硫黄島からの手紙:戦争の狂気〜イーストウッドの映画
かれこれ10数年前、アメリカの俳優&映画監督:クリント・イーストウッドが、日米の小笠原諸島にある硫黄島における激戦の模様を、アメリカ側と日本側の両方の立場から2本の映画を製作しました。この映画「硫黄島からの手紙」は、日本側から見た戦闘の記録です。
そもそも、なぜ小笠原の小さな島を争奪しあったのかと言うと、この島は飛行場を作るのに最適な地形をしていて、もしここに飛行場を作れれば、日本本土に向けてダイレクトに爆撃機が発着出来るのでした。
硫黄島守備隊の栗林忠道隊長(陸軍中将)は、それもあって、もはや制海権も制空権もアメリカに握られている絶望的な情況のなかで、「一日でも長く硫黄島を飛行場にしない」戦いを構想し、いわゆる無駄死にの「玉砕」「万歳突撃」を部下達に禁じ、ストイックな形でアメリカ相手に善戦します。実際、この硫黄島の戦いでは、日本軍よりアメリカ軍の損害が大きくなるという太平洋戦争唯一の戦果だったということです。(これは、戦死者の数ではなく、軍にまつわる諸経費とかのことです。)
そもそも、硫黄島はその名の通り、火山性で硫黄ガスが立ち込め、トンネル状の坑道網を掘るだけでも、暑さと硫黄の毒気で寿命が縮まるような過酷で劣悪な環境でした。それに抗してアメリカ軍相手に戦い抜いた硫黄島守備隊の健闘は、賞賛して余りあるものだと思います。
さて、ここまでの記述は、イーストウッドの映画からではなく、私が小学生の時代に見た「アニメンタリー決断」に拠っています。ここからが本番。栗林中将を演じたのは国際俳優・渡辺謙。ほかに中村獅童。この映画では、「穴掘り」のくだりは触れられておらず、案外坑道網は快適であるように見えました。以下、3つの「おやまあ。」という描写について。
1)アメリカ兵は、白旗を挙げて降伏と意思表示をした日本兵を「世話が面倒だから」と撃ち殺します。捕虜には丁重に接すべし、という国際法のような原則を、あっさり踏みにじるということで、イーストウッドは、実話からこのエピソードを持ってきたのかな、と思いました。
2)ある兵士が国内で憲兵をしていた時、日章旗が掲げられていない家に目をつけた彼の上官がその家に上がりこみ、女性の「力がなくて掲げられないのです」という弁解を聞かずに怒鳴りつけ、イヌが吠えているのに目をつけ、「こんな金食い虫を飼うなんて、非国民だ、さっさと殺せ」といい、兵士に銃を託して家の外に出ます。殺すに忍びない兵士は空に向って一発撃ちますが、いざ兵士が外に出ると、まだイヌが吠えていたので、命令違反の兵士をさんざ殴り、わざわざ家に戻ってイヌを射殺します・・・
3)硫黄島にて。「玉砕」は禁じられていましたが、自発的に死を選ぶ兵士たちもいました。そこで、手榴弾の安全ピンを抜いて2、3秒・・・手榴弾は爆発し、それを手にしていた兵士はミンチになってしまいます。・・・
今日のひと言:クリント・イーストウッドは、まあ、創作の部分もあるでしょうが、事実をよく拾って映画を作ったのかな、と思います。
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