国賊・竹中平蔵〜「くたばれ竹中平蔵論」(感想文)
2009年1月、田原総一郎が仕切る「サンデー・プロジェクト」において、竹中平蔵慶応大学教授と金子勝慶応大学教授の、同じ大学の教授の間で激論が交わされましたが、正攻法で竹中平蔵の政策の破綻を示す金子氏と、詭弁をもってそれに応じる竹中氏がいました。そして司会の田原総一郎氏は竹中氏の肩をもつ、イビツな討論会だったようです。
結果、考えながらしゃべる金子氏より饒舌な竹中氏に有利な方向で会が纏められたと言えないでもないでしょう。アメリカの大学で盛んに行われる、いわゆるディベートという言葉は肯定的に使われるようですが、それにどれほどの価値があるか私は懐疑的になりました。この討論会、「竹中平蔵 金子勝」をキーワードにしてググると、いろいろな関連ブログにヒットします。例えば
http://funnyarome.blog82.fc2.com/blog-entry-324.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/db6538016accbdf3ff4d3622a7382a0e
http://blogs.yahoo.co.jp/posutoman21/46626161.html
などです。
この竹中氏について、極めて辛辣な評価を加えている本に「くたばれ竹中平蔵論―さらに失われる十年―」(藤澤昌一:駒草出版・本体1500円)があります(2009年出版)。ここに、小泉純一郎=竹中平蔵による政治を断罪する論が展開されています。
当時の自民党は、「構造改革に中立あるいは肯定的で、IQが比較的低い層」に狙いを定めて選挙運動をしていたそうです:いわくB層。・・・これだけでも、いかに小泉執行部が国民を舐める態度を取っていたのが解ります。なんとも傲慢。
また、さらに、いわゆる「グローバル・スタンダード」は和製英語で、より正しくは「アメリカン・スタンダード」といい、アメリカ一国の利益を考える概念なのだそうです。思えば、日本の国内政治になにかと干渉して、自国の利益を図ることをアメリカはやってきました。「年次改革要望書」という文書がありますが、これはアメリカが日本に内政干渉をするためのものなのです。
そして、小泉=竹中政権は、このアメリカに迎合して諸政策を策定したのです。(2人とも、アメリカ大好き。小泉にいたっては、ブッシュ(息子)を訪問した際、言われてもいないのに、「私はエルビス・プレスリーの大ファンである」とプレスリーの動作をまねし、ブッシュを満足させました。竹中も、日本を出た場合、ハーバード大学教授の椅子が用意されていたほど、アメリカと相思相愛だったのです。)
ここまで、郵政選挙の裏側を書いてきましたが、以下「くたばれ竹中平蔵論」より竹中平蔵の大罪を挙げておきます。
1. 政権の政策決定に対して、「郵政民営化」を優先順位の第一とさせたこと
2. 年金、福祉、医療等で明らかに国民の負担を増加させたこと
3. 「経済財政諮問会議」を重用し過ぎたこと
4. 国会議員になったこと
5. 説明責任を果たさなくなっていったこと
6. 郵政資金340兆円を世界に投げ出したこと
7. 竹中の経済学は、「民間解放が良い」というだけの論法であったこと
8. 郵政事業という優良事業体を「民営化」したこと
9. 郵便、簡保、郵貯に分社化してしまったこと
10. 日本をアメリカに売ったこと
11. 貴重な日本文化を「ブッ壊した」こと
12. 「かんぽの宿」売却に対し、正当性を保つため詭弁を弄していること
(P258−P266)
以上、竹中平蔵のやった罪状が挙げられていますが、おもに「郵政民営化」の問題点と共に、「アメリカに日本のもつ金銭」を売り渡した点が大きいと思います。
たしかに、日本は現実的にアメリカの属国であり、アメリカに貢ぐのはある意味妥当なものでしょうが、小泉=竹中コンビの場合、度を越していました。竹中の場合、大学(一橋大学)卒業後に特殊法人に入ってアメリカにわたり、かの地に愛着が生まれたのでしょうが、露骨なアメリカ偏愛をして、日本の資産を売り渡したことに、最大の罪状があるのでしょう。これを以って、私は竹中平蔵を「国賊」と呼びます。
今日のひと言:竹中は、冒頭に挙げた討論のなかで「自分は新自由主義者」ではないと自己弁護していますが、彼を新自由主義者と呼ばずになんと呼ぶのでしょうか?権力の座から降りたあと、過去の悪評つきの評価を受けたくないということか。
新自由主義を簡単に言えば、「先祖帰りした資本主義」です。アダム・スミスの楽天的な「国富論」のころと、ほとんど変わっていないものです。そこでは自由競争が良しとされますが、当然、弱者・強者が出現し、格差社会は是認されます。弱肉強食。金持ちばかりが得をする。今の日本とそっくりでしょう?その古典経済学へのアンチテーゼとして現れたのがマルクス経済学で、その理論の良いところを取り入れたのがケインズ理論だったのです。その成果をバッサリ切り捨てちゃったのが「新自由主義」です。
それにしても、この本、激しい怨念の書ですね。それほど著者にとって切実なテーマだったのでしょうね。そして、小泉=竹中の悪政は、今現在も日本、および日本人を縛っています。だからこの2名は過去の人ではないのです。十分、ブログネタになるテーマです。
ディベート、竹中平蔵のように「白を黒と言いくるめる」ものなら、有害無益な長物ですね。
関連過去ログ http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051217 福沢諭吉を嗤う
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20060925 再チャレンジの笑止
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070217 安倍晋三の再チャレンジ会議・取り巻きのトンデモ発言集:「労働基準監督署は要らない」
いずこより
庭に来るや
ヤブランよ
花が咲かずば
抜きつばかりに
ヤブラン(藪蘭、学名:Liriope muscari)とは、ユリ科(最新のAPG植物分類体系ではスズラン科)の植物の一種。別名リリオペ、サマームスカリ。
多年草で開花期は夏〜秋。花は紫色の小さいもので、穂状に咲く。葉は、細長く、先は垂れる。葉は斑入りのものがあり、庭の木陰で栽培される。
園芸品種には葉に斑入りのものがあり、花期以外にも鑑賞される。
(この解説は Wikipedia より。)
(2011.08.21)
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