(4回に渡るマンガ特集。途中インターミッションが入ります。)
マンガシリーズ その1
「ジャンケンしよーぜ。俺はパーしか出さない。パーは心のうちを晒すことになるというが、俺はあえてパーを出す!!」とむさい男が言う。言われた女は目が点になるが、とにかくジャンケンは行なわれる。結果は、女の勝ち。
このシチュエーションの場合、女のほうは、男がまずパーは出さないと確信する。すると男はグーかチョキを出すだろうが、男は単純な人なので、「当然女はチョキを出す」と考えてグーを出すだろう。以上のように考えた女はパーを出して勝ったのだ。
さて、この男女、どんな人たちかというと、男は、零細ゲーム制作会社スタジオG3の社長・クリエイター・天川太陽(てんかわ・たいよう)。以前には大手ゲーム製作会社ソリダス・ワークスにいたが、路線の違いで退社してG3を立ち上げたのだ。女は大手IT企業のOLだが、無能な上司に疎まれてG3に出向していて、功績を挙げこのほどめでたく本社に戻った・月山星乃(つきやま・ほしの)。
このマンガは、06年春ころまで週刊モーニング(講談社)に連載されていた「東京トイボックス」(原作:うめ・コミック全2巻発売中。うめのブログは
http://blog.chabudai.com/ なお、「うめ」は、Takahiro OzawaとAsako Seoの合同ペンメームらしい)。トラックバックhttp://blog.chabudai.com/trackback/576927
ゲームのお話だが、あいにく私は、インベーダーゲーム以来ゲームというものはやったことがなく、その意味ではジャンルの違うお話である。それでも、この2人の男女のラブコメと考えると、結構楽しめるのである。
太陽は、以上のお話のように単純な人ながら、クリエイターとしての能力は天才級である。ただし、ゲームの仕上がりの細部にこだわるため、取り決められた仕様は勝手に変更するし、納期も守れない。星乃は逆に作業管理のプロであり、星乃がG3に在籍中は、ことごとく衝突する。ただ、納期を破ってまでした仕事が、先方に評価されたことがあり、太陽のクリエイターとしての能力を見直し・頬を染める。・・・これって、ラブコメの基本だよね。ほら、第一印象が悪かったが、実は相手の素顔は・・・というやつ。
この2人の関係は、男女の基本的関係でもある。無限に自己拡張したい男と、ブレーキを掛け、収縮させようとする女。SEXという営為も連想する。
冒頭のジャンケン、社長としての能力はない、と自ら悟った太陽が、社長として星乃をヘッドハンティングするためにIT企業のコンコースに現れたシーンである。この場で、太陽は星乃の力もあって出来たゲームを渡して去るが、自宅でそのゲームをやってみた星乃、ちゃんと自分の名前もクレジットに入っているのを見て感涙する。そしてG3にTELし、もう一度ジャンケンすることに応じる・・・なかなか良い出来のラブコメではないかな。だって、大手IT企業の部長候補の立場を捨ててまで、零細ゲーム製作会社の社長という茨の道を選ぶこと、しかも水と油ほど性質の違うらしい業界を選ぶこと。愛がなくっちゃ、出来ないことだね。男女がお互いの長所に惹かれあい、欠点を補いあえれば、これほどのベスト・カップルもないだろう。それにしても、天川太陽といい、月山星乃といい、なかなか実在しそうもない名前で、スペース・オペラか、と勘違いしそうだ。聞けば、続編も作るとのこと、相反する愛し合う2人はこれからどうなるか、興味津々だね。
今日のひと言:「あんだは、ゲームのことだけ考えねば!!」このように星乃はしゃべるこ
とがある。特に感極まったとき。そう、彼女は秋田県出身という設定になっているのだ。エリートOLという設定ながら、「電脳戦士モバイラー」好きという点で、他のユニークな社員たちとも、微妙に話が合うのも面白い。
* *ラブコメは、論評のしようがないので、困ってしまいます。今回のブログは粗筋の説明ですねえ。ラブコメは、どんな形であれ、ラブコメです。語れるのは、そのラブコメで、どのようにツーショットの愛の進行が描かれてているか、という点だけですね。
今日のひと言2:安部晋三首相直属の教育再生会議とやら、トヨタ自動車の会長の張富士夫氏やら、外食産業の勝ち組・ワタミの渡辺美樹社長やら、競争原理のなかで生きてきた「商人」といった面々が目立つ。そうすると、「教育バウチャー制度」のような学校間に競争原理を導入しようとする制度をゴリおしする意図がはっきり読取れる。ワタミ社長自身「教育バウチャー制度」推進論者だ。学校を居酒屋チェーンに変えるつもりか。ヤンキー先生・義家弘介さんとか百ます計算の陰山英男さんとかなどは、生徒の視点に立っているという「隠れ蓑」として起用されたようでもある。シンクロナイズドスイミング元選手の小谷実可子さんとか独創性のない演出家である浅利慶太さんなどは不可解な人選。浅利さんには「特に理念がないらしい」。これら4人の人たちは単なる数合わせだな。また、座長の野依良治さん(ノーベル化学賞受賞者)などは、「権威付け」のために起用されたのだろう。彼の秘密主義も気になる。私はこの会議があまりいい方向に日本の教育を導く気がしない。ワタミの社長は「生徒」のため、と言っているようだが、「商売」のためだと、はっきり言うのが正直なのではないか。(ソース:筑紫哲也のNEWS23 06.10.18、読売新聞 06.10.19号)諮問会議というものは、構成メンバーを見れば、その目的がはっきり解かるものなのである。立場がばらばらな17人だが、核心は「商人の論理」である、と私はみる。(←長い「ひと言」になりました。)
今日の一言3:ディープインパクトが凱旋門賞失格!!とのニュースが流れているが、禁止薬物を処方したのはフランス人の獣医師であるという。これは、優勝してもしなくても、ディープインパクトを失格にしよう、との悪意を感じる。ヨーロッパ人は底意地が悪いことを肝に銘じるべきだ。
- 作者: うめ
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* 過去ログで取り上げたマンガ、アニメ関係ブログ
エヴァンゲリオン、ベルセルク
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051211
課長バカ一代
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バジリスク
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