フランスは、先進国のなかで唯一、合計特殊出生率が上昇している国ですが、それを維持するために、以前述べた「複合家族」の他にもう一つのテクニックをもっています。それがPACS。
複合家族:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20100630#1277856358
*合計特殊出生率でいうと、2010年の日本が1.39、フランスが2.00となっています。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1550.html より。
(このHPによると、韓国の落ち方が凄いこ
とが解ります。グラフもこのHPから。欧米先進国では子どもを持ちたい夫婦が多く、日本、韓国では子どもをあまりもちたくない夫婦が多いことも紹介されています。面白いHPです。)
wikipediaより民事連帯契約(みんじれんたいけいやく)とは、1999年にフランスの民法改正により認められることになった「同性または異性の成人2名による、共同生活を結ぶために締結される契約」である(フランス民法第515-1条)。
創案者は社会党所属のパトリック・ブローシュ国民議会議員。
通称PACS(パックス、仏:Pacte Civil de Solidarité)。連帯市民協約、市民連帯契約などと訳すこともある。
異性あるいは同性のカップルが、結婚より規則が緩く同棲よりも法的権利などをより享受できる、新しい家族組織を国家として容認する制度。1999年にフランスで制定されて以降、欧州各国に広まりつつある。
いわゆるホモ、レズも認めるという趣向です。
その具体的内容は
民事連帯契約(通称PACS)とは、共同生活を営むカップル(内縁者)を対象とし、同性カップル、異性カップルを問わず、法的婚姻関係になるカップルと同等の権利を認め公証する制度。連帯市民協約(れんたいしみんきょうやく)、市民連帯協定(しみんれんたいきょうてい)ともいう。
当事者自身が相互の権利と義務の関係を決め契約内容にした契約書を自由に作成し、それを裁判所に提出して公証してもらう。 契約破棄(離婚に相当)は、両者の同意は不要で一方からの通告のみでよいことになっている。
もともとフランスでは、婚姻や離婚に関する法律的な条件が日本などに比較すると厳しい(例えば、日本なら可能な協議離婚ができない。相続法の関係で、事実婚は内縁関係でなく「事業契約」と同等と見なされるため、パートナーの一方が死亡した場合、残された相手の生活に必要な財産が保護されない、など)。そこで、このような制度が要請されたと思われる。
そのため、同性愛者のカップルだけでなく、同棲はしていても何らかの理由で結婚できない・したくない異性愛のカップルが、同性カップルと同様、PACSを利用する。近年では、同性カップルよりも異性カップルのPACS締結数の方が格段に多くなっている。
具体的には、パートナー間の相続権や相続税の税制優遇が認められているが、カップルには子の養子縁組は認められていない(ただし、15歳以上の年齢差を条件に、カップルの片方のみとの関係であれば養子縁組は可能)。相続権、養子縁組をともに認めていないとの見解も存在する。ちなみに、フランスでは嫡出子と非嫡出子の区別は廃止されている。
初年度(1999年)は、6,151件であったが、2007年に10万件を超え、2008年には14万6千件に達した(同年の婚姻件数は27万3500件であった。
初年度から2008年度までに締結された協約は約53万件であるが、そのうち8万件以上が解消された。
初年度は締結された協約の約4割が同性間のものであったが、 最近は1割を切っている。
これもwikipediaより。
正式な結婚には規範が多すぎるし、同棲では社会的権利が乏しいようなカップルでも「気楽に」準・結婚生活を送れるという制度です。
でも、フランスはカトリックの国、おいそれと宗教関係者が認めなかっただろうと思われますが、それを実現しちゃうところに性・先進国、フランスの面目躍如さが伺えます。まあ、社会党という左よりな勢力が作り上げたという訳ですね。
別のHPには以下のように記述されています。
http://www.pot.co.jp/oikenparis/pacs.html より。「同性カップルの権利を保障する制度の確立」をマニフェスト(政権公約)に銘記した社会党が1997年6月の下院選に大勝すると、同党リーダーのリオネル=ジョスパン氏を首相とする左派連立内閣が発足した。そして、1998年に同性愛者の人権問題に精通している社会党のパトリック=ブローシュ下院議員にジョスパン首相はパクス法の創案を指示する。
できあがった同法案は右派の猛烈な抵抗があり、下院議会で一端は否決されたものの、120時間も審議した末に、1999年10月13日に下院で、賛成315票、反対249票で成立した。
同法の条文を作成したブローシュ下院議員は、2006年3月、記者(及川)に対してその意義を次のように語った。
「パクスによって民法で初めて同性カップルの権利を認められました。『同性愛』がタブーでなくなったのも、パクスのお陰です。パクス以前は、同性愛という言葉を発するのさえ嫌がるような人々もいました。パクスが国民的な議論になり、同性愛の問題が自由に議論されるようになりました。『私たちはパクスする』という単語が日常用語として定着し、テレビの番組や映画のセリフで当たり前のように使われています。
また、パクス以降、同性カップルは自分たちの性的指向を隠さずにすむようになり、道で手をつないで歩くというようなことも当たり前になりました。同性愛者であることを両親や友人に公言できるようになったということは、解放と認知という効果があったことを示します。これまで差別され、戦時中には迫害さえされてきた人々が、パクスによって人間としての尊厳を取り戻すことができたのです」
今日のひと言:さすが、自由・平等・博愛のフランスですね。見事であり、他に褒め言葉がみつかりません。なにしろ、先進国で、唯一、合計特殊出生率が高いのですから。諸法体系の設定によって、子どもにとっても、幾分か暮らしやすい環境を整備したのだと言えます。
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今日の一句
クレッソン
けなげに生える
プランター
私は川から採ってきたクレソン(クレッソン)をプランターで栽培していますが、生育は野生のものほど良くないようです。同類のワサビの場合、他の植物を駆逐するアレロパシー物質を排出していますが、その毒は自分にも効くそうなので、流水の中でその毒素を流しながら育てるのがよいようですね。クレッソンもそうなのかも知れません。
(2012.05.10)