虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

文体とはなにか?〜KJ法を援用して考えた。

文体、文体と、ついつい無意識に使っているこの言葉、どんなものなのか、考えてみました。まずは、各国語で「文体」をなんというのか、調べました。

Writing style(英語)    Style d'écriture(フランス語)

Schreibstil (ドイツ語) Литературиый стиль(ロシア語)

文学風格 (中国語)

以上に書いたように、「物を書くスタイル」のこと、ひいてはスタイルのことを指すようです。


ところで、この解りやすいような「文体の正体」について、友人と協力して、KJ法のやり方を踏襲し、分析・統合してみました。KJ法は、川喜田二郎氏が発案した、資料を整理して、つぎの行動指針を発見するメソッドです。私が70単語くらい、友人も70単語くらい出し合って、カード化し、それを単語相互の関連性を考え、近い事象などでグループ化して、いくつかのセクションにまとめあげます。その上で、全体として言えることを結論とします。


 私の表


 友人の表


 相関図

 


出来上がった図のなかで、もっとも論点が目立ったのは「硬質」(男性的)と「軟質」(女性的)の対比です。関係代名詞を多用するフランス語は軟質で、とくにパスカルの「パンセ」がその代表格です。比較的短いセンテンスであるドイツ語の場合、F・カフカの「変身」が硬質で代表格です。


そのような対比が適用される文学作品をいくつか挙げると、「伊勢物語」(硬質)⇔「源氏物語」(軟質)、 「李陵」(中島敦:硬質)⇔「人間失格」(太宰治:軟質)、 「寒山拾得」(森鴎外:硬質)⇔「たけくらべ」(樋口一葉:軟質)・・・などがあります。それぞれを左脳・右脳に例えると、この両方を繋ぐものとして「脳梁:のうりょう」があるはずで、もし、そのような文学作品があるとするなら、極めて特異なものであるでしょう。(あるかどうかは解りませんが。)


その分類に似たものとして、サディズムマゾヒズムの対比が挙げられ、二元論とは割り切れない文学作品があるとしました。「鍵」「春琴抄」など、一連の谷崎潤一郎作品。「汝を愛し、汝を憎む。」また、このサディズムマゾヒズムの分野と表裏一体のものとして、自己との葛藤――、「自己破壊」「自己嫌悪」「自己の消失」「自己表現」などを友人は挙げていました。


では、これらサブ・グループの上位概念として抽出されたセンテンスを並べてみます。


@「文体とは、語り口のことである。」


@「文体は、漫画で言えば絵柄にあたる。」


@「文体の多くは、句読点の振り方によって表現、また区別される。」


@「文体には大きく2種類あり、硬質・軟質と対比できる。」


@「文体は、他者の視点・自己との対話によって表現されるに至る。」


@「文体は一身専属のものであるが、文体模写をされることはある。」


@「文体は、書く者によって、“色”が付与される。」


@「文体は、温度・湿度によって分類が出来る。」


 (この言葉・温度と湿度の意味については、この過去ログをご覧ください)

  http://d.hatena.ne.jp/iirei/20150222#1424574387

:短編小説名手の傾向分析:川端康成芥川龍之介梶井基次郎中島敦



今日のひと言:今回のKJ法では、取上げた項目数が多すぎたので、整理・分析に苦労しました。項目は多すぎないほうが良いようですね。




文体の科学

文体の科学

文体練習

文体練習



今日の一品



@ラムとニンニクの芽炒め



弟作。ラム肉を3時間ほど塩麹に漬け、オリーブオイルでニンニクの芽と炒め、クローブ(粉)を足しました。クローブの甘い風味が前面に出て、苦さは感じませんでした。

 (2017.05.17)



コンソメ風味の高野豆腐



鍋にコンソメ一個を入れて溶かし、山椒を加え、3枚の高野豆腐をふやかして1枚を4枚にして水を絞ったものを投入し、しばらく煮て火から降ろしました。はんなりした風味。

 (2017.05.18)



@真竹の煮物






通常市場に出回るタケノコは、主として孟宗竹ですが、鹿児島では過去にはタケノコの美味しさの順位というものがあり、「デミョ、コサン、カラ、モソ」とされ(出典は「土を喰う日々:五月の章」:水上勉)、孟宗竹のタケノコは、必ずしも評価は高くなかったことが解ります。


私は、今回のタケノコが正確にはどれに当たるか解りませんが、ちょっと固めながら滋味に溢れていました。なお、前処理には米ぬかではなく苦土石灰を少量使いました。タケノコのエグミ成分であり、尿路結石の原因物質であるシュウ酸をマスクするためです。

 (2017.05.19)



@タイム入り卵焼き




ヨーロッパの代表的なハーブのタイム(Thyme)。葉の長さは3、4mmと短いです。この小灌木の香りはうっとりするほどですが、今回初めて卵焼きに入れてみました。高貴な香りに舌鼓を打ちました。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20060110  :タイムに関する記事

 (2017.05.20)





今日の三句


生首を
掲げて追うや
カラスらを



農家にとって、作物に被害を与える鳥たち。特に賢いカラスが憎いですね。彼らから見て、人の生首は十分に恐怖に価するオブジェです。もちろん、この首はマネキンのものです。ご安心を。もっとも、苗代の段階で鳥害はあるのでしょうか?

 (2017.05.19)



桶に憩う
カワズ三匹
すぐ二匹



外の犬用の桶のへりにいたカエルが私の気配に気づいて蛇口の柱に飛び移りました。その素早さ!

 (2017.05.22)



オーバーキル
草なき畔(あぜ)に
農薬を



最近の農家は横着になり除草は農薬で行いますが、草も生えていないのに農薬を撒くとは・・・

 (2017.05.23)