ニラの花→
為才さんのブログで面白いやり取りをしたので、その記述から入ろうと思います。http://d.hatena.ne.jp/izai/20111001 より
「ブッダ・カフェ」という集まりの出席者の発言:まずは、「グロテスクなものや、醜いものに「美」を見出すのは、「ひねくれた」神経だからではなく、人が持っている生物としての「弱さ」が求めてしまうのではないか。そして、きれいなものに惹かれることと、一見醜いもの・グロテスクなものに魅かれることとの間の「揺れ」のなかで、美があるのではないか。」
Sさんの意見だった。(この場ではサボテンなどがグロテスクなものとされていたのですが・・・)
森下:些末なお話から入りますと、サボテンを含む「多肉植物」は、砂漠の苛烈な環境に適応して、独特な形をしていますが、多肉植物愛好者はそこを愛でるのです。(マニアの間ではサボテンは「カクタス」と呼ばれます。)一度見てもらえれば解りますが、
そこにも美しさがあるのです。(もっとも、だれでも好きになれる植物ではないのも
事実ですが。ある女性に見せたら、明らかに困惑の表情をされました。)
書き忘れましたが、「多肉植物」はサキュレントと呼ばれます。サキュレントはサボテン(カクタス)を含むわけです。
美しい⇔醜い との間のブレという揺らぎに本物の「美」があるだろうということ
には、一定の説得力があると思います。そこで連想するのが近松門左衛門の「虚実
皮膜論」という演芸理論です。在りのままの世界と空想上の世界の、境界に真の演芸的真実があるという理論。
為才:>サボテンを含む「多肉植物」・・・
そういう分類なのですね。わたしは、サボテン愛好と古田織部などの美学が似ているように感じます。織部の美学には「笑い」があるとのこと、マンガ「ひょうげもん:へうげもの」からの受け売りですが。
>在りのままの世界と空想上の世界の、境界に真の演芸的真実があるという理論。
この美醜の話のなかで、茂木健一郎さんの『脳と仮想』に出てくる「現実と仮想」の問題を読み、うっすら考えていました。
iireiさんが、近松の「虚実的皮膜」の話を出されているのが、絶妙で驚きます。(途中略)
森下:なるほど、多肉植物愛好者が「ひょうげもん」・・・言い得て妙ですね。私もかつて
の友人の影響で、何種類か育てたことがありますが(今も)、ユリ科の「玉扇:ぎょく
せん」というやつは、肉厚の葉数枚が180度の角度をなして生え、あたかも「扇」
のように見えるのです。しかも、産地の砂漠では体の大部分を地中に埋め、地表にちょ
っと出た「窓」から光を取り込み、体内で光合成をするのです。「奇の中の奇」、マ
ニアには堪りません。だから、「へうげもの」との対比は当たっています。
過去ログ:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20100704 近松門左衛門と「虚実皮膜論:きょじつひまくろん」(注・「ひにくろん」とも読む。)
また、虚実皮膜論が適用できる例として、私のブログに寄せられた素晴らしい俳句をクローズ・アップしようと思います。(http://d.hatena.ne.jp/iirei/20110907 )
私がニラの花について
「貴方の好きな色に
染めて」と
白い花
(2011.09.06)
という句を掲載したのに対し、Youko(id:Youko)さんが投稿してくれた句:
明け方の空より降りしにらの花 ようこ
という作品です。この句、実際にはニラの白い花は暁の中、舞いますまい、でもありうるかもしれない、いや、あってほしい!その美しさがありありと浮かぶようだ・・・
と言う意味で、虚と実が同居していて、私の句が「固定的」であるとするなら、より「動的」で空想力を掻き立てるような作品になってます。これこそ「虚実皮膜」ですね。フィクションのなかに美がある・・・素晴らしいの一語に尽きます。
Youkoの日記:http://d.hatena.ne.jp/Youko/20111027など参照
今日のひと言:詩人としての私は、どうも頭でっかちのような気がしますね。修行しなくっちゃ!
今日の詩
クサギはかわいそうだ
香る花
美しい実
食べられる葉
を持っているのに
まるで邪魔者扱い
葉の匂いは確かに臭いかもしれないが
私には良い香りだ
近くの河原で
絶滅しそうだった
クサギ、
私は庭に移植した。
それは2年ほど前のことです。写真はガクから覗く実。
(2011.10.24)
今日の一句
シュルレアリスムの世界か?
(2011.10.25)

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