虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

オキシトシン・・・親しさへの誘導

(化学物質特集その2)


イヌと戯れている際、その「ウルウルした」目に見つめられ、「ジワァ」と言った、なんとも言えない幸福感をもらっているあなた、そのメカニズムに迫る発見がありました。


 先日の某地方新聞の記事に、面白いものがありました。夢の新物質!!例えば、飼い犬に見つめられると、飼い主の体内にこのホルモンが分泌され、「信頼感やきずな」が強まる、というのです。確かに、イヌの目はつぶらで可愛いいですね。それならネコの場合はどうなのか、気になるところです。ネコの目って、結構コワイですからねえ。


 このオキシトシンは、本来女性ホルモンですが、このような「好ましい」「副作用」をも持っているのですね。だれにとって「好ましい」かはともかく。
使用例としては、投資ゲームをする人たちの鼻にオキシトシンを噴霧すると、相手を信頼してより高い投資をするようになった事例があるとのこと。(←これは、むしろフェロモンのような使い方ですね。:体内で有効なのがホルモン、個体の間で有効なのがフェロモンでした。)


この知見、良いようにも悪いようにも使えそうですね。(悪い意味のほうが多いと思いますが。例えばこのオキシトシンで信頼感を起こさせ、詐欺にかけるとか。資本主義の悪い側面を演出しそうです。)


(なお、「オキシトシン」って、なんだか「オキシトキシン」というように読めます。「トキシン」は「毒」という意味なので印象が悪いのですね。たとえばフグ毒は「テトロドトキシン」、カビ毒は「アフラトキシン」、生のウナギやアナゴの血液に含まれるのは「イクシオトキシン/イクチオトキシン」などなど。)


発表したのは麻布大学自治医科大学麻布大学とは、麻布獣医大学の後身でしょうか。


以下「はてなキーワード」より引用。

【oxytocin】脳下垂体後葉ホルモンの一種。生物有機化学的にはペプチドホルモンに分類される。子宮筋に収縮を起こさせ、分娩を促すほか、乳腺の平滑筋を収縮させて乳汁の分泌を促す。哺乳類に広く分布。子宮収縮ホルモン。
長年連れ添った夫や妻,あるいは親しい関係にある者と接するときに盛んに分泌されるホルモン。互いの結びつきを長くする作用がある。


今日のひと言:現代の科学の能力を使えば、目当ての物質がなんであるか、調査も分析も合成も応用も可能でしょうね。でもそれが良いことか悪いことかが、決められないのですね。資本主義下では、「ああ、役に立つ物質が発見できた」、と喜んで、盛んに使用されるようになるのでしょうね。

必要以上に「親しさ」を演出するのもいかがなものか、と思うのです。悪用されるのがオチだと思います。私は資本主義の倫理に反対する者です。

オキシトシン―私たちのからだがつくる安らぎの物質

オキシトシン―私たちのからだがつくる安らぎの物質

男と女はなぜ惹きあうのか―「フェロモン」学入門 (中公新書ラクレ)

男と女はなぜ惹きあうのか―「フェロモン」学入門 (中公新書ラクレ)