虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

カラス・烏・鴉:私は鴉が好き。壁紙に使っている。

羽毛が黒一色の鴉、「不吉」だと嫌う人も多いでしょうが、私には中々素晴らしい鳥のように思えます。一つに、秋、稲穂のこぼれダネをスズメとともに啄ばむ姿は絵になります。黄金色の切り株と、鴉の黒が調和して、この風景はなかなか素晴らしいと思っています。


:壁紙のカラス



また、鴉はスズメ目の鳥で、文字通りスズメの仲間です。鴉は雑食性で、生きた獲物のみを捕食する鳥(猛禽類など)と一線を画しますが、肉食をすることもあるようです。だから鴉は繊細さの内に腕力も備えた一級品の鳥であると言っても良いと思われます。


では、いくつかの国の、鴉にまつわる話題を挙げていきます。


@ドイツ。  シューベルトの歌曲集「冬の旅」に出て来る「鴉」。ドイツ語では「die Kra¨he:クレーエ」と呼びますが、一羽の鴉が主人公の周りを、つかず離れずマークしています。主人公は「私が墓に入っても、忠誠を誓え」と鴉に呼びかけます。なんとも暗い情念の発露です。ただこの曲は、まさしく「夜明け前」の心象風景で、明るい展望になると思える「ライエルマン」という終曲につながります。


   カラス


@フランス。フランス語でカラスは「le corbeau :コルボウ」ですが、鴉の鳴き声がフランス人には「なぜ、なぜ?」と疑問を発していると聞こえるのだそうです。その理由は「pour quoi :なぜ」の後半「クオア」という発音をされる部分が、ちようど鴉の鳴き声のように聞こえるから。このような問いかけを始終聞いていたら、だれしも哲学者になれるかも知れませんね。


アメリカ。なんと言っても、E.A.ポーの長詩「大鴉(The raven )」が有名です。この鴉は、詩人に対し「Never more !」という「夢も希望も投げ捨てよ、次はないぞ。」と宣告しているのです。このポーという詩人・小説家は、生前アメリカでは評価されずに不遇の一生を閉じたのですが、のちにフランス象徴派の開祖・ボードレールに高く評価され、面目を施しています。


@日本。文芸や音楽に登場する鴉、あまり例を知りませんが、野口雨情作詞・本居長世作曲の「七つの子」が辛うじて浮かびます。あと、言いまわしの「三羽烏」。優れたものたち3人組を意味しますね。また、高杉晋作が作ったとされる都都逸に「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」という色っぽいのがあります。好きだったマンガ「幽遊白書」に登場した敵キャラ・爆弾を操るクエスト・カラスも印象に残りましたね。


他に鴉についての話題を挙げると、彼らの知能指数がとても高く、言い換えれば「脳化指数」が高いといいますが、実際、一例として人の行動を観察して、蛇口のコックを捻り、水を出してしまうことがあるそうです。「脳化指数」は、単純に、「脳」が「体全体」に占める重量比で算出されますが、鴉は確かに脳が発達しているのですね。この脳化指数についてwikiでは以下のように記載されています。


脳の重量はアロメトリーに従い、全体重の冪に比例する傾向がある。脳化指数の提唱当時は、体重の2/3乗に比例すると考えられていた。そのため脳化指数は、脳の重量を体重の2/3で割り、適当な係数を掛けた値で表される。ただしより詳しい計測・解析の結果、この冪指数は3/4乗と判明したため、2/3乗を使った脳化指数には、体重が大きい動物ほど過大に見積もるバイアスが少し(体重10倍で+21%、1000倍で+78%)ある。


脳化指数は単独の数値に意味はなく、比較にのみ使われる。そのため、全体に掛ける係数は、任意に決められる。ジェリソンが最初に使った、ネコのEQを1とする算出式が一般的である。他に、ヒトのEQを10とする式もある。


脳化指数は、その体重に見合った脳の大きさに比べてどのくらい大きい脳を持っているかを示している。ただし、それが等しければ同程度の知性であるという先験的な理由は乏しい。


脳化指数に対し、脳の重量それ自体、あるいは、脳の重量を単純に体重で割った値は、ヒトよりずっと高い値になる種がいるなど、知性の指標としては明らかな不都合がある。脳化指数はそれらの値に比べれば、知性の指標として有効だと考えられる。しかしそれでも、知性には脳の多くの特徴が関与しており、脳化指数だけで判断することはできない。



今日のひと言:忘れてはいけない話題を思い出しました。サッカー・Jリーグの象徴である生き物・・・太陽に棲む「八咫烏:ヤタガラス」。この生き物は3本足で、特異な姿をしています。光の海の中に、黒いシルエット。現代科学でいう「太陽黒点」を連想します。もしかして、古代人も、何らかのフィルターを使って太陽を観察して、黒点の存在を発見したのではないでしょうか。この鴉の発祥地は、中国でしょうか、はてさて日本でしょうか?・・・ヤタガラスについてwikiでは


元々賀茂氏が持っていた「神の使いとしての鳥」の信仰と、中国の「太陽の霊鳥」が習合したものともされ、古来より太陽を表す数が三とされてきたことに由来するとする見方は、宇佐神宮など、太陽神に仕える日女(姫)神を祭る神社(ヒメコソ神社)の神紋が、三つ巴であることと同じ意味を持っているとする説である。


中国では古代より道教と関連して奇数は陽を表すと考えられており、中国神話では太陽に棲むといわれる。陰陽五行説に基づき、二は陰で、三が陽であり、二本足より三本足の方が太陽を象徴するのに適しているとも、また、朝日、昼の光、夕日を表す足であるともいわれる。

・・・どうも、中国人のほうが優勢なようです。


北海道環境バイオセクター 魔法のステッカーSARABAカラスくん 2枚入り

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大鴉?ポー訳詩集 (加島祥造セレクション3)

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世界一賢い鳥、カラスの科学

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今日の一品


@鶏ナンコツ焼き



弟作。ちょっと固めの食材。私が変形性関節炎であるのか、に鑑み食材を買ってきてくれるのか・・・だとすれば弟に感謝。塩を振りオーブン・レンジで焼き、しまいに七味唐辛子を振りました。

 (2016.05.26)



@鱒(マス)のムニエル



弟作。いわゆる「鮭鱒類:けいそんるい」の一種ですが、真水に暮らす成育環を持つものが多いので、寄生虫に考慮し、加熱して食べるのがベストでしょう。

 (2016.05.26)



@ウルイとモヤシの炒め物



炒めると、美味しい苦さが生まれるウルイ(ギボウシ)。今回はモヤシと炒め物にしました。ゴマ油、香辛料はナツメグ


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20160508#1462654518 参照。


 (2016.05.27)



@ナスのケチャップ炒め



弟作、フライパンで刻みネギとすりおろしショウガを入れてオリーブオイルで炒め、ナスを投入、炒めてケチャップ、昆布出汁、粉チーズを入れてさらに炒めて完成。美味。

 (2016.05.28)