虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

Health(健康)の意味

*1184795992*Health(健康)の意味
 

健康という言葉は中国の古典・易経(えききょう)の「健体康心」から来ているようですが、英語のHealthは古英語のhalから来ています。派生語にはwhole、heal、holyなどがあります。(江藤裕之・長野県看護大学「healthの語源とその同族語との意味的連鎖」)
 特に重要な派生語はwhole(完全性、全体性を意味する)という言葉でしょうか。
この場合の完全性は個人の健康に限定されそうですが、私はより大きな意味での完全性をhealthと呼ぼうと考えます。


 私が以前住んでいた東京都小金井市貫井南町では、「ハケ」と呼ばれる崖下に湧水が湧いていました。私はこの湧水を好んで飲んでいましたが、水質分析を自分でしてみたところ(この分野は私の専門でした)硝酸性チッソが11PPMあり、基準の10PPMと照らし合わせると、飲むのには適さないとされていましたが、私は「自分の身近に」ある水を飲むのが重要だと考え、飲み続けました。


 一方、私の友人は自動車に乗って奥多摩の滝まで水を汲みに行き、ポリタンクに沢山汲んで来て、日常生活に使いました。彼は、私が某ミニコミに連載していた「水って、なあに?」という環境問題を訴える文章のうちの、「塩素の嘆き」という「トリハロメタン」の危険性について触れたテキストに触発されて以上の行動に出たというわけです。現実の水道水にはこのトリハロメタンが必ず含まれ、発ガン性、突然変異原性、催奇形性が確認された物質です。そしてこのやっかいな物質が生まれるのは、「都市」の生理がもとになっています。第一に「原水を汚す」こと、第二に「水を長距離にわたって運ぶ」こと、この2つがトリハロメタンの生成に繋がるのです。その根本的解決には、都市の生理および住民の生活様式の見直しが不可欠なのだと考えます。


 単に狭い意味でのhealthという点では友人の行動は理にかなっているのでしょうが、より広い意味の環境のhealthという点では友人の行動は何の解決にもならないものです。
 私の行動は身近から問題を見つめようとする態度です。そして湧水の浄化につなげていく・・・より広い意味でのhealth・完全性を実現しようとしていたのはどっちでしょうか?


 私は仮に原子力発電所原発)がメルト・ダウンを起して身のまわりが放射能汚染されたとしても、ここを出て行くつもりはありません。所与の条件のwholeを受け入れるつもりなのです。これこそがhealthなのではないか、と思います。なお、浜岡原発メルトダウンしたら、日本のほぼ半分の領域は放射能汚染されるでしょう。何を取っても、何を食べても放射能入りである、という状況を考えてみてください。その条件下で生きていく、という覚悟が必要でしょう。チェルノブイリ原発事故で被曝したウクライナの人たちを考えてみてください。



今日のひと言:国民がこぞって「健康!健康!!」と囃し立てる国は、不健康だと思う。
       日本もそんな不健康な国のひとつだね。健康増進法、クソくらえ!!

なお、今回の新潟県中越沖地震震度6強で「柏崎刈場原発」にトラブル続出という記事を見るにつけ、東海大地震での浜岡原発ありさまを想像すると、空恐ろしくなります。     




浜岡原発の危険住民の訴え

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