虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

花の名前の由来〜目からウロコ!

今回取り上げるのは、「えっ、お花の名前ってこうだったんだ!!」という本です。植木職人の松井優明さんが2002年に文芸社から出版しています。ただ、包括的に花の名前の語源を説くというスタンスではなく、個別的に書いておられるので、こちらも目ぼしい花の記述を抜き出して書くことにします。また、この本の場合、必ずしも花のことを取り上げるのではなく、植物一般についての記述も多くあります。(例えば杉など)


@マンサク(満作)・・・3つほどいわれがあります。1)春先、まず咲く→マンサク。
2)黄色い花を黄金の稔りになぞらえて「豊年満作」。
3)ふるくは「シイナバナ」(種なし花の意)と呼ばれていたが、忌み名であるので反対語の満作と呼んだ。
 P10


  :マンサクの花(wikiより)



@サクラ(桜)・・・1)木花咲耶姫(このはなさくやひめ:日本神話の登場人物)から。
2)「咲く」という言葉に「ら:群れ」がついたもの。沢山の花が群がって咲く。
3)「サ」は心霊・穀霊、「クラ」は神座を意味する。ほか。
P12


@スギ(杉)・・・1)真っ直ぐに上に伸びるから。スグ→スギ。
 P36


@マツ(松)・・・1)久しく齢を保つところから、保つの略転。
2)久しきを待つところから、モツの意味。
3)行く末を待つの意。

他にもあり、全部で15通りの語源が挙げられています。ああ、疲れる。でも語源の説が多いのも、それほどむかしから親しまれてきた植物だからでしょう。
 P42−P44


@ヒノキ(檜)・・・1)硬い木質で、古くから火を熾すのに利用されていた。だから「火の木」。
2)日の木、霊(ひ)の木(深津正氏の説)。
 P45


@モミジ(紅葉)・・・1)「モミツ」という言葉が万葉集の時代にはすでにあり、草木の葉が秋になって黄や赤にかわること。
2)また、草木染めで汁を揉みだして布などを染める「揉み出し」「揉みでる」に由来する。そして平安時代には「モミジ」に「紅葉」を充て、紅葉するカエデが秋の代表とされた。
 P57―P58


@ユリ(百合)・・・1)茎が細いために大きな花が風に揺れるので、「揺る」から「ユリ」になった。
2)寄り集まった鱗片葉の様子から「寄り」が転訛した。ほか多数。
 P66―P67


オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)・・・1)春先美しい青花を咲かせる帰化植物フグリとは雄の性器(キン☆マ)のこと。別名「天人唐草」
 P80


スズナ(菘)カブ(蕪・蕪菁)・・・1)春の七草のひとつ。頭のように丸い形の意味。カブラともいうが「ラ」ということばにはさして意味がない。
 P93―P94


@クズ(葛)・・・1)秋の七草のひとつ。奈良県吉野の国栖(くず)という地名があり、この地で作った葛粉を販売したから、この名がついた。
2)役の行者(えんのぎょうじゃ:修験者)に仮託する説もある。
 P109―P110



今日のひと言:植物に限らず、生物一般、更には地名に至るまで「名前」があるのはとても不思議なことですね。



花の名前

花の名前

持ち歩き! 花の名前事典970種 知りたい花の名前がわかる

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今日の料理


@杓子菜(しゃくしな)の漬物





埼玉県・秩父地方の名物野菜。乳酸発酵させたものを、埼玉県系のスーパーで売っていますが、この漬物、ちょっとドイツのキャベツの漬物「ザワークラウト」に似た風味があり、美味です。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140207#1391772119  参照。

 (2015.07.19)




今日の詩


@亀裂





それ見たことか!
植え込みを
コンクリート
覆えば


半永久的に
草は生えまいと
手間、暇、お金を
掛けて工事した


その成果も
肝心のコンクリート
亀裂が走った!
野草がじきに顔出すだろう。



(同じことを俳句で)


夏草は
コンクリートでは
防げぬぞ

 (2015.07.19)