごと(ないし人)を、楽天的に読み替えようというのがこの本です。


 「ネガポ辞典  negapositen ネガティブな言葉をポジティブに変換」(ネガポ辞典製作委員会)が正式名称で、主婦の友社が出版元(本体価格1000円)です。私はこの本を新聞下欄の広告で目にしたのですが、こうありました・・・札幌の高校生が考案!ネガティブなフレーズもこう言いかえると丸く収まる、前向きになれる!・・・と。第1刷が2012.10.31発行で、2013.01.20に第3刷が出ています。売れているんですね。


 では、実際にこの本を紐解いて、ネガポの実例を見て行きましょう。ここで、ネガティブ(ネガ)とは否定的、悲観的といった意味、ポジティブ(ポジ)とは肯定的、楽観的といった意味です。

ネガポ辞典―ネガティブな言葉をポジティブに変換

ネガポ辞典―ネガティブな言葉をポジティブに変換

ネガ:存在感がない
ポジ:1)まわりに溶け込める
   2)縁の下の力持ち
   3)落ち着いている

最初のネガ・フレーズにだいたい3つの言い換え(ポジ・フレーズ)を対置するのがこの本の基本です。


ネガ:三日坊主
ポジ:1)3日間も集中して物事に取り組むことができる
   2)行動力がある
   3)切り替えが早い

  特に3)の言い換えが光っています。


ネガ:器用貧乏
ポジ:1)気がきく
   2)マルチな才能を持っている
   3)ありとあらゆる状況に対応できる


・・・こんな具合で、ネガティブな事象をポジティブに言いかえることにこの本は大体成功しています。ところが、以下に書くような事例もあります。


ネガ:臭い
ポジ:1)フェロモンがあふれ出ている
   2)刺激的
   3)スリルを求めている


ネガ:口元にたれ・青のり・ソース・パンくずなどの食べかすをつけている
ポジ:1)非常食を携えている(おなかがすいてもこの食べかすがあるから大丈夫)
   2)ゆかい
   3)恋人同士がラブラブタイムに突入するとっかかり


ネガ:引きこもり
ポジ:1)蝶になる前のさなぎ
   2)戦士の休息


あとから挙げた3つの例は、どうも、上手い言い換えになっていない気がします。とくに、「食べかす」の事例はフォローになっていないようです。「引きこもり」の場合、見方によっては上手い言い換えかも知れませんね。ただちょっと持ち上げすぎで、ニートの実態を考えればちょっとねえ、という感を持ちます。(でも、ある意味、とても「楽天的」なので、これはこれで良い言い換えであろう、と見解を訂正しておきます。)


今日のひと言:気楽に読めて、もしかしたら使えるかもしれない言い回しが多くあり、買わずとも、図書館あたりで借りるといい本かも知れません。易経的、陰陽的世界観の中では、「日向があれば」、必ず「日陰がある」・・・この真理を確認できるかも知れません。



今日の料理  春菊のシーザーサラダ・ドレッシング和え

 普通は鍋物に使う春菊を、和え物にしてみました。春菊を茹でて切り、シーザーサラダ・ドレッシングとスリ胡麻で和えました。なかなか好い出来。なお、春菊を野菜として食べるのは日本くらいであるとのこと。

 (2013.02.14)


今日の二句


高潔な
梅のつぼみか
春を告ぐ


早春に咲く梅の花言葉は「高潔」です。一輪一輪独立に咲く趣は、花言葉に「純潔」をもち、集団的に咲く桜と好一対です。私が見たのは盆栽の梅でしたが、十分梅の雰囲気を持っていました。
  (2013.02.14)



開発の
手先たるかな
ユンボめが


ユンボとはパワーショベルのこと。草地(空き地)があれば、住宅建設・販売会社が群がるのです。
  (2013.02.18)

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)

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できる大人のモノの言い方大全

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