虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

射精のようなエンディングの音楽:将棋的か囲碁的か。

 以前、確か阿刀田高(あとうだ・たかし)さんのエッセイで読んだ記憶があるのですが、ゲームの将棋と囲碁の違いを男女のオルガスムスに関連して書いてあったと思います。将棋というゲームは、終盤に差し掛かるとともに、煮つまっていき、急速に詰められ、あっと言う間に勝負が決します。


また、囲碁というゲームは、局部・局部で離散的に局面が総合され、スピード感と切迫感が将棋より少なく終了します。この2つのゲーム、将棋は男性のオルガスムス射精)、囲碁は女性のオルガスムス(射精に対応する言葉が見つかりませんが)の有様に比せられるという趣旨のエッセイでした。


以上の見方を音楽(主としてクラシック)に適用してみましょう。「将棋にあたる音楽」の例示です。


 まず、真っ先に浮かぶのはビゼーの「アルルの女・第二組曲」終楽章のファランドールです。



この曲の粗筋は(wiki)より


南フランス豪農の息子フレデリは、アルルの闘牛場で見かけた女性に心を奪われてしまった。フレデリにはヴィヴェットという許嫁がいるが、彼女の献身的な愛もフレデリを正気に戻すことはできない。日に日に衰えていく息子を見て、フレデリの母はアルルの女との結婚を許そうとする。それを伝え聞いたヴィヴェットがフレデリの幸せのためならと、身を退くことをフレデリの母に伝える。ヴィヴェットの真心を知ったフレデリは、アルルの女を忘れてヴィヴェットと結婚することを決意する。2人の結婚式の夜、牧童頭のミティフィオが現れて、今夜アルルの女と駆け落ちすることを伝える。物陰からそれを聞いたフレデリは嫉妬に狂い、祝いの踊りファランドールがにぎやかに踊られる中、機織り小屋の階上から身をおどらせて自ら命を絶つ。


劇の結末も急展開で、「射精」みたいです。


 つぎに、ラフマニノフピアノ協奏曲第2番、第3楽章(終楽章)。



 この曲は、ラフマニノフを代表する名曲で、どこかで聞いたことのある人もいるかも知れません。wikiから。

作曲時期は、1900年秋から1901年4月。第2楽章と第3楽章が1900年12月2日に初演された後、全曲初演は1901年10月27日に、ソリストに再び作曲者を、指揮者には従兄アレクサンドル・ジロティを迎えて行われた。その屈指の美しさによって、協奏曲作家としての名声を打ち立てたラフマニノフ出世作である。発表以来、あらゆる時代を通じて常に最も人気のあるピアノ協奏曲のひとつであり、ロシアのロマン派音楽を代表する曲の一つに数えられている。

私が引用してきたテイクは案外おとなしい演奏になっていますが、この終楽章も、「射精」をイメージする曲になっていると思います。


最後に、囲碁的で、やや女性的な結末(オルガスムス)を感じる曲を一つ。フォーレシシリエンヌ


この曲は、ある機会に作った曲を、「ペレアスとメリザンド組曲」に加えてセットにしたものです。フォーレの極めて情緒的な一面を垣間見ることができる名曲です。



今日のひと言:崇高な音楽を、射精するとかしないとかに還元しちゃうのもどうか、と思う自分もいますが、やっても構わないのではないか、と思う自分もいます。ままよ、という感じですね。女性の訪問者の方々、大目に見てやって下さい。



新約聖書を知っていますか (新潮文庫)

新約聖書を知っていますか (新潮文庫)

楽しい古事記 (角川文庫)

楽しい古事記 (角川文庫)

ビゼー:「カルメン」第1組曲、「アルルの女」第1組曲&第2組曲

ビゼー:「カルメン」第1組曲、「アルルの女」第1組曲&第2組曲

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2・3番

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2・3番

フォーレ: レクィエム ペレアスとメリザンド、他

フォーレ: レクィエム ペレアスとメリザンド、他






今日の一品



手羽元のケチャップ煮



弟作。手羽元に小麦粉をまぶし、炒め、水、ケチャップ、鶏ガラスープ、塩、激辛唐辛子で煮ました。手羽元は、骨付きで味が良い上、結構分量があるのが得点高いです。

 (2017.07.11)



@カルビ肉のエバラ焼肉のタレ+ヨーグルト炒め



弟作。焼肉のタレとヨーグルトに2、3時間漬けたあと、フライパンで炒めました。もうすこし季節が進んだら、育てているエゴマの葉も収穫でき、肉を巻いて食べられます。

 (2017.07.13)



@キュウリのQちゃん漬け



ここ数年、作っていなくて、6本入り100円の廉価で買ってきたキュウリ、そのうち2本は塩もみ、4本でこの料理を作りました。鍋に水、醤油、昆布だしを入れて切ったキュウリを投入し、最後に梅サワー漬けを足して4、5分加熱、火を止め、冷めるまで放置して容器に取りました。こんなレシピで良かったのか疑わしかったですが、美味しくできました。

 (2017.07.13)



コールラビの炒めもの



コールとはドイツ語でキャベツのこと(ラビは蕪のこと)、アブラナ科、キャベツの仲間で、根の直上の茎が肥大します。この部分を、蕪のように食べると良いのですね。今回は、植木鉢で一株栽培したのを、食べてみたわけです。ピーラーで皮を剥き、銀杏切にしたのを、オリーブオイル、エバラ浅漬けの素、オレガノで炒めました。美味。

 (2017.07.17)





今日の詩


@文科系と理科系


私は工学部出身の理科系、
弟は経済学部出身の文科系。


でも、そのレッテルが一概に
体を表しているかは不明だ。


縦に閉まる窓を半開きにしたかった時
私は打つ手なしだったが、


弟はジャムの空き瓶を間に挟み込み、
見事にミッションを果たした。


実務的能力では、
私は弟に劣る。どっちが理科系だ?


上総堀りという井戸掘り技術がある
昔、上智大学の学生たちが


東南アジアにこの技術を伝える会をやっていた
理科系の友人(早稲田大学・化学科)が参加していたが


余りの精神論に閉口したという。それでも、
事物を客観的に捉える人も必要だとし、


会に出席し続けたという。
かほどに文科系と理科系は違うのだ。

 (2017.07.15)





今日の一句


飲まばやな
稲葉に宿る
朝の露



朝の一時期、稲葉に宿る小さな宝石。これを集めて飲んだら、美味しいでしょうね。
私のデジカメでは、現状、よく撮影出来ませんでした。残念。

 (2017.07.12)