虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「世界の日本人ジョーク集」


 
この手の本の類書は多いですが、私は早坂隆:「中公新書ラクレ」を読みました。外国人から見た日本人の特長を笑いという俎上に載せるというのも面白いと思ってこの本を購入しました。2006年初版。その中から、えりすぐりのジョークを載せます。

不良品
  あるアメリカの自動車会社が、ロシアと日本の部品工場に以下のような仕事の発注をした。
「不良品は1000個につき一つとすること」
数日後、ロシアの工場からメールが届いた。
「不良品を1000個に一つというのは、大変困難な条件です。期日にどうしても間に合いません。納期の延長をお願いします」
数日後、日本の工場からもメールが届いた。それにはこう書かれていた。
「納期に向けて作業は順調に進んでおります。ただ、不良品用の設計図が届いておりません。早急に送付してください」

――20Pより。日本の部品工場の技術が大変高いように世界では思われているようですが、私が部品工場の現場で働いた経験からすると、不良品は結構出るものです。このジョークは、買いかぶりですね。


早く飛び込め!

 ある豪華客船が航海の最中に沈みだした。船長は乗客たちに速やかに船から脱出して海に飛び込むように、指示しなければならなかった。
 船長は、それぞれの外国人乗客にこう言った。

 アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄ですよ」
 イギリス人には「飛び込めばあなたは紳士です」
 ドイツ人には「飛び込むのがこの船の規則となっています」
 イタリア人には「飛び込むと女性にもてますよ」
 フランス人には「飛び込まないでください」
 日本人には「みんな飛び込んでいますよ」

――110Pより。  このジョークのように、各国民を比較するものは多いです。それにしても、日本人の付和雷同性は、外国にも知れ渡っているのですね。

日本を怒らせる方法


 各国の政治家が集まって「どうしたら日本を怒らせることができるか」について話しあった。
中国の政治家が言った。
「我が国は潜水艦で日本の領海を侵犯した。それでも日本は潜水艦を攻撃してこなかった」
韓国の政治家が言った。
「我が国は「竹島を占領した。それでも日本は攻撃してこない」
ロシアの政治家が言った。
「我が国はもう長きにわたって北方の島々を占拠している。それでも日本は攻撃してこない」
 それらの話を黙って聞いていた北朝鮮の政治家が、笑いながら言った。
「そんなこと簡単ですよ。我々が核兵器を日本に使いましょう。そうすれば、さすがの日本も怒るでしょう」
すると、アメリカの政治家が首を横に振りながらこう言った。
「無駄だね。それ、もうやったもの」

――187Pより。ずいぶん生々しいジョークです。2006年時点の出版のため、北朝鮮の核・ミサイルの話題も登場するのですね。2010年の、中国漁船の尖閣諸島沖衝突事件も髣髴(ほうふつ:連想される)されます。日本もずいぶん舐められたものです。そういえば、このジョークで登場する国は、「6ヶ国協議」の、日本を除くメンバー国ですね。

各国のベストセラー


 それぞれの国で最も読まれている書物とは?


 アメリカ・・・・新約聖書
 イスラエル・・・旧約聖書
 イスラム諸国・・・コーラン
 日本・・・・マンガ
 中国・・・毛沢東語録


(結論)世界で読まれているのはファンタジーばかりである。

――220Pより。各国、なかでも日本と中国の書物には笑わされますが、結論が各論のどれよりも素晴らしいですね。「どの国民も、夢ばかり追っている・・・」と。このように、エスニック・ジョークを書くには、どんな陣営にも属さない、精神の柔軟性が必要不可欠だと思いますね。(各宗教に帰依している方、御免してね。この本にこう書いてあるのです。)


なお、この本のジョークのソースについては前書きに「この本では、そうした、世界で楽しまれている「日本、日本人をネタにしたジョーク」を収録し、それに私なりの簡単な解説や各地でのエピソードを添えてまとめてある。ジョークは欧米発のものが中心だが、中には中東やアジアで聞いたものも含まれている。」と書いてあります。



今日のひと言:ジョークには、対象の本質を見据えて、しかも軽口を叩ける二律背反性があるのだと思います。

関連過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070104  政治ジョークの切れ味



今日の一首



弟が
買って帰りし
テルミン


妙なる音色
出せるか否か



テルミンは、旧ソ連時代に、テルミンという技術者が発明した楽器です。その独特な音質には心惹かれるものがあります。アンテナに手をかざし、アンテナとの距離を変えることによって、音階が出ます。このトイ・テルミンは、学研から2300円(税込)で発売されています。


  ↑集積回路

  ↑本体(右からほっそり伸びているのがアンテナ)

    (2011.12.11)

世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)

世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)

世界反米ジョーク集 (中公新書ラクレ)

世界反米ジョーク集 (中公新書ラクレ)

世界の紛争地ジョーク集 (中公新書ラクレ)

世界の紛争地ジョーク集 (中公新書ラクレ)