コンポスターとディスポーザー(生ゴミの行方)
(都市工学科シリーズ その3・・・主として環境科学「衛生工学」を話題にします。)
この両者とも、アメリカ生まれの技術で、「生ゴミ」の処理に使われるものです。
コンポスターは、円錐台状の容器を地面を掘って設置し、生ゴミを土壌細菌に分解させて、堆肥にする技術です。だから最後は肥料として使えます。
一方のディスポーザーは、台所の排水管に生ゴミをミンチにする装置を設置し、台所のレベルで生ゴミを消すことができます。その粉砕された生ゴミは、直接下水道に繋げるか、ワンクッション置いて、自宅で二次処理するかして、下水道に流れこみます。これも、最後には汚泥(おでい:水処理の主役の土壌微生物の残骸)を堆肥化することができるようです。
私は、ディスポーザーという発想は、「とんでもなく酷いものだ」と思います。生ゴミを粉砕して流すと、下水道に過重な負担を強いることになり、下水道はパンクします。そのため、日本の場合は自治体がディスポーザー設置に許可を出しませんが、それでいいと私は思うのです。とんちんかんな行政府としては、珍しく気が利いています。アメリカではディスポーザーはかなり普及しているようですが。
そもそも、固形物である生ゴミと、それを粉砕して出来たミンチを比べると、ミンチは水で薄めて固体→液体としているため、仮に同じ「堆肥化」が目的であるとしても、途中の下水道の処理によって再び固形化するわけですから、処理にかかるエネルギーを無駄に使うことになります。その意味で、固形物を固形物のまま処理するコンポスターのほうが優れていることになります。いや、実際、多量の水を攪拌(かくはん)して、浄化するには、多大なエネルギーが必要とされます。だから、浄水場や下水処理場は「電気喰い虫」なのです。エネルギー消費大国アメリカだからこそ生まれた技術こそがディスポーザーなのです。
また、コンポスターの場合、自分の出した生ゴミを身近に置くことにより、環境問題への関心を持続することが出来るのだと思います。ディスポーザーでは、台所までしか使用者の目は向かず、「出したらそのまま」になることが多いでしょう。そのような無関心さが環境問題を悪化させるのでしょう。自分の出したものは、自分の手の届く範囲に置いておくのが、コンポスターです。勤勉なアメリカ人が着想したのでしょう。一方、ディスポーザーは、怠け者のアメリカ人が着想したのでしょうね。いらないものは、即座に目の前から消してしまう、というような。
ところで、現代日本の生ゴミは、たいてい焼却処分されますが、この「成仏できない」生ゴミたちは、そこに含まれる塩素が元になって、ダイオキシンを発生させているのです。「生ゴミ」は各家庭で始末するように、社会は変わっていかないのでしょうか?
今日のひと言:今日も私は生ゴミをコンポスターに入れています。それから、余談ですが、中国の酒の製法は変わっていて、固形発酵を採用しています。水で薄めず発酵するわけで、管理は水に溶かすよりは簡単です。こんなところに中国人が受け継いできた知恵があるのですね。
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