拙著「野草を食べる・滋味(JIMI)!!」の記述から:クワ(桑)
表題のような本を書いたことがあります。その中から、クワの項目。
クワ:桑:マルベリー (木本植物・クワ科) **薬用、食用 春から秋
私の住む群馬県でも、クワの木はあまり見かけなくなってしまいました。養蚕の衰退がもちろんその理由で、淋しい限りです。これほど有用な植物もそんなにないのに。
クワだけがDNJ(デオキシノジリマイシン)という成分を含み、カイコ以外の昆虫には毒として働いたのだそうです。クワをちぎったときに出る乳液に含まれるのですが、DNJは糖尿病の抑制に効果があるとのこと。(http://www.getwell.co.jp/dnj.htm)
クワの実(ドドメ)を未熟果のうちに摘み、乾燥保存したものはカキ、クリと並び、救荒植物として重要なものだったそうです。
なお、皮は和紙の材料、幹は優れた炭、根は漢方薬(桑白皮:そうはくひ)に出来ます。捨てるところがありません。ちなみに、コウゾやアサもクワ科の植物で、いずれも和紙の原料になります。
食用としては、まだ薄緑色の葉を摘んでくる。晩秋から冬以外の時期であれば、採取できます。
調理法−1)クワ葉茶。陰干しにする。(動脈硬化、高血圧症に効果あり、とのこと:薬草カラー図鑑:講談社)
−2)オヒタシ 少々ごわごわしているので、よく茹でる。
−3)ゴマあえ。
―4)テンプラ これは癖がなく非常に美味しい。コロモをつけてさっと揚げます。(素揚げでも良い・天女の羽衣:筆者注)
桑の字は、木に3つの手という会意文字です。葉をたくさん摘み取るという意味があるようです。
・・・以上が本のクワに関する記述です。クワという木の実力の程が解ろうというものです。このブログを書こうと思ったのは、2017年3月3日の東京新聞の記事で、「捨てる桑の枝 和紙に再生」というのを見たからです。群馬県富岡市の養蚕農家たちから、それまで廃物としていた桑の枝を、どうにか利用できないか、との相談を受けた埼玉県の東秩父村などの世界無形文化遺産の「細川紙」の担い手が和紙にできることを明言し、実際に桑の皮の繊維で和紙を漉くことが出来たというわけです。
私も一時期紙漉きをやっていて、コウゾ、ミツマタなどの紙漉き正規の材料だけでなく、ケナフなども試してみました。クワも試したことがあります。クワの繊維は、同じクワ科のコウゾと違い、繊維の節々にオレンジ色のでっぱりがあり、紙にするにはやや難あり、という感じでしたね。でも、専門の紙漉き屋さんにとっては扱いやすいものかも知れなかったですね。
そんなわけで、桑という植物は、まさしく神が人間のために創造してくれた植物と言ってもよいかも知れません。でも、我々は一面的な目で動植物を裁断し、一つの用途のみに目を奪われ、他の用途に考えおよばないのかも知れません。もちろん、その動植物がどんな意味でも無用であるなら、利用せずにほっぽいておいたら良いのかも知れません。いつかは利用価値が出来るかも知れませんし、そうせずともなんらの価値もないことが価値あることです。(中国の哲学者:荘子が言いそうです。)
今日のひと言:クワといえば、ドドメ(mulberry )という漿果が有名ですね。むかし東京の西部に住んでいた私は玉川上水の川沿いの桑の木のドドメを集め、発酵させて醸造酒を作ったことがあります。手前味噌?・・・美味しかったです。

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今日の一品
エノキダケと小松菜を、オイスターソース+醤油で炒めました。簡単ですが美味しいです。
なお、エノキダケは、キノコ中、もっとも鉄分が多く、貧血気味の人に良いですね。
(2017.06.17)
@タンジー入り卵焼き
西欧では伝統的なハーブの一つでしたが、毒成分(ピロリジジンアルカロイド)を含むというので余りつかわれなくなりました。でもそのセージに似た風味は捨てがたく、たまに卵焼きにしています。
関連過去ログ http://d.hatena.ne.jp/iirei/20110326#1301137436
:有毒なハーブとの付き合いかた
(2016.06.17)
@ラム肉のトマト煮
弟作。薄切りのラム肉を、トマト2個とトマトケチャップを加え、ラム肉を煮、塩、コショウ、オレガノを足して仕上げました。酸味が効いて、美味しいです。
(2017.06.18)
クサギ(臭木)は葉が食べられる香木。花と実は茶花にするほど優美です。この植物は摘んできたあと、お湯で茹で冷まし、水を何回か取りかえて一晩置きます。刻んでごま油、醤油、砂糖、クコの実、油揚で炒め、仕上げにパクチー(コリアンダー)を加えます。
参考過去ログ:
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140509#1399577737
(2017.06.18)
@サクランボ
山形県寒河江のサクランボ「小さな恋人」。酸味と甘味が程よく美味しい。種をホイワイトリカーに漬けて数年置けば、なかなか美味しいリキュールになります。
(2017.06.19)
今日の詩
@メイド(maid)
電車の車中でメイド姿の女の子を見つけた。
私は秋葉原に行ったことがないので
実物には初めてお目に掛る。
服には黒をふちどる白いフリル
白いパンストとハイヒール
頭はと言うと金色のアクセントある髪飾り。
こちら北関東、メイドには縁がない
でもどこで働いているのか気にはなる。
彼女は更衣もせずに
店に入ってそのまま
「お帰りなさいませ、ご主人様」
と愛想を振りまくのだろうか?
(2017.06.17)
今日の二句
琵琶(ビワ)の実の
高架より見ゆ
はしゃぎけり
電車の車窓から。この時期、オレンジ色に輝けるビワの実。
(2017.06.17)
水引きて
蛭(ヒル)がうねうね
田んぼかな
ヒルは、稲作につきものの、水田で作業する人に吸い付き、吸血する環形動物。
(2017.06.23)