虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

讀賣新聞VS中日新聞:自衛隊・背広組の優位廃止をめぐって

讀賣新聞(よみうりしんぶん)と中日新聞は、販売部数を巡って、1975年以来熾烈な闘争を続けてきました。(中日新聞は、関東では東京新聞と名乗っています)当時、新聞の月購読料は1300円でしたが、中京地区で拡販したい讀賣新聞は、500円という激安な価格を設定しました。でもこれは不正競争防止法不当廉売)に触れるので、公正取引委員会が動き、取りやめにされたようです。


仁義なき戦い・・・讀賣新聞中日新聞不倶戴天の仲でした。また、聖教新聞のカラー版の印刷を巡り、中日新聞の子会社(名古屋タイムス印刷)と新設なった讀賣新聞の工場で、仕事の分捕り合戦も起きます。中日新聞は、自社の工場でその仕事を受け持つことにし、名古屋タイムス印刷は、倒産の憂き目に会います。中日新聞グループも無傷ではなかったのですね。それで讀賣新聞は、全国各地のほぼ3分の2でシェア10%を超えるのですが、こと中京地区ではその「神通力」も通じないようです。


以上は、http://ameblo.jp/neocedar135/entry-10178526260.html


・・・を参考にしました。(2008年12月15日の記事)


さて、今回両新聞の特徴がみごとに明らかにされた事案として、2015年2月末に話題となった、自衛隊における「文官統制制度」の報道姿勢があります。従来、過去の戦争のような軍部の暴走を食い止める意味で、現役自衛官制服組)より、直接には軍事行動を行わない防衛官僚(背広組)を優位に置き、総理大臣に働きかけるのは背広組だったのですが、こんどの「防衛省設置法12条」は、その階層性を止めにして、制服組が直接総理大臣に働きかけることが出来るようになるのです。


東京新聞(2015.2.22)の記事、見出し・小見出しでは「防衛省「文官統制」廃止へ  制服組、立場対等に  設置法  改正案を来月提出」となっていて、リーダーでは「背広組が制服組をコントロールする「文官統制」の規定が全廃される。制服組や制服OBの国会議員からの強い要求を受け入れた形。本文では


旧軍が暴走した反省から設けられたのが文官統制だ。制服組の政治への介入を阻むため、文民統制シビリアンコントロール)が日常的に行われるよう文官が関わる制度で、その要は、内局の局長らが所掌を超えて大臣を直接補佐する参事官を兼ねる「参事官制度」だった。


という記述が目を引きます。


文官統制と文民統制は、少しばかり意味が違い、文官はあくまで自衛官僚で、文民は、一般的な政治家の意味です。そして、これまでは背広組が直接文民である政治家に働きかける決まりだったのを、現役自衛官である制服組も働きかけることが出来るようにしたのです。また、学者(纐纈厚(こうけつ・あつし)・山口大学教授)は、「歴史の教訓全否定」として、こんどの政府の決定に関し、危惧を表明する一文を寄せています。


ここで書いてきたように、中日新聞東京新聞)はこのような「危険な」決定に明確にNO(否)という立場を取っていると思います。


一方、讀賣新聞(2015.02.26)の場合、見出し・小見出しは「制服組と背広組 対等に  法改正へ  文民統制変わらず」で、リーダーでは「背広組が制服組をコントロールする」という防衛省内の考え方を改めるものだ。」とされ、本文では


一方で、自衛隊法には既に、統合幕僚長らによる防衛相の「補佐」が明記されている。今回、防衛省設置法にも同様の規定を盛り込むことで、法律の整合性を図る。政治が軍事をコントロールする「文民統制シビリアンコントロール)」に変わりはない。


このほか、防衛官僚と自衛官がともに担っている自衛隊の部隊運用の業務については、自衛官中心の統合幕僚部に一本化する。集団的自衛権の行使を柱とした新たな安全保障法制の整備に備え、有事での迅速な運用を可能にするためだ。

・・・こんな感じで、「大変な事態になりそう」と、心ある者には危惧を抱かせる記述を「いとも平板に」語っています。たとえば憲法違反の疑いが濃い「集団的自衛権」をあっさりと前提にして話を進めているように思えるのです。朝日新聞の記事誤報などの一連の不祥事が明らかになった時に、「新聞は讀賣新聞だけで充分だ」と自民党の議員が口走りましたが、讀賣新聞は、自民党の広報誌だと言ってもよいのかも知れませんね。平板な記述をしたのは、正直に書くと、あまりにも自民党寄りなので、表現をセーブしたのかも知れません。


なお、戦前・戦中は、「現役武官制」と言って、内閣には陸軍・海軍から出される現役の軍人が大臣のポスト(陸軍大臣海軍大臣)を持っており、もしどちらかの軍が機嫌を損ね、大臣が内閣から辞めると、内閣は総辞職しなければなりませんでした。きわめて珍奇な制度でした。文民など、あって無きがごとしです。今度の決定は、シビリアンコントロールに対する重大な脅威の前触れかと思います。


また、讀賣新聞中日新聞東京新聞)では、原発に対する姿勢も正反対です。讀賣新聞は、社説で嫌というほど「原発必要論」を展開しますが、中日新聞東京新聞)では、福島第一原発の壊れた4基の現在の状態を、折に触れ、絵入りで解説しています。具体的に現状を伝える工夫をしているのです。



今日のひと言:我が家では、これまで朝日新聞讀賣新聞を半年交代で購読してきましたが、来年3月から、両新聞の購読は止め、東京新聞を取ることに決めました。すでに契約も結びました。特に讀賣新聞のような自民党の広報誌は、読む価値がありません。



シビリアン・コントロールとデモクラシー (人間科学叢書)

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シビリアンの戦争――デモクラシーが攻撃的になるとき

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今日の料理



@塩鶏じゃが





弟作。アジノモトのCook Doの一品。人参もいれるというレシピだったのですが、オミットしました。味はシチューのような感じです。

 (2015.04.02)



@季節の野草の素揚げ風


衣をつけないで揚げることを「素揚げ」というそうです。私の場合は油の量も少な目なので、素揚げ風としたわけです。今回は4つの野草を食べてみました。


ヨモギ  やや銀白色を帯びた状態のころが食べ頃





コンフリー 美味しい野草。ただ毒も持つのであまり食べない。また、ホントの毒草・ジギタリスと紛れやすいので、要注意。ジギタリスは葉がギザギザで毛が生えていない、コンフリーは葉がギザギザではなく、毛があります。






画面、下から時計回りに「ヨモギタンポポの花、セリ、コンフリー」今回はタンポポの花が特に美味しかったです。(たしかid:matsukentoさんのブログで取り上げられていたような)ヨモギは加熱が足りなかったのか、モソモソした味でした。上手く揚げると、上等な味になるのですが。・・・山菜の王・「コシアブラ」をも超えるほど。





 (2015.04.03)




@カキフライ丼







スーパーで売っていたカキフライ(牡蠣フライ)を丼物にして食べました。温めたご飯と牡蠣の間に、キャベツ、コリアンダー、ネギをはさみ、中濃ソースで味付け。昼ごはん。

 (2015.04.04)




ニジマスの香草焼き






この場合、選んだ香草=ハーブは、フレンチ・タラゴン。独特な風味のハーブです(キク科)。腹にいくつか穴を開け、塩、タラゴンで風味つけし、電子レンジで温めました。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20131220#1387493825 参照。

(2015.04.04)





今日の一句


白銀の
蒲公英の種
彗星か



蒲公英(タンポポ)が実がなり綿毛に包まれると、一個一個が白銀(しろがね)の彗星のように見えます。

 (2015.04.03)