虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

    
         *味噌の真の姿と製法
( 以下の文章は、現在執筆中の「野草を食べる・JIMI(滋味)!」の1コーナーです。)

 味噌は、もちろん調味料のひとつです。調味料の添加の順番「さしすせそ」の、最後の「そ」が味噌のことです。しかし、味噌は食材としての顔も持っています。それも極めて重要な。
 そもそも、動物が生命を維持するために、「塩」と「タンパク質」は、「炭水化物」「脂肪」とならび、第一義的に重要な栄養素です。味噌は、その「塩」と「タンパク質」が同時に摂取できる、極めて「お得な」食材なのです。飢饉の際、必ず不足するのがさきほど触れた4つの栄養素です。プラス植物からのビタミン、ミネラルといったところでしょうか。植物は、天然のサプリメントなのです。
 そうすると、意外な事実に驚かされます。味噌を作る際、必要な材料、すなわち「大豆」「塩」「水」「麹(こうじ)」の4つで、一番高価なのは、「麹」なのです。「塩」と「タンパク質」を摂るだけなら、「茹でミンチ大豆の塩漬け」で十分であり、「麹」は不要です。おそらくは、「茹でミンチ大豆の塩漬け」にたまたま麹・酵母の発酵が起き、ただの「茹でミンチ大豆の塩漬け」より美味しくなったのが、今の味噌の起源なのでしょう。
 発酵によって、味と栄養吸収効率が良くなった味噌は、かならず備蓄しておくべき食材です。その価値は、場合によっては、金(きん)やプラチナより高価です!

(森下家での味噌製造法)
① 材料  乾燥大豆:麹:塩=10:6:3の重量比で揃えます。塩はできれば「赤穂の甘塩」とか「岩塩」がいいですが、森下家の場合、精製塩と甘塩を混合して使用しています。大豆は、遺伝子組み換えでない有機農法栽培のものを使うのがいいでしょう。麹については、米麹なら辛目、麦麹なら甘目の味噌が出来ます。
② 大豆は大鍋で、手ですぐつぶせるくらい柔らかくなるまで煮て、荒熱を取り、ポリ袋を2重にして足で踏みつけてつぶします。粒があまり見えなくなるまで。
③ その間、麹と塩はバランスよく混ぜておきます。
④ つぶした大豆と③を混ぜあわせ、おおむね野球ボールくらいの玉状にし、それを保存容器にきれいに敷き詰めていきます。
⑤ 一杯になったら表面をならし、塩を振り、密閉します。雑菌の発生を防ぐためです。
⑥ 夏なら1ヵ月後、冬なら2ヶ月後を目安に容器のなかをかき混ぜます(天地返し)。
⑦ 6ヶ月も待てば使用可能になります。以上、お楽しみください。

**注意:容器を開けた際には、天地返しであれ、小分けするときであれ、作業終了後、かならず塩を振っておきます。         以上です。

今日のひと言:日本テレビ系「どっちの料理ショー」は、言って見れば、「50円玉を並べ、どの50円玉がベストか、大真面目に競い合う」コンテストである。