愛校心・愛郷心・愛国心:世の乱れの元(随想録―41)
どんな人にもたぶん「母校」と言えるものがあるでしょう。英語でalma mater (アルマ・マター)と言います。「母なる」という意味を含むので、この感じはもしかして万国共通のものであるかも知れません。なお、この言葉には「校歌」という意味もあるようです。
私は幼馴染(おさななじみ)に、私が東京大学に現役で入学して、彼が翌年一浪して立教大学に入学してから、1年ぶりくらいに再会しました。その際、彼は東京六大学野球のファンになっており、私にも、試合の観戦を勧めましたが、私はどうにも興味が抱けず、その話はそれっきりになりました。
私にとって、東大野球部は「物好き」な組織であり、それが東大を代表するものだとは意識の外でしたし、校歌のような「恥ずかしい」楽曲を、当該大学の応援者がそろって歌うという図を思い描くだけで恥ずかしいと思っていたのですね。そうゆうワケだからかは解りませんが大学の同窓会には、一度も出席していません。学友にも特に会いたいとも思いませんです、はい。
学年の枠を外した高校の同窓会に一度出席しました。私の感想は・・・ひと言「愚劣」の一語に尽きます。話題が限定されすぎていましたね。参加者、口を開けば「中性脂肪が、云々」「ゴルフのスコアが○○を切った、切らない」・・・私が通った高校は、群馬県で有数の進学校でしたが、こんな白痴的な会話が通用するほど生ぬるいのです。このような「優れた」人材が、この地方都市の要となり、動かしているわけです。(私としては、宴半ばで中座する以外の選択肢はありませんでした。)
愚劣になることの多い「愛校心」、拡張すれば「愛郷心」につながるのでしょう。私の住む地方都市でも、高校の同窓会の出席メンバーが「有機的に」つながりながら、市の運営のあちこちで働いているのでしょう。「中性脂肪」を養い、「ゴルフ」でそれを燃焼し・・・これが愛郷心の基なのかもと思います。つまり、太った体から脂肪を燃やす社会的運動をしているということですね。
ここまで来れば、「愛国心」に至るのも僅かな距離です。たしかアメリカの作家:アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞書』に「愛国心=無頼な者の最後の隠れ家」といった記述があったと記憶していますが、他人から強制された愛国心は、危険な心理です。特に日本人のように空気を読む民族の場合、強制されたとも思わずに、「一同」、「雪崩を打って」、一つの方向に殺到する事態があること、関東大震災での朝鮮人の虐殺、太平洋戦争などで顕現しました。でも、流されやすい、反省しない国民性は、押し付けられた「愛国心」になんの疑問も持たないでしょう。
ところで、理不尽なロシアの侵略に決して屈服しないウクライナ。もちろん愛国心から戦っているのでしょうが、日本人の持つ「愛国心」と、果たして同じものなのでしょうか?一言で言い表せません。
今日の戯言
安倍晋三にふさわしい書:『或る阿呆の一生』(芥川龍之介:著)
この男、そのうち第3回目の総理大臣に成りたかったそうだぞ。まさにやりたい放題出来ただろう。でも暗殺されて、その脅威はかろうじて去った。
(2022.09.20)
今日の6句
供養塔
この場で横死
おびただし
((2022.08.07)
ツユクサの
青き花みて
安堵せり
(2022.08.04)
センダンの
球状の種
むしろ良し
邪魔な草でしかないのですが。美しいとも言える。
(2022.08.10)
食用の
スベリヒユなり
展開す
(2022.08.04)
毒草の
コニシキソウや
展開す
(2022.08.16)
地に落ちた
ノウゼンカズラや
されど咲く
このつる草は、高い木に巻き付いてのびるのですが、ここでは地を這っています。
(2022.08.12)