虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

究極の自己啓発本:電通「鬼十則」〜鬼とは何か


1. 仕事は自ら「創る」べきで、与えられるべきではない。


2. 仕事とは、先手先手と「働き掛け」ていくことで、受け身でやるものではない。


3.「大きな仕事」と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。


4.「難しい仕事」を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。


5.取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、目的完遂までは・・・


6.周囲を「引きずり回せ」、引きずるのと引きずられるのとは、永い間に天地のひらきができる。


7.「計画」を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。


8.「自信」を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。


9.頭は常に「全回転」、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。


10.「摩擦を怖れるな」、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる。


・・・以上は東京新聞に掲載された、大手広告代理店・泣く子も黙る電通」の吉田秀雄社長が電通社員に宛てて残した箴言です。題して「鬼十則」。このごろ電通の社員に対する過酷な労働基準法違反が話題になっていますね。興味を持ったので、図書館から、『電通鬼十則」』(植田正也日新報道:2001年初版)を借りてみました。


この文書・鬼十則は300字余りの短いものですが、これを300字未満の般若心経に比肩するものであるように記述されているのが新鮮です。ただ、一読、鬼十則はかなり無理で無茶な主張をしているように思います。とくに第5則はスゴイと思います。この本では各則に英訳がついていますので、この第5則を挙げて見ます。


Once you begin a task, complete it. Never give up.


(取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、目的完遂までは・・・)



英語では、比較的穏やかな表現になっているようです。「ネバー・ギブアップ」、案外普通に使われる表現ですね。この表現の落差が「鬼十則」が電通社員を過労死や自殺に追い込むほどの魔性を持っていたと思われます。「殺されても放すな」・・・猛獣や大蛇でもあるまいに。


この参考に読んだ本の場合、著者の視点が幾分かブレているように思われます。はなはだしくは、国際連盟からの脱退を決めた松岡洋右先見の明があったと「褒めて」いますが、このような選択は、松岡が外交官として落第だったことを示すのです。フランスの格言だったかに、「ノーと言ったら、それは外交官ではない、イエスと言ったら、それは貴婦人ではない」といったのがあります。植田さんの論は俗流で、この本から、多くのことを学べるとはとても思えません。



今日のひと言:世の中に、自己啓発本の類は多いですが、究極の自己啓発本はもしかしたら「鬼十則」なる「般若心経」かも知れないですね。で、悟れるかな?この自己啓発本というのは、おおむね言葉の意味の、自己たる“私”がするというニュアンスに反し「他者が“私”に押し付けるタイプの」本のようにも思えますね。「鬼」とはなんのことか考えてみるのも大事ですね。


今日2016年12月25日は、電通の新入社員・「高橋まつり」さんが自殺して、ちょうど1年だとのことです。命日です。このような日に拙ブログが「鬼十則」を取り上げるのは奇遇だと思います。「鬼」とは、本来「仕事」に打ち込むビジネスマン姿をイメージしたものかも知れないですが、その意味は拡散して、「部下の社員」に「鬼」の如く接する「上司」とかいった意味になっていったのかも知れませんね。「鬼」も落ちたものです。



電通「鬼十則」―広告の鬼・吉田秀雄からのメッセージ

電通「鬼十則」―広告の鬼・吉田秀雄からのメッセージ

電通 洗脳広告代理店

電通 洗脳広告代理店




今日の一品


ガンモドキの含め煮



通常は塩などを振り、レンジに掛けるガンモドキですが、今回は先に作った魚の煮汁で含め煮にしてみました。なかなか美味しかったです。

 (2016.12.18)



フキノトウ入り味噌汁



この12月下旬、フキノトウが芽生えていました!いくつかあったので、そのうち1本の皮を剥き、刻んで味噌汁に入れました。苦味のある汁です。それにしても、変な気象です。

 (2016.12.20)



@身欠きニシン・3様



弟作。3枚の身欠きニシンを半分に切って、6枚にし、3通りの味付けをしました。まず全てを煮て、1)塩+七味唐辛子+チーズ、2)砂糖醤油に漬けたもの、この2つをオーブントースターに掛け、3)梅サワー漬けにちょっと漬け+とろろ昆布を乗せて電子レンジ、このように味付けしました。

 (2016.12.20)



@法蓮草のバター・ミルク炒め



法蓮草は茹でたあと、15分くらい水に晒し、シュウ酸を抜いて、バター、塩で少々炒め、仕上げに牛乳を入れました。アクセントとして細かく切ったソーセージを少々投入。

 (2016.12.25)




今日のワークショップ


去る12月23日、某所で木片を使ったキーホルダーを作るワークショップに参加しました。私は3つ作りましたが、右からそれぞれ1)私の名の「礼」の旧字「禮」のうち、「豊」の字の下に「示す扁」を持ってきて、左右対称の文字とし、魔除けにしました。鉛筆で下絵を描き、「焼きごて」で溝をつけました。2)半月状の板について、MOON(月)をシールで作りましたが、「M」と「N」の間の「O」がなかったので、ミツバチ2羽を「O」と見立てました。3)最後に、老子の言葉「足るを知るの足るは常に足る」を黒く塗られた板に下書きし、電動ドライバーで削ったあと、赤いサインペンで溝を彩色しましたが、なんと金色になって驚きました。嬉しい誤算です。




以上3種は女性諸氏に人気がありましたが、とくに2)、ミツバチの「ブーン・ブーン」(ムーンに類似した発音で)という羽音も聞こえるとの評価で、もっとも人気がありました。偶然ミツバチを選んだことが良かったのでしょうか。そう考えると、ミツバチが作る蜂蜜(honey)はハネムーン蜜月)に関係するものですから、ここでもミツバチと月の関連性が浮かび上がります。




今日の一句


木が啼くと
近寄りみれば
群れスズメ



街路樹にスズメが寄り集まっていたわけです。

 (2016.12.25)




2016年内のブログは、これにて打ち止め。良いお年を。新年は元旦からエントリーする予定です。