力石徹の葬儀(あしたのジョー)
梶原一騎シリーズ その1(全2話)
梶原一騎が生み出した諸作品のなかで、スポコン物で「巨人の星」と並んで最高峰の位置にあるのが「あしたのジョー」です。リアルタイムで読んでいた際は「巨人の星」のほうが面白かったですが、よくよく作品を噛みしめてみると、「あしたのジョー」のほうが良いように思えます。なお、「あしたのジョー」では梶原一騎は高森朝雄という別のペンネームを用いています。(以後、高森朝雄と書きます。)
ここに「力石徹:りきいし・とおる」とは、主人公・「矢吹丈:やぶき・じょー」のライバルであり、過酷な減量の末、ジョーと死闘を演じます。試合は力石のKO勝ち、ただしジョーが試合中、テンプルに打ったパンチでダウン=後頭部がロープで強打され、脳内出血を起こし、急死してしまいます。
この力石を讃え、マンガ上での死後、寺山修司(てらやま・しゅうじ:詩人、劇作家)さんとか東由多加(ひがし・ゆたか:劇作家)さんなどが発案し、葬儀を執り行い、全国から800人もの参列者があったそうです。その日は昭和45年(1970年)3月24日でした。マンガのキャラクターの葬式を実際に行う・・・空前絶後でしょう。その葬儀に5歳で新幹線を乗り継ぎ文京区の講談社にやってきた人のブログです↓。
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この葬儀があったのは、私(森下礼)が10歳、小学校中学年のころです。それにしても、ずいぶん早熟だったのですね、このブログ主。こんな若い年齢の人にも、力石の死と葬儀という事態の影響力があったということでしょうか。
「あしたのジョー」が不朽の名作となったのは、原作者の高森朝雄さんとマンガ担当のちばてつやさんの間に起きた連絡ミスがあったからです。高森さんはジョーと力石がほぼ同じ体格であると想定していましたが、ちばさんは力石がジョーより頭一つ背が高いように描いてしまい、高森さんは頭を抱えたそうです。その矛盾を話にするため、プロで戦う舞台において、力石が過酷な(と言っても足りないくらいの)減量を行い、リングに上がった時点ですでに半死半生状態になっていたということにしたのでした。
このような極限状態に自らを追い込み、ジョーとの決戦に臨んだ力石徹。敵役(かたきやく)として素晴らしいものがあります。でも、この逸話は、あくまで初期設定のミスの辻褄あわせであったということが印象深いですね。むしろ、だからこそ、週刊少年マガジンの読者にとって、力石徹の葬儀は必然だったのではないか、と思われるのです。設定がもとのママでは、減量=死とつながる過酷なドラマはなかったでしょうから。
今日の一言:梶原一騎さん、すなわち高森朝雄さんがどこかで言っていましたが、「巨人の星」と「あしたのジョー」、最初は「巨人の星」のほうが作者として面白かった、でも、平行で連載するうちに、「あしたのジョー」が俄然面白くなってきた、と。さもありなん。
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今日の料理
@マッシュポテト・ゴマ入り
普通に作られるマッシュポテトに、白ごまのすりごまを入れたものです。特別な配慮があったわけではありませんが、それなりに美味しいです。
(2013.06.15)
@クワの若葉のから揚げ風
ごわごわした感じの印象を持つ、クワやヨモギは天ぷらとか、から揚げにして、まるで天使の羽根のような食感がえられるのですが、最近は天ぷらは作らないので、油を大目にいれたフライパンで炒めるのです。それで十分から揚げ風になり、美味しいものです。(5月になると市場に出回る美味な「コシアブラ」を入手して、天ぷらを大々的にやっていたのですが、最近はこのコシアブラもから揚げ風で食べています。何分、火の元が心配な危険な料理であるし、太るからです。)
(2013.06.15)
今日の詩
@根切り虫
朝見ると
植物の苗が
茎から切られている。
根切り虫だ!
こいつは夜に
苗の根本を掻き切り
朝になると
近くの土の中に潜っている
葉を食べれば良いものを
茎を掻き切るので
苗はオジャンになる。
憎たらしい奴!
私は探し回り
その灰色の個体を
見つけると
握り潰す。
カブラヤガ、タマナヤガなど茎を食害するヤガ(野蛾)の幼虫の総称で、一見すると根を切られたように見えるためネキリムシ(根切虫)と呼ばれています。幼虫の状態で土の中で越冬し、暖かい地方では早春から活動し年3〜4回発生します。卵は一個ずつ葉に産み付けられ、ふ化直後は葉を食害していますが単独なため虫も被害も目立ちません。大きくなると昼間は土中に隠れ、夜間に茎を食害します。
http://www.sc-engei.co.jp/navi/gaichu20.html より
(2013.06.16)