人は見た目が9割〜違和感のある書名と「コクトーの詩」
この挑戦的な表題に「反感」を持って、図書館から借りてきました。ただ、こう言った断定的な書名は、センセーションを狙いに出版社がつけることが多く、この本も、「ノンバーバル・コミュニケーションとは何か?」とでもした方が、より内容に合っていると思われます。この本の著者は、マンガの原作、演劇を手がけている竹内一郎さん。(芸名は「さい ふうめい」。新潮新書の一冊です。
そもそも、バーバル・コミュニケーションというのは、言葉による伝達で、ノンバーバル・コミュニケーションは、言葉によらない伝達。(バーバルというのは、言語で、と言った意味ですね。)驚くべきことに、前者は全コミュニケーション中、7%程度の伝達を担っているに過ぎないというのですね。・・・で、あれば「人は見た目が9割」というよりも「人は見た目が9割3分」となってしまいますね。
アメリカの心理学研究者のアルバート・マレー日案博士は人が他人から受け取る情報の割合について次のような研究成果を発表している。
@見た目・身だしなみ・仕草・表情 55%
@声の質(高低)、大きさ、テンポ 38%
@話す言葉の内容 7%」
P18
この本が、このようなノンバーバル・コミュニケーションについて、「これでもか、これでもか!」と例を挙げていまして、心理学だけでなく、マンガ、演劇の薀蓄も呈示されますので、さっと読める割には、残念ながら残るものが少ない、と思われれます。そして、一昔前は、この「ノンバーバル・コミュニケーション」という言葉に対応する言葉として「ボディ・ランゲージ」というのが使われていたように思います。
男女の恋愛の機微について書かれた箇所を引用します。
一般には、女性の方がアイ・コンタクトの時間が長い。そして、自分が話しているときより、聞いているときの方が相手を見ている時間が長い。この女性の特性がわからないと、相手の発しているノンバーバル・コミュニケーションを取り違えてしまう。「あんなにじっと目を見て話してくれているんだから、自分に好意を持っているに違いない」というのがそういう勘違いの代表例である。そもそも女性にはそういう特徴がある、と肝に銘じておいたほうがよい。
P55
この本を読んでいて、連想したのが、荒木飛呂彦さんのマンガ「ゴージャス・アイリーン」です。アイリーンはいまだ年少の少女ですが、特殊な暗殺テクニックを持っています。彼女は、独特な化粧をして、香りが立ち込めた中、ダンスを敵に見せるのです。そのダンスは、敵の潜在意識に「自殺したい」という願望を引き起こし、事実、敵は「自殺」してしまいます。アイリーンの決め台詞:「私、残酷ですわよ」
このマンガの冒頭に、
彼女は
身体でうそをつく
どんな言葉より
巧みに
といった(正確ではないかもしれませんが)ジャン・コクトーの詩が書かれていました。暗示的ですね。
今日のひと言:この本の論調に真っ向から異議を唱えるのは「老子」です。70章に「聖人は褐を着て、玉を懐く」とあります。:「粗末な衣服を着て、宝物を隠す」です。見た目の好印象をも否定しているのですね。
- 作者: 竹内一郎
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今日の料理
@エンサイのナンプラー炒め
今年は2年ぶりに庭で育てている「エンサイ」、中国南部や東南アジアで栽培されていますが、これはヒルガオ科の野菜で、サツマイモの近縁種です。ナンプラーはタイの「魚醤」で、この癖のある風味が食欲をそそります。今回はクコの実をアクセントにします。ただ、炒めたあと、色が黒くなるのが困った点です。(今回使ったのは市販のエンサイです)
(2015.08.03)
@豚肉とキャベツのコンソメ煮
弟作。豚肉(薄切り)とキャベツの結婚、仲をコンソメが取り持ちました。唐辛子たっぷり入り。味のカルテット(四重奏)ですね。
(2015.08.03)
@大和芋と茗荷の和え物
弟作。大和芋を短冊切にし、刻んだ茗荷と和えます。出汁はヤマサの昆布汁、カツオ節、辛子も入れて。美味でした。
(2015.08.03)
今日の詩
私の言葉は
毒を含む
その毒舌で
致命的な痛みを
受けた者も多い。
いつか
本の共同執筆を
しようとしていた
仲の良い
友人がいた。
売り言葉に
買い言葉で
私は毒を発し
以後
友人関係は壊れた。
「覆水盆に返らず」
水ならいくらでも盆に
満たせるだろうが
無くなった「その水」は
決して取り戻せない。
(2015.08.03)
今日の一句
今朝は見た
エリザベスカラーの
犬二頭
「エリザベスカラー」とは、ペットがデリケートな部分に手術を受けたあと、首回りに掛けて、舐めないようにする器具です。
(2015.08.03)