虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト:色々な事物を取り上げます。

「トンデモ本」の今


 1999年、例のノストラダムスの大予言が盛り上がっていた際、1999年7月に人類が滅びることを信じた人たちと、激論を繰り広げた陣営に、「と学会」(代表・山本弘さん)がありました。周知のようにこの大予言は外れてしまいました。それからは、信じる人たちと同様に「と学会」も歴史的役割を終えたのでしょうか?


 「トンデモ本」とは「著者当人は極めて真剣に書いているが、第三者の目でみると、読んで(ある意味で)楽しめる本」のことです。擬似科学ユダヤ陰謀論新興宗教などなど、ジャンルは多彩です。


 今日は1995年に初版が出た「トンデモ本の世界」(と学会:洋泉社)を紐解いていきます。(特に面白いものを3,4例)


 「日銀券は悪魔の隠し絵」(武田了円:第一企画出版局:1994)・・・この本は、いわゆるサブリミナル効果を使い、フリーメーソン(これも陰謀論の主体とされることが多い)が日本人を堕落させようとして作らせたものだと言うのです。その証拠に、通貨に施された唐草模様の絵が、あるいは女性性器、あるいは射精を意味するのだそう。常人には全く理解不能な説です。それで、武田さんの論の根拠になっているサブリミナルですが、これはまったくのウソなのだとのこと。・・・この本、図書館にありました。←いいのか、こんな本を置いておいて。(図はP103より)

 「ノストラダムス戦争黙示」(川尻徹徳間書店:1991)・・・川尻さんは精神科医。でも、本人が精神病患者であるかのような倒錯した本を次々と出版していました。ノストラダムスの予言に、山本五十六が登場します。もちろん、太平洋戦争を語るに不可欠の人物で、ノストラダムスがその予言集に取り上げていても可笑しくないのですが、川尻さんは、「安藤広重東海道五十三次四日市」に登場する人物が山本五十六である」(!!)と主張するのです。とても、通常のメンタリティの人には解らないことです。


 「ホーキング宇宙論の大ウソ」(コンノケンイチ徳間書店:1991)・・・コンノケンイチさんは、理論物理学者を名乗っていますが、アインシュタインやホーキングの理論が「自分には理解できない」・・・だから「相対性理論はでたらめだ」との主張をしています。でも、相対性理論は、ちゃんと多くの学生、学者が理解できる理論なのです。


 「地上天国の建設/その具体案解説」(天照国彦霞が関書房:1976)・・・この本は、新興宗教の教祖のおじいさんが書いたもので、世の中を救うのはSEX以外になく、やりまくれば平和が訪れるという「簡単な」教義でなりたっています。論理は支離滅裂。70過ぎで35回まで何した・・・と書いてあります。面白いので記述の引用の引用。

浦島太郎はホスセリの命であり、玉手箱を開く御霊である。そして浦島太郎は岩長姫命の化身である竜宮の乙姫と結婚したのであり、四国の金毘羅大権現は浦島太郎である。そこで、金毘羅大権現の浦島太郎実は大国主が、玉手箱「契約のヒツギ」を持って熊野にくる。これを「コンピラ舟舟、追手に帆かけて、シュラシュシュシュ」と歌にのこしているのである。

 (トンデモ本の世界P94−P95)

意味不明の支離滅裂な文章。

・・・どうですか?多少気持ち悪い本ばかりですが笑えるでしょう?



今日のひと言:ノストラダムスの大予言が大はずれになってしまい、「滅亡支持派」はその勢力を失いました。でも、好敵手がいなくなったあとの「と学会」も軌を同じくしてTVから消えてしまったようです。「トンデモ本」に正面切って喧嘩を売るという態度は、もしかして「と学会」は、「トンデモ本」の著者・購読者と同じようなメンタリティを持つ者かとも思われます。


でも、いまでも「と学会」が活動を続ける相手は沢山います。一時期「スピリチャル」という線で一世を風靡した「江原啓之」とか(この人は「壇れい」の父親の偽メッセージで偽者であることがばれましたし)、K福の科学のO川隆法・主宰とか、狙いどころは沢山あるでしょうね。


ところで、今年2012年は、マヤ文明の暦では、この年以降の記述はなく、すわ、人類滅亡か、ということで騒ぐ人もいたりして、また「と学会」の出番もあるかも知れません。

トンデモ本の世界X

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浅間山大噴火の爪痕・天明三年浅間災害遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」075)

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今日の一首

わぎもこ
見上げ育ちし
浅間山


われに取っても
稀有な山なり



わぎもこ」とは恋人のこと。
     (2012.02.05)