虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

金時草はいかがですか?


サカタのタネのカタログより→


  私が「サカタのタネ」から10年ほど前に購入し、自分でもその味を楽しむと同時に、栽培が好きそうな人には、苗を分けてあげていました。およそ10人くらいかな。昨年は延命させられなかったですが、また賞味してみたいと思います。


 金時草(きんじそう)=水前寺菜は、奄美地方が原産地で、葉の表が緑、裏が紫になっている、特徴の際立った野菜です。学名が「ギヌラ・ビコロール」で、その葉の特徴を表現しているのです。ビコロール=2色。


茹でて、酢の物にするのが美味しいです。水前寺菜は、熊本の水前寺付近で栽培されたからこういうのでしょうし、金沢料理の定番にもなっています。ここでの名が金時草



 以下は苗を差し上げた人にあてた紹介文です。

金時草の栽培――留意点
1) 挿し木   夏の暑い時期は避け、やや涼しくなった頃(9月〜10月頃)行う。(これは、越冬用の処置。挿し木自体は生育期ならいつでもできる。) 枝を切り取り、カッターで穂先まで15cmくらいにし、(切り口は葉の付け根から4〜5mmで斜めに切る。)切り口に近い方の葉はカッターで切り落とし、中間の葉は半分に 切り、上の葉はそのまま残す。挿し木用土にやや斜めに挿し、日陰に置いて毎日水をやる。2〜3週間で発根する。(用土は、私の場合、バーミキュライトピートモスを半々に混ぜ、石灰でピートモスの酸性を中和したものを用意します。肥料は混ぜない。)発根を確認したら、普通の鉢に植えかえます。ここでは、石灰と肥料を入れます。植えかえ後は1週間くらい日陰において養生し、その後すこしづつ陽光にならします。


2) 冬から春にかけての管理   寒さに弱いので、日の当たる室内で管理します。観葉植物として扱うのがベストでしよう。ただどうしても葉の色が薄くなるし、徒長しがちです。また、アブラムシがつきやすい。金時草は、株さえあれば生き残るので、駄目だな、とおもった部分は、容赦なく切り取ると良いです。(アブラムシ対策として、私は木酢液(もくさくえき)*を希釈して霧吹きで噴霧しています。穏やかですが効果があります。)


3) 春の植付け   遅霜の心配のなくなった5月中旬ごろ株間50〜60cmくらいで植えつけます。横に這うので広く取るわけです。日当たりが良く、湿った場所が理想ですが、両方満たせない場合、日当たりを選びます。石灰と肥料(化成肥料でよい)を忘れずに。


4) 夏から秋にかけての管理    収穫期です。穂先から7〜8cmで切り取り、そのまま料理します。乾燥を嫌うので晴天が続いた日にはたっぷり潅水します。(重要)。また、適宜、根元にお礼肥を播きます。――1)に戻る。


    日本本土では種が採れないため、以上のような手続きが必要になるのですが、それだけの価値のある野菜だと思います。可愛がってやってください。なお、コピー資料も参考にしてください。

   ‘01,09,10      森下礼


注:木酢液(もくさくえき)*   炭焼きをする過程で得られる、煙を集めて冷やした液。数百種類の化学物質を含み、炭そのものとともに最近注目されている。農業用としては、農薬、土壌改良剤などとしての用途がある。希釈して利用する。ホームセンターで入手できる。


今日のひと言:単純なオヒタシにするより、酢醤油にするほうが味が冴えます。それはもう、マジックを掛けたようにです。


追記:2009.10.09日、庭の片隅で金時草の苗を発見!!2年も生き延びていたのね、と感動しました。
   早速、鉢植えにして、保護しました。来年はまた、金時草の酢の物、テンプラが楽しめるでしょうね。

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