虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

川瀬巴水〜〜手慣れた「絵の職人」


石巻の暮雪


2014年初頭、千葉県在住のブログ友達・「白魔女」さん宅を伺うのに、空いた時間を千葉駅前でいろいろ歩き回り、千葉市美術館で今回話題にする版画家・川瀬巴水(かわせ・はすい)の絵の展覧会を観てきました。白魔女さん宅でのことは以下を。

http://d.hatena.ne.jp/whitewitch/20140117/1389976669

 :スペシャルゲストご来訪〜!


この人は、遅咲きの画家で、修行するには歳を取りすぎているという理由で鏑木清方(かぶらぎ・きよかた)に入門を拒否されましたが、その後、改めて弟子入りを申し込み、こんどは受け入れられたという経歴があります。彼の略歴についてはwikiから


川瀬 巴水(かわせ はすい、1883年(明治16年)5月18日 - 1957年(昭和32年)11月7日)は、日本の大正・昭和期の浮世絵師、版画家。本名は川瀬 文治郎(かわせ ぶんじろう)。


衰退した日本の浮世絵版画を復興すべく吉田博らとともに新しい浮世絵版画である新版画を確立した人物として知られる。近代風景版画の第一人者であり、日本各地を旅行し旅先で写生した絵を原画とした版画作品を数多く発表、日本的な美しい風景を叙情豊かに表現し「旅情詩人」「旅の版画家」「昭和の広重」などと呼ばれる。アメリカの鑑定家ロバート・ミューラーの紹介によって欧米で広く知られ、国内よりもむしろ海外での評価が高く、浮世絵師の葛飾北斎歌川広重等と並び称される程の人気がある。

(中略)

1918年(大正7年)、師の清方が得意とした美人画で行き詰まりを感じ始め、同門・伊東深水の版画「近江八景」に影響を受けて版画家に転向。当時浮世絵版画は衰退の一途を辿っていたが、風景版画「塩原おかね路」、「塩原畑下り」を製作、数々の作品を渡辺版画店より発表し始める。これらを第一作として終生、夜、雪などといった詩情的な風景版画を貫いた。始めは伊東深水の影響が大きかったが、次第に歌川広重小林清親の風景版画を研究していき、技法的な工夫も見られる。また全国各地に取材しており、数量も多い。新版画家中、織田一磨による石版画の風景画に対抗するかのように、木版風景画で良く知られた存在である。(後略)


なかなかの苦労人です。ただ、多数出展してあった絵たちを観るにつけ、「これは一種のマニエリズムではないか」という感想を持ちました。つまり、技巧に入れあげるあまり、肝心の独創的な視点が巴水から抜け落ちているのではないか、ということ。そう思う理由の一つは展示してある版画には、同一の意匠の繰り返しが見られること。このブログの冒頭に挙げた絵「石巻の暮雪」は、歌川広重の絵(「蒲原」など)を模した風味がしますし、下に挙げる「歌舞伎座」の場合、無難に絵を纏めているけど、感動がないのです。いつか私が取り上げた速水御舟の絵とは似て非なるものです。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20130723#1374551060

 :速水御舟の炎舞〜梯子(はしご)の上り下り






歌舞伎座


今日のひと言:巴水の版画が欧米で持て囃される一番大きな理由は、欧米人が「浮世絵」の鑑賞法をよく知らないからかも知れません。巴水の版画には北斎・広重のそれのような、「ワクワクする」冒険がありません。なお、今回の絵2点は

http://www.hangasw.com/shop/hasui/

から引いてきました。



知識ゼロからの浮世絵入門

知識ゼロからの浮世絵入門




今日の料理



@オクラのピリ辛マヨネーズ焼き





「今日の料理ビギナーズ」(8月号)より。オクラのヘタの先を少し切り落とし、ガクの部分は剥きとる。マヨネーズ大匙2、醤油小匙2分の1を混ぜ、オクラ10本を良くまぶし、オーブントースターの天板に乗せ、七味唐辛子を振り、5、6分焼く。(ただ、このレシピでは塩辛さが足りなかったので、食卓で塩を振って食べました。

 (2014.08.17)




@ゼンマイのナムル





ナムルとは、茹でた野菜をゴマ油で和えた料理。ゼンマイのナムルはビビンパに欠かせぬ食材ですが、毒があります。あく抜きしないで食べると中毒になり、あく抜きしてもビタミンB1を破壊し、食べ続けると発がん性も発揮します。それでも韓国人は料理の重要な食材としています。一つの理由は、精力を持て余す「チョンガー:独身男子」の精力を和らげるという意味もあるのでしょう。わざとビタミンB1を破壊させるのです。


なお、今回使ったゼンマイは、富山県の純・日本産でした。中国産は、どんな食材でも怖いです。たとえ毒を持つゼンマイであっても。それ以上の毒が人為的に混入するケースが多いです。たとえば、鉛(ナマリ)汚染は、中国の農地に広く蔓延しています。公害を出し続ける工場と、工場長とツーカー共産党員の共謀によって。

 (2014.08.17)




@ミディトマトのセミドライ・茗荷掛け






以前取り上げた小田真規子さんのレシピから応用。ヘタをとり十文字に切れ目を入れたミディトマトを、ぎっちりの容器に詰め込み、
3分、3分に分けて覆いをせずに電子レンジにかけ、水分を飛ばし、冷めてきたところで、塩を振り、刻んだ茗荷を乗せます。トマトの味が濃縮されて、ケチャップのようになりました。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140702#1404295835
 :小田真規子の缶詰料理・干物料理
 (2014.08.20)





今日の一句


家の北
香り漂う
百合(ゆり)の花






どこからともなくやってきた種から、我が家の玄関の北に花を結びました。「ど根性大根」ではなく「ど根性百合」ですね。

 (2014.08.18)