虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

忍風カムイ外伝〜〜生と死のエクスタシー(デスノート特集  その1)

 東映エイケン著作権)→


  3回に分けて、デスノート(:DEATH NOTE )と・他の2作品(忍風カムイ外伝MW)を比較してみます。

 「忍風カムイ外伝」というアニメを知っていますか?知っているならあなたは40代か50代の人ですね。

 この作品は、ある有名なアニメの前作です。その作品とは「サザエさん」です。「忍風カムイ外伝」はこの40年も続く「サザエさん」の前番組なのです。さらにその前作は「ゲゲゲの鬼太郎(第一シリーズ)」でありこの枠は(日曜午後6:30)、フジテレビにとってもドル箱時間帯なのですね。



 それにしても両アニメを比べると、40年分をたばにしても、サザエさんカムイ外伝の一話に及びません。(カムイ外伝は1969年4月6日から9月28日まで全26話、2クールでした。)



 カムイは「抜け忍」、自由を求めてその行動を(抜ける)を取ったがため、追討の命令を司令部(大頭:おおがしら)は出し続け、現実に追っ手が次から次へと襲いかかってきます。その挑戦を受け、こころならずも追っ手を倒していくカムイ。



第21話から26話まで、海を舞台にやはり抜け忍である「すがる」と不幸な出会いをします。すがるはカムイが追っ手であると思いこみ、烈しい戦いを演じますが、夫の危機をカムイが救ったことで、カムイを受け入れます。彼女は、自分が築いた家族をなにより大事にしていたのでした。特に長女の「サヤカ」は、カムイに恋心を持ちますが、抜け忍とくっついていては幸福は望めないと、すがるもカムイもサヤカの願い―夫婦になることは不可能だと思っているのです。
 
 そこに「鮫殺し」の一団がやってきます。全員「抜け忍」の集まりだという触れ込みで、「すがる」は彼らも信用しようとしますが、カムイは「誰も信用してはならない」と諭します。

 果たして、その集団のカシラ「不動」は、周到にしつらえられた「追っ手」だったのです。岡では「すがる」の一家を毒殺し、海では部下たちを鮫のうようよいる海で、落雷を利用して船を破壊して海の中に落すは・・・


 ゲラゲラ笑いながら殺人をする男なのです。ただこの男、技量においてはなかなかのもので、カムイの必殺技もすぐにコピーできちゃうのです。


 カムイは不動と対決し、見られていないうちに編み出した・必殺技「十文字霞くづし」で両手を切断し、鮫のいる海へ不動をつれていきます。


 「殺してくれ〜〜」という不動、楽には殺さないというカムイ。
「すがる、サヤカ、聞くがいい、やつの叫びを!!」


 と、カムイは虚空にうったえるのでした。不要な殺生は好まないカムイを本気で怒らせるとは、これが不動の誤算でしたね。なお、シリーズを通して、抜け忍VS追っ手の争いには、「勧善懲悪:かんぜんちょうあく=善を薦め、悪を懲らしめる」という視点は希薄ですが、こと「すがるの島」シリーズについては例外で、不動のあまりの悪逆さに正義の鉄槌を下すことになるのです。そのような勧善懲悪的でない例は第6話の「木耳:きくらげ」に出てくる悟りの術(相手の考えていることが解る術)の黒雲斎。カムイが育てていた鷹を無残に殺しますが、この「小憎らしい」難敵を倒したときも、供養を坊主に頼んでいる位、敵のむくろ(死体)にも敬意をはらうのがカムイです。




今日のひと言:「忍風カムイ外伝」は、人間、ひとり一人の命の重さが感じられる作品になっています。
  また、カムイの衣装ですが、赤地に白抜きの円が二重にあしらわれた極めて目立つ服です。逃げ延びるなら、迷彩服のほうがいいような気もしますが、主人公としては、女性のように目立つようにしているのかも知れません。たしかにカムイは女性的です。

 アニメとしての「忍風カムイ外伝」については、その余りにすばらしい出来に、手塚治虫も舌を巻いたほどである。・・・とのお話があります。このアニメ、原作は白土三平です。「カムイ伝」という長編大河マンガの一登場人物に光を当てたものです。なお、実写版「DEATH NOTE 」でL(:エル)として主演した松山ケンイチが「忍風カムイ外伝」に主演するとのこと、仕上がりが楽しみです。忍風カムイ外伝は、世代を超えて共有されるべ作品であり、私がここで取り上げるのも、実写版がでるのも「シンクロニシティ」でしょうか。



忍風カムイ外伝 Vol.1 [DVD]

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東京命日

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