虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「r>g」:ピケティの式の意味と意義~現代の『資本論』

「r>g」:ピケティの式の意味と意義~現代の『資本論

フランスの経済学者:トマ・ピケティの『21世紀の資本』は2013年に出版され、フランス語の原典で900P超、日本語版でも700P超の大部な本ですが、世界で50万部売れ、ベストセラーになりました。


ピケティは、近・現代の世界の経済のみならず、古代の経済なども視野にいれて、精力的にデータベースを構築し、その上で有名になった「r>g」という式を導いています。


この「r>g」、「r」は「資本収益率」、「g」はGDP成長率のことであり、ほおっておけば、資本家が享受する経済的利益は労働者が享受する経済的利益を上回るであろう、という意味のことが述べられています。富の資本家階級での蓄積・・・この偏りを修正するため、資本家への累進課税相続税)を強化し、富の偏りを均す必要があるとピケティは主張します。


なお、「r>g」は、数学的に緻密な証明によって支持されるのではなく、歴史的推移(事実)として導かれた式なのだそうです。(『図解ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!:高橋洋一あさ出版』134P)


ピケティの論の鋭い点として、ノーベル経済学賞受賞者のサイモン・クズネッツの「資本主義の初期段階では所得格差が拡大するが、やがて経済成長によって所得格差は縮小していく」(前掲書145P)という論理を覆したということがあります。事実としては格差が固定・拡大されてしまうのですね。


ここで私はマルクスの「剰余価値」といった概念を連想します。経済的利益の、資本家と労働者の間での再配分をめぐる論議。以下、「剰余価値」(wiki


マルクス経済学は労働価値説に立脚する。産業資本において資本が労働力を用いて商品を生産する過程(生産過程)での労働量は、労働者の生活に必要とする労働(必要労働)と、それを超える剰余労働(不払労働)から構成され、この剰余労働によって生み出された価値が剰余価値である(『資本論』第1部参照)。利潤は剰余価値のあらわれであり、利子、地代は剰余価値が形を変えたものである(『資本論』第3部参照)。


剰余価値は商品交換(流通過程)によっては生まれない。なぜなら、流通過程においてどんなに不等価交換が生じたとしても、社会全体の価値総額は常に等価であるからである。それゆえ、利潤が商品売買の差益から生まれるという議論は誤りである。


それでは剰余価値はいかにして生まれるのか。労働力はその使用価値そのものが価値を生み出す独特な性質を持つ一商品であり、労働者の肉体に存在している。労働力商品の価値額はその再生産に必要な労働時間によって規定される。ところが資本の生産過程において現実に支出された労働量、したがってそれが商品に対象化されたものとしての価値量は、労働力商品の価値量を超過する。この超過分が剰余価値である。



今日のひと言:マルクスとピケティの発想は似ていると思います。アダム・スミス新自由主義の経済学が似ているように。ただピケティはマルクスは読んでいないらしいです。今回は「21世紀の資本」は読むのを敬遠しましたが(なぜなら余りにも大部な著作なので)、超簡単な入門書としてこの度の本を読んだわけです。ただ、著者の高橋洋一さんは、その経歴から、日本の新自由主義の本流にいる人みたいでした。加藤寛竹中平蔵などの愛弟子といった感じ。


参考過去ログ 
 
d.hatena.ne.jp



21世紀の資本

21世紀の資本

マルクス自身の手による資本論入門

マルクス自身の手による資本論入門

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)



今日の一品



@茎レタス


f:id:iirei:20181108000959j:plain


台湾産の缶詰。日本人には「ステム・レタス」とか「ヤマクラゲ菜」として記憶している人もいると思われます。齧ったときの歯当たりがシコシコしていて、キュウリの代用品にもなりそうです。

輸入元:三洋通商株式会社(茨城県神栖市太田字宝山3474番地28)

 (2018.10.31)



@ハンペンのコンソメ


f:id:iirei:20181108001048j:plain


以前も作ったハンペン煮に少々手を加えました。コンソメを200ccの水で加熱し、塩、ミリン、ラー油を加えたところにちぎったハンペンを入れて煮、最後にユズの皮少々加え、一煮立ちさせて火から降ろします。

 (2018.11.01)



@レバー・ニラ・エノキダケの炒め物


f:id:iirei:20181108001114j:plain


レバーもエノキダケもニラも鉄分をよく含み、貧血に悩む女性にはウレシイ料理でしょう。ニラにはさらに、ビタミン、ミネラルも期待できます。

(2018.11.02)



@キクイモのケチャップスープ


f:id:iirei:20181108001140j:plain


キクイモを一度茹でこぼし(アク抜き)、戻した干しシイタケとオリーブオイルで炒め、水を張ってエノキダケを加えてゆでます。塩を一つまみ、ケチャップを入れてひと煮立ち。好みでハーブやスパイスを入れます。(今回入れ忘れました。オレガノとかバジルなどが良さそう。)キクイモは柔らかく仕上がりました。このキク科の植物はイヌリンという糖尿病に効果がある成分を含みます。タンポポにもイヌリンが含まれています。(タンポポもキク科の植物です。)

 (2018.11.05)






今日の四句



二種の草
春の覇権を
競わんや


f:id:iirei:20181108001238j:plain


苗の状態で向き合う「ホトケノザ」と「オオイヌノフグリ」、春先の美の幾分かを占めます。

 (2018.10.28)




西日浴び
草が作るや
波表


f:id:iirei:20181108001313j:plain


上に書いた草2種が作る大自然

 (2018.11.03)




水落ちた
水路で気張る
タネツケバナ

f:id:iirei:20181108001351j:plain


小振りの草で、食用になります。アブラナ科

 (2018.11.04)




素早くも
軒に吊らさる
干し柿


f:id:iirei:20181108001426j:plain

 
 (2018.11.04)