虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「野草を食べる・滋味(JIMI)!!」の記述から その1

iirei2006-09-09

 *「野草を食べる・滋味(JIMI)!!」の記述から  その1
    野草特集 その1
(5回に渡る野草特集です。なにぶん大方の人には地味なテーマなので、アップの間隔を短くします。2回目。)   クコ→


まえがきです。(前書き  1ページ)
「野草を食べる」という行為には、2つの側面があります。「楽しさ」と「厳しさ」です。日頃、気にもとめない野草に望外の美味しさを発見するのは「楽しさ」の側面です。この本では、もちろんその点を追求していきますが、ここではもうひとつの側面「厳しさ」について書こうと思います。
私は学生時代、自然食系のグループに属する八百屋でアルバイトをしていました。そのグループには月刊の機関紙があり、その記事の中に、以下の話がありました。:「大変な天候不順で、通常の野菜がろくに収穫できなかったのです。そのあわれな畑を見渡したところ、わずかに「ハコベ」が生えていました。しかたなく「ハコベ」を摘んで持ち帰り調理して食べたところ、思いがけない「滋味」に感動しました。」
この話には、多くの教訓が含まれていると思います。現代人の心の中の、「食べられる植物」に対する意識は、3段階に分かれると思います。
その①・・・野菜は、スーパーで買うものである。(見栄えが大事)
その②・・・野菜は、畑で作るものである。(野草はジャマもの)
その③・・・野草は、栄養もあり、重要な植物である。

先の回想を書いた人は、③の認識に達していると言っていいでしょう。でも、大抵の人は①の段階を出ず、仮に日本がハイパー・インフレになったとしたら、ダイコン1本が、1万円出しても買えないという事態に直面し、もう、どうしようもなくなることでしょう。かと言って、大きな天候不順に遭遇すれば、②の段階の人も、なす術をなくします。その時節にもあわてなくて済む人は、③の段階の人だけです。多くの人に蔑まれる野草には、野菜では対抗できない事態にも対処できるほどの適応能力があるのです。飢饉と言える事態は、国際貿易がグローバル化した現代では起こりにくいのも事実ですが、ミニ飢饉なら起こりえるでしょうし、日本の円がハイパー・インフレで紙切れになれば、野菜などの食糧の購入さえ危なくなるとは思いませんか?そんなとき、力になってくれるのが野草です。以上が、野草食にまつわる「厳しさ」のお話です。
このように、「野草を食べる」という行為の「厳しさ」も思い浮べながら、この本を読んで頂ければ幸いです。

 **野草を採取する場合、その場所で除草剤が使われていたかどうかは念入りに確認する必要があります。気の抜けたように野草が枯れていると、そこで農薬が散布されたのが解ります。その土地の所有者が除草剤を撒く人か否かをよく頭に叩き込んでおきましょう。


    (16ページ)
クコ(枸杞)・(木本植物・ナス科)  **食用、薬用 春、秋
ナス科植物には、葉が食用になる種類はほとんどないですし、木本になるものも珍しいです。(ナスは、原産地インドでは多年草になるそうですが・・・)クコは、その珍しいナス科植物です。さらに、季節ごとに葉、花、実、根のうちどれかが食用、薬用に利用できるお徳なスグレ者と言えるでしょう。漢方医学でも高級品のランクに分類されています。(特に実と根の皮(地骨皮))毒のないナス科植物というのもユニークです。
 河原などの地下水位が高く、日当たりのいい場所に群生します。一本一本は枝分かれせず真っ直ぐ伸び、そんな木が叢生します。互生する葉は若い時期は鮮やかな薄緑ですが、次第に濃い緑色になります。また夏季はウドンコ病にかかるようでシロカビが生えたようになり、この時期の葉は収穫できません。秋に再生して、また薄緑になり収穫できます。夏の花は、紫色でナスの花を小型にしたような花です。そして晩秋、トマトを小型にしたようなラグビーボール状の赤い実が成ります。大きさはレーズン程度です。
(調理法)
① クコの葉の卵とじ  柔らかい枝ごと摘み、適当に刻んで、砂糖を適量混ぜた麺類のつけ汁を熱した中で30秒ほど茹で、とき卵を流しいれます。味はツクシでつくる卵とじに似ていますが、料理できる期間が長いです。野草の野趣が満喫できます。
② クコ飯   クコの葉はあらかじめ軽く湯がいて、塩をまぶしておきます。これを炊き上がったご飯に混ぜて食べます。ただ、色が黒くなりやすいので、美的ではないのがうらみです。
③ クコの実  自然にあるものが入手できない場合、乾燥品が漢方薬局などで入手できます。お湯で戻して使いますが、赤い彩りを料理のアクセントとして、炒め物、和え物などに重宝します。クコの実は、スパイスとして扱われることがあります。



**「野草を食べる・滋味(JIMI)!!」は、ともすれば雑草とされて蔑まれ駆除されてしまうが、食用にすると、思いがけなくも美味しい野草を30種ほど取り上げ、特徴と調理法を解説した、私の近著です。2006年7月7日発行。毒草とか無用の草なども取り上げており、適宜「耳よりコーナー」として面白いトピックスも掲載しています。野草入門書としてまずまずの出来だと自負しています。


今日の一言:9月4日、ホリエモンの初公判が開かれ、彼はスーツ姿で現れた。これは珍しい!そこでグーグルを使い「ホリエモン スーツ」のダブル・キーワードで言及数の推移を追ってみた。4日午後6時:27万件  だんだん上昇し、6日午後7時20分:34万件を記録した。以後次第に下降し、7日午後7時20分:33.3万件あたりで落ち着く。2日で7万件も増えるとは、さすがホリエモンだが、3日間で下降した。ブロガーの関心を保ち続けるのは、彼でも難しいようだ。