ノンアルコールビールと成分調整牛乳
近頃、市場では製品の特質を意図的に除去した飲料がもてはやされています。そこで、それらの製品の代表格であるノンアルコールビールと成分調整牛乳についてまとめてみます。まずはノンアルコールビールから。
通常のビールの製造工程ですが
お湯に麦芽の一部、米、コーンスターチなどの副原料を加え煮る
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残りの麦芽にお湯を加えさらに煮込み釜で煮た物を加える
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仕込み釜でできた麦汁を濾過し、透明な麦汁(あめ湯)にする
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麦汁にホップを加えて煮込む
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よく冷やした麦汁にビール酵母を加えて発酵、麦汁中の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解され数十日間じっくり熟成させる(0.00%のキリンフリーの場合はこの工程が無い)
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熟成したビールを濾過
となります。
では一般的に言われるノンアルコールビールはどうやって作られるかと言うと
一番目は、通常のビールを製造しそこからアルコールを抜くこと。
二番目は、香料などを使ってビール味を出し炭酸を加えること。
三番目が、ビールを製造する際にアルコールを生成させないようにすること。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1228453637
アルコール分を抜くため、いくつかの方法があるのですね。
なかでも、一番目については以下のような詳しい説明の記事があります。
http://dealco.racco.mikeneko.jp/howtomake.html
水とアルコール以外の味・香り成分をろ過などで取り出す
これには次の2つの方法があります。
逆浸透(reverse osmosis)法・・・特定の物質だけを通す膜である「半透膜」の一種に,水とアルコールだけを通す膜があります.酒と水をこの膜で仕切って接触させると,酒を薄めようとして酒の側へ水が膜を通って入ってくる「浸透」という現象が起こります.このときの,酒の側に水が入ってくる圧力を「浸透圧」といいます.
そこで,浸透圧に打ち勝つだけの圧力を加えて酒をこの膜に通すと,酒の中の水とアルコールだけが膜を通り抜けて押し出される「逆浸透」がおこり,酒から水とアルコールだけを取り除くことができます.これを何度か繰り返してできた,濃縮された味・香り成分に水を加えると,脱アルコール酒ができます.
この方法で作られているノンアルコールワインArielの製法が,製造元のAriel Vineyardsのウェブサイトの"Process"で説明されています.また,このワインを取り扱っているインターネット通販「マツムラ」のこのページにも図解があります.
逆浸透法は,海水から淡水を作る装置に広く用いられています.神戸製鋼の「逆浸透海水淡水化システム」のページに,逆浸透法の図解が載っています。
spinning cone column・・・spinning cone columnとは,オーストラリアのFlavourtech社が開発した,液体から揮発する成分をガスに吸着させて回収する装置です.Flavourtech社のサイトのこのページに,spinning cone columnの作用の図解が出ています.
上記サイトの図にあるように,この装置では,縦型の筒の中で何層にも並べられたすり鉢状の皿が回転しています.この装置に常温の酒を上から流すと,酒が各皿を上から下へ通り抜けるとき,遠心力によって皿の上に酒の膜ができます.そこに筒の下から窒素ガスを通すと,酒の膜とガスが接触することによって,蒸発する香り成分が吸着して回収されます.いったん筒を通り抜けた酒を,もうすこし温度をあげてもう一度この装置に通すと,今度はアルコールが蒸発して回収されます.この後,左記に回収された香り成分を戻してノンアルコールの酒を作ります
かなり物理・化学的な手法で作られるものなのですね。案外アブナイ気もします。次に成分調整牛乳。wikiでは
乳脂肪分の一部を除去したり水分を一部除去して濃くするなどして、生乳から乳成分などを除去したもの。無脂乳固形分8.0%以上。2002年(平成14年)より制定されたもの。
低脂肪牛乳
乳脂肪分のみを調整した牛乳のうち、乳脂肪分0.5%以上1.5%以下のもの。
無脂肪牛乳
乳脂肪分のみを調整した牛乳のうち、乳脂肪分0.5%未満のもの。成分調整牛乳
調整した牛乳のうち、「低脂肪牛乳と無脂肪牛乳に該当しない」もの。例としては、脱水処理による乳脂肪分が4%の濃い牛乳や、脱水処理による乳脂肪分が濃い牛乳にさらに乳脂肪分を調整し、1.5%以下にした牛乳、乳脂肪分のみを調整したが、1.5%を上回る牛乳など。乳等省令改正で新設された種類別である。原乳の生産者価格が引き上げられた2008年(平成20年)あたりから、この「成分調整牛乳」(乳脂肪分を2 - 3%に調整したもの)が多くなっている。
成分調整牛乳については、製法についてはあまり言及がありませんが、以下のようになるようです。
脂肪分を抽出するために化学薬品による処理はしていないようです。
>遠心分離(※1)によって脂肪の一部を除去し、
>牛乳よりも脂肪を抑えたものや、水分の一部を除去し、
>牛乳より成分が濃厚なものなどがあります。
※1 遠心分離:紐の先にボールを結び、くるくる回して紐を放すと、重たいボールが円軌道を外れて遠くへ飛ぶ原理を利用したもの。
http://plaza.rakuten.co.jp/shokuikublog/diary/201003140000/ より
今日のひと言:私は、人間が小賢しく加工した食品には、いまいち信頼が置けないですね。だから麦酒も、アルコール入りが「自然だ」と飲んでいます。できるだけ牛乳も。加工の工程が多いほど、想像もしていなかった夾雑物が混じることもあります。昔の「カネミ油症事件」という前例もあります。なお、ノンアルコールビールと言っても、製品によっては1%くらいアルコール度がある場合もあるそうです。私はアルコール度4−5度くらいのビールをこそ美味しいと思いますね。
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お浸し
アカザ科のこの植物は、同類のアカザの葉の基部が赤いのに対し、白いのが特徴です。どちらも同じようにお浸し、胡麻和えにして美味しいです。ただ、シュウ酸を豊富に含んでいるので、茹でたあと20分くらいは水に晒すのがよいです。同じアカザ科のホウレンソウと同じ扱いが必要です。カツオ節をまぶすという操作で、カツオ節の含むカルシウムと一緒にして、体外に排出するのです。栄養価も高いですが、あまり食べ過ぎないことが肝要です。アカザ皮膚炎という症状が出ることがあるとの由。
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