陰陽五行論とフォン・ドマルスの原理:神話と統合失調症
私は長年、中国哲学に馴染んできて、色々な考察をして来ました。その内の一つ、「陰陽五行論」について、拙著「災害の芽を摘む」で、以下のように述べています。
言葉の素朴な意味として、「行」は「行動する」ということであり、「元素」という意味ではないことに注意してください。五行とは、「働き、機能」のことであり、元素や素粒子のような「粒子」のことではないのです。(*1)もしそうなら、五行ではなく、「五物」でも良いはずです。例えば「鉄」は金の1つです。古来からの有力な武器であり、「人を切って傷つけます」。ところで、原水爆の落とし子、「プルトニウム」。これは猛毒で、わずかでも吸い込めば肺ガンになります。現象は異なっても、「人を傷つける、攻撃する」点では鉄と同様です。
これらの「働き」を「金」と呼ぶわけで、五行論は世の現象の間に、相似性を見出す理論なのです。どんな現象も、五行の要素に分類され、その過不足によって災害が起こります。そして、木は甲(陽)、乙(陰)、火は丙(陽)、丁(陰)という具合に、2×5=10通りに分けられます(十干:じゅっかん)。これで陰陽五行です。
:災害の芽を摘む 23P
この記述の場合、「働き」=「行為」をもって、実際の物事の類似性を見出すので、個々の物事の一般的な差異を無視して、「働き」を以って類似性を見出す論理なのですね。
一方、そのような認識法の陥りやすいことに関し、以下のような理論があります。フォン・ドマルスの原理です。
神話や統合失調症患者の世界把握パターンを説明する、精神科医フォン・ドマルスが、豊富な症例から帰納した原理。
通常の認識では、文法的構文の基本「AがBをする」があるとき、主語のAによって、行為者を認識するが、述語のBによって行為者を認識する者がいる、という主張である。この場合、「体をあたあためる」ものを、同じことだからと、「コタツ」と「太陽」を同一なものだと認識するようなことを指す。
なお、コンピュータ言語の記述・解析にもこの原理は応用できる。
:私が登録した「はてなキーワード」
確かに、陰陽五行論は神話的な認識法であり、「攻撃性」をキーに「金」に鉄とプルトニウムの相似性を見出す意味で、ある意味、優れた方法論ですが、フォン・ドマルスの原理に照らし合わせれば、この方法論は、統合失調症の患者が取り易い認識法であり、ある意味、このような認識法には、危険も伴うと言えるとも思います。実際、「攻撃する」という述語によって、「鉄」と「プルトニウム」は同一だと見るわけで、実際はあくまで「相似性」を示すに過ぎないことを忘れてしまう危険性があるのです。
今日のひと言:「陰陽五行論」は、ある意味人類の宝のような方法論ですが、「フォン・ドマルスの原理」によって、行き過ぎた「同一視」を補正しなければならないでしょうね。
過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20111206#1323168231
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今日の料理
@蓮根のタルタル・シーチキン詰め炒め
弟作。蓮根の穴にタルタルソースとシーチキンを混ぜて詰め、塩胡椒し・片栗粉をまぶしオリーブオイルで炒めます。
(2016.01.23)
@ラム・ニラ玉炒め
弟作。市販の調味料「香味ペースト」(クック・ドゥ:味の素)で味付け。ラム、卵、ニラの順番に炒め、この調味料を加えます。
(2016.01.23)
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桃屋の海苔の佃煮「ごはんですよ」を溶き玉子に入れて焼きました。佃煮の塩辛さがいくらか料理の甘味を増加させたようです。
(2016.01.25)
@鶏モモ肉の味噌田楽風
弟作。茹でた鶏モモ肉に味噌と砂糖を混ぜたものを乗せ、オーブントースターで加熱しました。
(2016.01.26)
今日の二句
犬二題
首筋に
手綱まわして
犬散歩
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(2016.01.23)
暖かな
行水具にて
眠る犬
行水具に毛布を敷いていました。
(2016.01.23)
今日のロシア・フォルマリズム
「make you a smiling 」
看板にこうありました。なんか変な英語。とくに「 a 」が。これは要らないでしょう。むしろこれを取って「make you smiling」のほうが良さそう。むかし、事業の創立年として「establish in 1986」とした人がいましたが、これは過去分詞にして「established in 1986」とするのが良い。日本人は英語が苦手ですね。
(2016.01.23)