虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

水は私達の体を巡って・支配する (随想録―54)

水は私達の体を巡って・支配する (随想録―54)



2022年夏、ことしも我が家ではエアコンを購入せず、無しで過ごした。最高室内温度は35℃をピークにしたが、乗り切った。頼りは扇風機と、開けるだけ開いた窓からの外気のみ。我が家は室内温度が上がりにくい構造だとは言え、まあ、やせ我慢の類の行動だろう。


汗をかきながら、気づいたことがある。汗が皮膚の各部から滲みだし、皮膚をしっとり蔽う。この汗が蒸発する際、体から熱を奪い、結果涼しくなるということ、これを実感した。


でも、気になるのは、私くらいからの老人は、この発汗能力が衰え、高温に晒されることは、熱がストレートに体を襲い、生命の危機を考えなければならないとされている。その意味では、こんな風に夏を過ごす私は、いつかは熱中症で死ぬであろうこと。


ただ、こうも言えないこともない――老人でない人であっても、いつでもエアコンの恩恵を受けていると、「発汗能力が退化する」ことは考えられないだろうか?だって、エアコンの快適さは、発汗を必要とせず、その能力を使う必要をなくさせるから。



(絵は、易経の卦:坎(かん)から、「水」の字が出来る次第を描いた。)


体内を巡る水として、血液、リンパ液などがあるが、特に血液は人の行動を大きく支配する。体から出ていく尿、汗、涙、精液、愛液などは、どれも血液が元になって出て来る液体だ。どれも人間の行動を大きく支配する。


人間の体は、自然界の水循環を模倣する。海で温められた水は水蒸気になって空に昇る。これすなわち発汗だ。血液は川であり湖だ。血流が滞れば、人体は大きなダメージを受ける。腎臓で血液を濾さないと、尿毒症になるが、これも自然界に放出された汚染水を浄化しないと環境が壊れるのと同じだ。脳の血流がその人の限界を超えて流れると、ダムが壊れるように奔流し、脳溢血になる。(これは私の叔父に起きたことで、銀杏葉エキスを試していて、ここに触れたような経緯で死亡したのだ。)


水は、あたかも意思があるように、地球上で、また人間の内外で、自己展開する。


 (2022.10.12)






今日の7句


ピラカンサ
今年の実入りは
少なそう



冬の小鳥たちの食糧が減ります。

 (2022.10.17)



これからは
むしられまいぞ
彼岸花



昨年は、花後の葉をむしるバカがいたので、今年の花が貧相でした。

 (2022.10.17)



稗も見ゆ
それでも稲穂
よく育ち




林を伐り「開拓」した水田の現状。

 (2022.10.17)



収穫後
淋しそうなり
水田や



 (2022.10.18)



見栄えよし
ただそれだけの
チェリーセージ



観賞用のセージです。薬用となり有用なのはコモン・セージ。

 (2022.10.18)



青と黄が
見事な色の
黄葉か



 (2022.10.18)



世界から
石を盗んだ
墓石か



日本は、世界中から墓石用の石を買い集めています。

 (2022.10.18)