虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

女の子はマニュアル好き↑?――Cazの記事

iirei2006-10-05

 *女の子はマニュアル好き↑?――Cazの記事
   女性雑誌特集 その1
 右のイラストは、驚くべきものです。男性を大きく2分して、MeタイプとWeタイプに分けています。外見から男性を2分するのです。特に目につくのは「体の重心の左右」、「髪の分け目の左右」「手を組んだときの左右どちらの親指が上にくるか」などでチェックすることです。そして、そのように判別した2タイプ別に、男性を恋人にする「攻略法」を伝授しています。見事にマニュアル化されています。以上の驚くべき判別法を説くのは、セラピストという肩書きをもつ石井裕之氏。このような論理は、一体どこから出てくるのでしょうか?私は寡聞にして、医学的にも、心理学的にも、このような学説は聞いたことがありません。仮に、男性がシンメトリー(左右対称)であるとか、五分刈り、モヒカン、チョンマゲ、辮髪などの髪型だったなら、判別不能になりますね。まあ、物理学や化学の範囲でなら、右・左が重要な考察対象になることはありますがね。ノーベル化学賞受賞の野依良治博士は、右・左の区別のある光学異性体の作りわけの研究で賞をもらいました。うーーん、石井氏は、男性の外見に、量子力学を適用しているのでしょうか?
 このような驚異的なマニュアルにあふれているのが、Caz(キャズ)。2006年7月10日号(扶桑社)。この本を読む女性がそのまま記事を鵜呑みにするのかは不明です。もしかしたら読みたいところだけ拾って読んでいるのかも知れません。テーマも多岐に渡り、「干物女度チェック」、「イヤらしくない肌見せスタイル術」、「血液型」、「花魁(おいらん)セックスの秘技」、「ランジェリー」、「恋に勝つ風水」などなど、ほとんど全てマニュアルとなっています。うーーん、Cazの読者に限っては、マニュアル好きであると言えるでしょうね。
 マニュアル化するという編集方針は、手っ取り速く役立つ情報を欲しいようなタイプの女の子には受け入れやすいようです。まあ、何かをやろうとしているのですから、彼女の意欲は買える一面もあります。
 でも、「ロハスサイパン、大人のハイダウェイ」という記事には違和感を覚えました。「ロハス」というアメリカ生まれのこの言葉は、「自然と折れ合い、持続可能な生活を目指す」という意味でしたが、この記事の中では、リゾート地に行って、健康体操(ヨガ)を満喫する、といった意味に矮小化されています。それは、その女の子本人の個人的、心理的、フィジカル的な満足になるだけで、飛行機を飛ばして大気汚染したり、リゾート地の環境を汚したりする側面をもってみれば、とても「ロハス」とは言えないでしょう。この現象は、出版社と旅行社が結託して、言葉の意味をゆがめて読者に伝え、固定化する、ということであると理解されます。
 マニュアルを求めるがゆえに、企業戦略に掠め取られる女の子の姿が浮かび上がってきますね。もっと、自前の情報収集をして欲しいものです。
 次回は、ほかの複数の女性誌のありかたも検討してみます。

今日のひと言:Cazは、インターネット・カフェの「お持ち帰り御自由に、コーナー」から拾ってきました。私の得意技でーーす。