虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

ジャガイモ中毒と理科教育

     教育特集その3
「小学生多数、ジャガイモで中毒!!」とのニュースを目にしたのは、06年7月28日の民放TV局でだった。インターネットで検索したところ、読売新聞とか東京新聞とかが報じており、東京都の福祉保健局が7月20日に明らかにしたのだが、概要はこうだ。江戸川区鎌田小学校で、理科の授業の一環として栽培されていたジャガイモを収穫し、調理係に調理してもらい児童、先生(132名)で試食したところ、児童75名、先生2名が腹痛を訴えたという。幸い、重篤になった者はいなかったが、その騒動の原因は、40、50代の理科担当教諭(この情報はTVから。)が、ジャガイモの芽は取り除かせたものの、皮の緑になった部分は気にせず、皮ごと茹でて食卓に供したことにあるという。
ジャガイモの場合、芽とか光にあたり緑になった部分には「ソラニン」という場合によっては致死的な有毒成分が生成される。ソラニンという言葉はともかく、こんなにも身近な作物の重要情報が、この小学校では共有されていなかったことに、先ず驚いてしまう。教職にあるもの132名もいて、また調理師たちも、だれも指摘する者がいなかったことにも驚く。どんな料理が出されたのかは解らないが、「緑色の部分のあるジャガイモ」に違和感を持たなかったのだ。(なお、1998年以来、同様な事故は10件近く報道されている。)
私(現在40代半ば)が小学生のころは、植物の栽培としては、アサガオ、ヘチマ、ジャガイモあたりはやった記憶がある。その際、ジャガイモの危険情報についてもしっかり教わった。かれら教諭たちも教わっていたのではないだろうか。その知識を実生活にいかせない人たちばかりだったのかと、悄然とした気持ちになってしまう。
小・中学でやる学習は、ちゃんと理解して覚えておけば、有益な情報はとても多い。私が以前、市民による霞ヶ浦の環境調査に関わった際、中学の気象の知識だけで、調査の日程に有益な示唆をあたえたメンバーがいた。外のメンバーはこの分野を忘れていた。メンバーは全員、有名大学の出身者、在籍者だった。このあたり、小・中・高の勉強は無意味であると以前発言していた弁護士の橋下徹氏とは、見解が異なる。
さて、そこで「ゆとり教育」の話になる。この教育の場合、児童・生徒の能力を過小評価する。「覚えるのは大変だろうから」との要らぬ御世話で、小学生が馴染んでおくべき動植物・天体の情報を意図的に削除した。危険情報も当然含めて。このような教育を受けた生徒が教員になったとき、今回の事件を引き起こすような先生ばかりになり、ついには死者が出ないか、と危惧している。文部科学省は、「ゆとり教育」を完全に撤廃すべきだと思う。子供たちの潜在能力を信じようではないか。


 今日のひと言:官僚になるためには、民間会社で数年は働いた経験者のみに受験資格
        を認めるようにすれば、国賊級の官僚も激減するだろうな。

 個人的なお話ですが、ringojukuさん(http://d.hatena.ne.jp/ringojuku/20060818)、
8月16付けの「パズルと算数、数学のブログ」(http://blog.goo.ne.jp/yamath555/)に「7の倍数の識別法」のコメントを書いたのは私です。はてなの「おとなり日記」でringojukuさんのページを読み、面白そうだったので、「パズルと算数、数学のブログ」を覗いてみたのです。こんなことも、ネットをやっている醍醐味ですね。