虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

生垣とブロック塀:どっちが優れているか?

最近は、植物を茂らせて壁とする生垣が減り、代わってブロック塀が増えています。これってどういう現象なのでしょうか。まあ、人間が無機物を好むようになってきたからでしょうが、一般の人の意識のなかには、生垣よりブロック塀が現代的だと思う傾向があるのでしょう。


ある知人のお爺さんの家の場合、それまで生垣だったものをブロック塀に代えましたが、彼は畑を借りて農作業をする人だったので、生き物である生垣を捨ててしまうのは意外だったですし、対植物の意識が中途半端だな、とも思います。


ブロック塀の利点の1つは、外から生活の場を覗かれにくいという点があると思います。生垣だと木々の隙間から、そこに住んでる人の有様がなんとなく解るのですね。ブロック塀なら、文字通り「視線をブロック」するのです。


ただ、ブロック塀には致命的な欠点があります。私は受験生時代、東北大学を最初に志望校としましたが(実際は東北大学京都大学東京大学と志望は変わりました)、大学入学のその年、1978年でしたが、東北地方にかなり大きな地震が起き、ブロック塀が倒れ、その下敷きになって負傷した人が多いというニュースが日本中を駆け巡りました。これはブロック塀の大きな欠点だと思います。


一方、生垣の場合、侵入者から家を防ぐという意味で、なかなか優れていると思います。木々が密に植え込まれているので、侵入者がノコギリでも使って木を切らない限り、生垣を通りぬけることが出来ません。むしろ、ブロック塀なら、飛び越えて敷地に入れるので
より簡単だと思うのですね。




(鑑賞用にもなるドウダンツツジの生垣)



また、これは現代人には思いも付かない発想ですが、越後から米沢に転封された上杉家、家臣の直江兼続とか藩主の上杉鷹山は、各戸の生垣に、「ウコギ」(植物)を使うことを奨励しました。この植物は、食糧とすることができる優れものの木なのです。主に葉を、炊いたご飯に混ぜてたべる「ウコギ飯」が定番です。米沢藩では、いろいろな産業を奨励し、また常日頃から飢饉への備えを怠らなかったため、江戸時代には何回もあった飢饉に耐え、餓死する藩民は皆無だったそうです。


参考過去ログ

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090824#1251092373

  :上杉鷹山と「かてめし」(かてもの)


その意味で、現代人は食糧危機という事態に対して、無関心、かつ無力なのだと思います。ブロック塀は、侵入者を拒否したり、プライバシーを守るといった機能は持っているとも思われますが、生垣には、食糧の補助という切迫した機能があるだけではなく、たとえば花木(たとえばドウダンツツジ)を植えて、観賞するという、審美的な機能も持ちえるでしょう。これは精神衛生上、とても重要な機能です。私は、生垣の再発見・再評価を要請する者です。


そう言えば、「垣間見る:かいまみる」という言葉がありました。この言葉については

[動マ上一][文][マ上一]《「かきまみる」の音変化》物のすきまから、こっそりとのぞき見る。また、ちらっと見る。物事のようすなどの一端をうかがう。「カーテンの間から―・みる」「大人の世界を―・みる」

http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/37019/m0u/ より


思えば、源氏物語で、主人公・光源氏は、若き日の紫の上を垣根越しに見出し、引き取ってのちの正妻になるまで「理想的な」女性になるように教育しました。この辺の重要な道具立てとして、垣根があったのですね。



(庭が垣間見える生垣)


今日のひと言:木という生き物は、適宜手を加えないとダメなものです。ほおって置くと、無秩序に茂ってしまいますので、生垣にした木々も、定期的な剪定・管理が必要になります。もしかしたら、それにかかる手間とか剪定者への謝礼がうっとおしいので、生垣からブロック塀に移行した人もいたかも知れません。でも、それってもったいない行為だと思います。




生垣図鑑―新しい生垣の提案

生垣図鑑―新しい生垣の提案

生垣とカバープランツ

生垣とカバープランツ

穴あきブロックの考現学

穴あきブロックの考現学



今日の料理


@ブリのケチャップ・醤油煮・すりショウガ入り






弟作。ケチャップ、醤油の入った水にすりショウガを加え、ブリの切り身2個をひたひたにならないほどにして、一回裏返して煮ました。ショウガの力でブリの生臭い風味が矯正されていました。

 (2015.05.08)




@ナスの煮びたし





ほんとは、この料理がそんな名前なのかは解りませんが、わが家ではそう呼んでいます。我が家の定番料理です。縦2つに割ったナスに横に切れ目を入れ、水+ヤマサの昆布汁+醤油+トウキビ糖でフライパン上で煮込み、仕上げにショウガ、カツオ節を掛けて完成。びっくりするほど美味しかった、弟作。

 (2015.05.09)





@蕗のピリ辛




弟作。「なにか変った味付けをしてごらん」との私の言葉を受けて。水+味噌+「乙女たちのおかずラー油」(S&B食品)+カイエンペパー(少々)で味付け。蕗の風味もちゃんとあり、面白い一品になりました。

 (2015.05.10)




@カジキのムニエル・タラゴン風味





わが家の得意料理。今回は私が担当し、ハーブ・フレンチタラゴンの風味を添えました。タラゴンの風味は、肉にも魚にも合います。

 (2015.05.12)





今日の一句


人、いじめ
コマツヨイグサ
されど咲く





米原産の帰化植物コマツヨイグサは在来種に影響を与えるということで駆除の対象になりますが、案外美しい花を夕方につけます。私がウオッチングをしている道路では、この植物に限らず「雑草」という「雑草」を駆除しています。それにもめげず、コンクリートの隙間から育つとは、中々の物です。

 (2015.05.09)