虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

日本の人口は減るのに家が増えるのは何故か?

iirei2006-09-05

 *日本の人口は減るのに家が増えるのは何故か?
    野草シリーズ その0
   (5回に渡る野草特集です。なにぶん大方の人には地味なテーマなので、アップの間隔を短くします。今回はプロローグです。)
 水路の付け替え後の道路と密集した分譲住宅・ほとんど長屋。 →
 この問いに答えるのは簡単で、施主の若い夫婦がその父母との同居を嫌い、「核家族」として家を建てるからです。
 そのための用地としては税金が払えないなどの原因で農家から取り上げられた「農地」があてられます。
さて、そこで「みどり」を欲しいという欲求にかられた主婦がするのが「ガーデニング」です。彼女らはたいてい園芸の初心者であろうと思われます。やれ「ベゴニア」だの、やれ「ゴールド・クレスト」だのを嬉々として世話するのです。このような光景は、日本各地で見られるでしょう。
 それまでの農地にはいろいろな可能性があったのに、宅地にしてしまうと、「宅地という使用法しかなくなります。」ハーブなどの実用的な「みどり」という選択枝もあるにはあります(キッチン・ガーデン)が、たいていの主婦が栽培するのは「目を楽しませるための」鑑賞用植物です。
 なんらかのショック、例えば恐慌、飢饉――を受けたとき、これらの家屋に住む人たちは何が出来るでしょうか――絶望的です。本来、人間と植物の関係は、「見る・見られる」というレベルのものではなく、「食べる・食べられる」というものだったはずです。「食べる」みどりを排除して、「見る」みどりを育てるというのは、本末転倒だとは思いませんか?
 さらに、核家族を志向して新築が続けば、農地だけでなく空き地もなくなっていきます。野菜にせよ野草にせよ、命をつなぐ糧としての「みどり」となりうるものですが、宅地に変えてしまうだけで、その貴重な糧は消滅してしまいます。そのような危機感があって、私は最近「野草を食べる・滋味(JIMI)!!」という本を上梓しました。蔑まれる野草の価値に目を向けて欲しくて書いたのです。30種類くらいの野草の特徴、調理法などを書き綴った本です。変わったところでは、ツユクサヤブガラシ、クズなども紹介しています。興味ある方はメールを下さい。(プロフィール参照。)
 若い人たちよ、親と同居する「パラサイト・ダブル」(夫婦で両親と同居する生き方)を目指しましょう。パラサイト・シングルではなくね。三世代同居家族ですね。それだけで環境問題は大部分解決するでしょう。環境破壊をした上に、何十年の住宅ローンを払うなんて、馬鹿げたことだと私は思いますが。
 土木・建設業界は、「命をつなぐ糧」を消滅させるのが、その仕事の中身なのですよ。こんな話があります。春先にはセリが収穫できる自然に近い形の水路がありましたが、そこを新しい分譲住宅団地へのアクセス道路にしてしまい、そのかわりにコンクリート製の水路を作りました。水路という意味では変わりませんし、施行業者と農家の間には問題が起きないでしょうが、「セリが摘める」という機能は完全になくなってしまったわけです。このように、単一目的に施設の用途を限定し、外の機能は切り捨てる、というのが典型的な土木・建設業界のものの考え方なのです。
 なお、建設・都市計画に関して参考になるブログがあります。「あさみ新聞」
  http://www.e-asami.com/

「悪い景観」と専門家12人の集団が認定した事例について反論を試みています。森下のブログでも、「美しい景観とは」(http://d.hatena.ne.jp/iirei/20060708 )で「あさみ新聞」に言及しています。浅見さんなら、上掲の写真についてどうお考えになるでしょうか。





今日のひと言:有限な日本の国土、有効に使いましょうね。