虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

ボクシング漫画あれこれ:傑作は「あしたのジョー」だけではない。

*Cさんに振られたのでボクシング漫画について書きます。(Cさん:ブログ友)*


ボクシング漫画といえば当然!「あしたのジョー」(少年マガジン高森朝雄ちばてつや)は不朽の傑作です。女性には理解しにくいであろう戦う男たちが活写されています。主人公の矢吹丈は悪事(詐欺)を働き、少年院に送られますが,そこで一生のライバル・力石徹と出会うのですね。そしてプロのリングで相見えるのですが、力石はジョーをKOする代わりに、減量苦、激戦がもとで帰らぬ人になります。以後のジョーは、常に死んだ力石のことを意識しながら、リング上で完全燃焼を求め・・・・真白な灰になるまで、求道者であるかのように戦いぬきます。


ちょっと時代が下がって、2作ほぼ同じ時期に連載されていた漫画に「がんばれ元気」(少年サンデー:小山ゆう)と「リングにかけろ」(少年ジャンプ:車田正美)があります。前者は正統的なボクシング漫画で、父であるボクサー(シャーク堀口)が、新進気鋭のチャンピオン候補、関拳児にリング上で殺されてしまい、主人公は親の仇である関を目指してボクサー歴を積みます。幾多の強豪選手と拳を交え、関との戦いは極めて厳しい試合になりましたが、元気はタイトルを奪取し、その後、朝のロードワークをしている場面で爽やかにマンガは終わります。後者も途中まで正統的に見えましたが、じゃかじゃか原理不明の必殺技が飛び出すオカルト漫画になりました。「ブーメラン・テリオス」「ギャラクテカ・ファントム」など。ボクシング漫画としては落第ですが、それはむしろSFジャンルで車田氏が成功する証拠だったかも知れません。「風魔の小次郎」「聖闘士星矢」などのように。ほかに少年漫画では「はじめの一歩」(少年マガジン)というのもありますが、これは未読です。


大人向けのボクシング漫画としては「青の戦士」「ナックルウォーズ」が優れています。原作:狩撫麻礼(かりぶまーれー)作画:谷口ジローです。これらの作品は「男の闘争本能」を、詩のように裁然と提示してくれる傑作です。「青の戦士」は、学園闘争のころに心に傷を負ったハードパンチャー・礼桂(れげ:ガウンの絵柄は“REGGAE”。原作者はレゲエ・フリークだったのです)が、優れたプロモーターに見出され、最強の世界チャンピオンとのビッグマッチを組んでもらい、挑戦者、チャンピオンともに、「悔い無き瞬間、男性原理を共有し」、主人公がチャンピオンをKOします。この漫画上の「詩」にはうなりましたね。クライマックスの作品。一方「ナックルウォーズ」は、むしろプロモーターが主役のお話で、プロモーターがシンジケートを組み、マスコミを盛り上げ、選手がさんざんマスコミに持上げられたイベントだったのに、交通事故で亡くなってしまい(この選手は高速道路でサイクリングするのが趣味で、試合会場に向う途中、あいにくトラックに轢かれたのです。)肝心の試合が組めず、プロモーターがリングに上がろうともがく「アンチクライマックス」のドラマだったです。


Cさん:森下さんこんばんは。ボクシングだけでもそんなにたくさん漫画があるんですか。「明日のジョー」はつらかったので読み進められなかったのですが、森下さんは夢中になった人?男性はけっこう熱く語りますね。


私より弟のほうがボクシング好きだったころがあります。「ボクシングマガジン」という雑誌を定期購読してみたり、WOWOWで世界のボクシング中継を見たり。これは私も見て、チャンプの素晴らしいKOシーンに喝采したり。この辺は、熱く語った例ですね。最近はそれほどのめり込んではいません。兄弟ともに。それはかれこれ20世紀末だったですが、このころは実力派のチャンピオンがたくさんいましたね。もっとも軽いミニマム級リカルド・ロペス(メキシコ):軽量級なのにKO率が異常に高い、正統派ボクサー。(KO率73%)  勇利アルバチャコフ(ロシア:フライ級):精密機械のように敵を葬る。(KO率70%)  ナジーム・ハメド(イギリス):遠距離から踏み込んで、一撃で敵を仕留める。ボクシングのセオリーを完全に無視したスタイルで、「悪魔王子」の異名があった。(KO率はなんと86%!:フェザー級)  ボクシング上では「パウンド・フォー・パウンド」と言って、・・・全階級を見渡し、もっとも強いボクサーはだれか?というワクワク感がありましたね。


今日のひと言:流血する機会の多いこのスポーツ、エイズの感染のオソレがあるから抹消しようとする人びともいるようですが、私は残って欲しいですね。



あしたのジョー ソングファイル ( サウンド・トラック ) TKCA-72506-K

あしたのジョー ソングファイル ( サウンド・トラック ) TKCA-72506-K




今日の一品


@卵、茗荷入りカレー



大塚のボンカレーに、切った茗荷(ミョウガ)を混ぜ、レンジで40秒ほど加熱してとろとろにした卵をあしらいました。とくに茗荷は、同じショウガ科のカルダモンに風味が似ていて、美味でした。

 (2016.08.28)



ミョウガの浅漬け



一個を3分割して、2時間ほど「エバラ浅漬けの素」に漬けました。美味しいです。

 (2016.08.30)



@ハインツデミグラスソースによるシチュー



弟作。ニュージーランドの会社・HEINZのビーフシチュー缶は有名ですね。我が家でもたまに使います。ただ入れる肉はビーフに限らず、今回は「鶏手羽元」を使いました。野菜はニン・タマ・ジャガの定番。あと、補充の意味でケチャップ2絞り。香り付けにローレル。ソース自体には、人工甘味料などのような、明らかな毒物は記載されていませんでした。

 (2016.08.31)



@牛バラ肉、パプリカの味噌炒め



弟作。名前の通りですが、ほかに砂糖(とうきび糖)、ショウガ、七味唐辛子を加えました。味噌は立派な調味料ですね。味噌汁だけに使うのは勿体ないです。

 (2016.09.01)




今日の詩


@擦過傷(すりきず)


私は現在体を使った軽作業をやっている
その際、段ボールとかに手を突っ込み
製品を取り出すことが多い。


手が段ボールに接触するたびに
皮膚の表面が擦られて
皮膚が剥けるようである。


弟が解釈するに
摩擦は火を産み出すもので
擦過傷はヤケドであると。




(さすが、我が弟、鋭い!)


 (2016.09・02)





今日の一句


ツバメたち
稲穂の上を
軽やかに

 (2016.09.03)