軍事転用されて来た保存食:糒(ほしいい)からレトルトまで
現在、多種多様な保存食が巷に溢れていますが、保存食の歴史は戦争の歴史でもありました。いかに兵士を捨て駒であると思っていた軍上層部、ならびに政治家でも、兵士に食べさせるものは、ちゃんと与えていなければ、戦争どころではなくなることは、まともな戦争指導者なら、当然頭に入っていたでしょう(日本軍が行った無謀な「インパール作戦」では数万名の餓死者を生んだという例外もありますね)。
さて、保存食と言って、まず浮かぶのが、伊勢物語・東下りの段に出て来る「糒:ほしいい」でしょう。乾燥させたご飯を水でふやかして食べるものですね。これを食べつつ都の恋人のことを思い出して泣く、というまさに「しみったれた」逸話でした。(もっとも、私は伊勢物語自体、嫌いではありません。この段が嫌いなのです。)
その糒をwiki から引いて来ると「アルファ化米、アルファ米」としてこうあります。
アルファ化米(アルファかまい)とは、炊飯または蒸煮(じょうしゃ)などの加水加熱によって米の澱粉をアルファ化(糊化)させたのち、乾燥処理によってその糊化の状態を固定させた乾燥米飯のことである。加水加熱により糊化した米澱粉は、放熱とともに徐々に再ベータ化(老化)し食味が劣化するが、アルファ化米はこの老化が起こる前に何らかの方法で乾燥処理を施した米飯である。アルファ化米は熱湯や冷水を注入することで飯へ復元し可食の状態となり、アルファ米とも呼ばれる。
この食品としての簡便さが、軍事用に最適なわけです。
次に、ベトナムの生春巻きに使う「ライスペーパー」。Wiki より。
ライスペーパーは米を原料に薄いシート状に加工し乾燥させたもの。ベトナム語ではバインダーまたはバインチャン(bánh đa/ bánh tráng;餅𥹠 / 餅壯)と呼ばれる。ベトナム料理やタイ料理では生春巻きの皮として利用する他、しゃぶしゃぶ風料理や焼肉を野菜と一緒に包んで食べるむためにも用いられる。水で戻すとデンプンがすぐにα化して食べやすくなるため、使用する際は、指や布などで軽く水をつけてから具を巻いてゆく。
ライスペーパーの発明者は、ベトナム人です。この食材で具を巻いて食べることにより、炊飯の時間が要らず、早期に戦える準備が完了できるのですね。これも立派な軍事食です。屈強な彼らは、元(モンゴル)やアメリカなど、古今の侵略者を撃退しています。
さらに、缶詰(wiki):
遠征における食料補給の問題に悩まされていたナポレオン・ボナパルトによる懸賞に応え、1804年にフランスのニコラ・アペールにより長期保存可能な瓶詰めが発明されたが、ガラス瓶は重くて破損しやすいという欠点があった事から、1810年にイギリスのピーター・デュランド(Peter Durand)が、金属製容器に食品を入れる缶詰を発明した。これにより、食品を長期間保存・携行することが容易になった。ただし、初期のものは殺菌の方法に問題があり、たびたび中身が発酵して缶が破裂するという事故を起こした。これはのちに改良された。 また、密封用のはんだに鉛が多量に含まれており、食べた人が鉛中毒で死亡する事故もあった。
保存食の代表選手、缶詰にも、世に現れたのは、ナポレオンという軍人の意図からであることに留意したいものです。
今日のひと言:宇宙飛行士が無条件に偉いという風潮があり、なかには記念館を作ってもらった人もいますが、ナンセンス!です。宇宙ステーションは、軍事研究の場でもあり、彼らは、軍需産業の尖兵なのです。それもあって、レトルト食品などの宇宙食=軍事食を食べているのです。なお、災害時には保存食の出番がありますから、災害は戦争に準じますね。

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今日の一品
@ハンペンの炒め物・クコの実、ニンニクの芽入り
たまに食べるハンペン(白)。今回はゴマ油、ナンプラーで炒め、クコの実(赤)、ニンニクの芽(緑)で彩りしました。だから醤油など濃い色のソースは避けたのです。
(2016.09.28)
@豚コマ肉とショウガ・ニンニクの芽炒め
弟作。普通に言う「生姜焼き」のようなものですが、豚肉に豊富に含まれるビタミンB1の吸収を良くするニンニクの芽を入れたのがミソです。ほかに唐辛子の輪切り、塩・醤油少々。
(2016.09.29)
@イナゴの佃煮
以前は普通に食べられていたイナゴの佃煮。最近では置いてあるスーパーも少なくなりました。でも知らずに食べればエビのような風味のある逸品であり、鉄、カルシウム、マグネシウム、タンパク質などが豊富な栄養価も高い食材です。この写真は市販のもの。
(2016.09.30)
@韓国風雲南百薬
雲南百薬(オカワカメ)は、ツルムラサキ科で、ツルムラサキほどでないにせよ、クセがあるので、ニンニク、唐辛子を合わせ、ゴマ油、醤油で味付けしました。唐辛子は今年栽培した「羅帝」という激辛唐辛子を使いました。(シュウ酸を除くため、茹でて20分ほど晒します。)
(2016.10.01)
今日の詩
@老夫婦と乳母車
夕方イヌの散歩中、
とおくに老夫婦が乳母車を押しているのを見た。
孫を乗せているのかと思いきや、近づくにつれ
乗っているのはビーグル犬だったのでちょっと驚いた。
彼らにとってはイヌも愛情を注ぐべき存在なのかと
人間の乳幼児と同じように可愛がっているのだろうか。
もっとも、「祖母」の方が「少しは歩かせないとね」、
とイヌを乳母車から降ろしていた。
イヌの健康を考えるのなら、
最初から歩かせた方がいいのにね、と私は思った。
(2016.10.01)