虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

東京湾アクアラインの深奥:内需とアメリカの影

私は現在「東京湾をつないだ男たち」(日経BP社:1997年初版)を手にとっています。この本は、この巨大道路が完成するまでの技術者たちの悪戦苦闘を描いていて、以前NHKの「プロジェクトX」で放送されていた色々な事業を彷彿させますが(実際に放映されたかも知れませんが)、私は、やれ湧水が工事の邪魔をしたとか、シールド工法を採用した際の苦労とか、いろいろな技術上の問題にはいまひとつ興味が持てないのですね。まあ、そんな話は土木工学者・技術者、土木オタクが読めばいいのだと思います。


ただ、私が唯一この本の記述で注目したのは、建設の着想から計画の発表、迷走、建設の決定、などなど、とくにどんな経緯で決定されたかに興味があるので、22P「調査開始から完成までの主な動き」という年表にもっとも注目しました。


じつはこの際、私の過去ログである「3つのルート」(本四架橋本州四国連絡橋)に関するデータと、今回のこの年表からのデータを重ね合わせて見たいのです。ここに、本四架橋の事実は@、東京湾アクアラインの事実は@@で表示します。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070530#1319948325 (3つのルート)


@1889年 提起

@1959年−1961年 5ルート候補に上がる

@@1966年 調査

@1970年 田中角栄 3ルート作ることを確約

@1974年 オイルショックで延期

@1985年 3ルート建設で決定

@@1985年 事業化が認められる

@1988年 児島・坂出ルート完成

@@1997年 アクアライン完成

@1998年 神戸・鳴門ルート完成

@1999年 尾道今治ルート完成

(神戸・鳴門ルートと尾道今治ルートの開通はwikipediaの記述に従いました。)


ほぼ、両巨大工事は、同じくして認可、工事、完成が「同時期」にあたります。ここで注意して頂きたいのは、@と@@が同じ年に当たる1985年です。この年は日本とアメリカ間で重要な約束がもたれた年なのですね。日本の自動車などの貿易黒字、アメリカから見れば貿易赤字を解消するため、アメリカ通商代表部から日本政府は「内需を拡大せよ」との「命令を受け」、いくつもの大土木工事・・・本四架橋の3ルートの建設を始めます。本当は、児島・坂出ルートしか必要なかったのに、です。これはアメリカの言いなりになって卑屈に工事を行う愚行なのでした。そのつけは、現在の国家財政の逼迫に現れていると思われます。


そして、もしかしたら・・・と本四架橋とアクアラインに共通点があるかと見たところ、やはり、アメリカの外圧で3ルートが認可されたのと、そのおなじ年・・・1985年にアクアラインも認可されていたというわけです。


また、この内需拡大の圧力は、同じ1985年の中曽根政権下で先進国間で取り決められた「プラザ合意」にも見られます。強すぎる円を大幅に切り上げ、円高ドル安に誘導したわけで、日本の輸出が滞り、嫌でも内需に目を向けなければならなくなったわけです。あっさりこの合意を認めてしまう当時の政権は、この約束の毒性にまったく気づかず、日本の将来に様々な禍根を残すことになったわけです。バカな政権・・・この禍根のひとつがバブル経済とその崩壊、およびその後の「失われた20年」などが良い例です。



今日のひと言:日本の政府は、吉田茂以降、アメリカにはずっと弱腰で、よく私のブログ友・id:SPYBOYさんがいわれるように、日本はアメリカの51番目の州になれば良いと思います。


東京湾をつないだ男たち

東京湾をつないだ男たち

東京湾アクアラインの検証

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シールド工法入門 (入門シリーズ)

シールド工法入門 (入門シリーズ)

トンネル工法の“なぜ

トンネル工法の“なぜ"を科学する



今日の一品


@ハンペン、ピーマン、ブナシメジの炒め煮



ピーマン、ブナシメジをゴマ油で炒めて、水+ヤマサの昆布だし+オイスターソースを加え、ちぎったハンペンを投入、味が浸みたところでネギ、七味唐辛子を足しました。

 (2016.12.02)



@豚ソースソテー・ナツメグ・ワサビ味



弟作。ソテーした豚肉にナツメグを振り、中濃ソースとワサビを混ぜて掛けます。やはりソースの風味が強いですね。

 (2016.12.03)



@ペペロンチーノ



前日の晩、豚ソテーを作った油(オリーブオイルと豚脂)を有効利用するために、茹でたスパゲティを唐辛子(羅帝)とニンニクを炒めたフライパンに入れて塩を振りました。たしかにペペロンチーノだ。

 (2016.12.04)



@ラム肉のコチュジャンコンソメ



弟作。単純にラム肉をピーマン、キャベツと一緒に、コチュジャンコンソメの汁で煮ました。砂糖は加えなかったにも関わらず、肉が甘かったです。これは驚き。

 (2016.12.05)





今日の詩


稲わらを
ロールベイラー
丸めて
円筒形(牧草ロール


これが
家畜のエサになる。


大きいロールで
600kg、
畜産業はなるほど
スケールが大きい。
 


後日、この田に入れると思われる「団粒鶏糞」の袋を発見。なにかを田から持ち出せば、必ず補うものが必要になるのでしょう。

 (2016.12.04)