虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

大数学者アーベル(ノルウェイの誇り):人類史上不滅の業績

大数学者アーベル(ノルウェイの誇り):人類史上不滅の業績


ここに、スゴイ数学者がいる。ノルウェイの首都:オスロに彼の銅像が建ち、肖像画ノルウェイの最高額紙幣(500クローネ)の顔にもなった・・・この男の名は、ニールス・ヘンリック・アーベル。(田口トモロヲ風に、「プロジェクトX」←古くてすいません。)


 (注:調べてみると、ノルウェイ・クローネは1000クローネまでありますが、この紙幣はあまり流通しておらず、実質500クローネが最高額紙幣です。)



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アーベル(wiki)


彼、アーベル(1802-1829)の業績について、アーベル(wiki)より(抄)、


1818年に、数学教師ベルント・ミハエル・ホルンボエ(英語版)に出会ってから、数学に興味を抱くようになった。友人達とヨーロッパ中を回って長く遊学し、オーガスト・レオポルト・クレレ(英語版)と知遇を得て、クレレの雑誌に多数の研究論文を掲載した。ヤコビやルジャンドルはアーベルの業績を認めていたが、ガウスはアーベルの研究論文に不快感を示し、コーシーは彼の論文をまともに審査しないまま放置するなど、アーベルには正当な評価が与えられなかった。帰国後はクリスチャニア大学に臨時講師を勤めたが、病気(結核及び併発した肝機能障害)のために26歳で世を去った。


しかし、彼が当時世界最高レベルといわれた数学の総本山パリ科学アカデミーへ提出した「超越関数の中の非常に拡張されたものの一般的な性質に関する論文」こそ、のちに“青銅よりも永続する記念碑”と謳われ、後代の数学者に500年分の仕事を残してくれたとまで言われた不滅の大論文だった。


5次以上の代数方程式には、冪根 n√ と四則演算だけで書けるような一般的な解の公式が存在しないことに、初めて正確な証明を与えた。この業績についてはアーベル以前にもパオロ・ルフィニの重要な貢献があるが、ルフィニによる証明は必ずしも完全ではなかったとされている。


アーベルが中心的に扱ったのは楕円関数とアーベル関数に関する研究である。アーベルはガウスの著作にある、レムニスケートの等分問題から楕円積分逆関数の研究に取り組み、ガウスの研究(完璧主義のため、生前には公表されなかった)を独自に発見することになった。楕円関数論のアーベルの定理とは、楕円関数の極と零点に関する合同式である。研究上のライバルであったヤコビはアーベルの論文を目にして「私には批評もできない、大論文」と最大限の賛辞をおくったといわれる。ヤコビはアーベルの定理を利用してヤコビの逆問題を示して、その後の研究の目標を新たに与えることになる。


たった26歳で亡くなったとは言え、不滅の業績の数々を成し遂げた人だったのです。「5次の代数方程式には、解の公式がない」、という定理は、数百年に渡って、数学者たちを悩まして来た問題に、最初の終止符を打ったのです。(なお、2次方程式の解の公式に、中学生時代に悩まされた人も多いでしょう。あれをイメージしてみてください。その流れで、3次方程式、4次方程式については、複雑だけど解の公式は発見されていました。)


アーベルは、解の公式そのものを「見つける」線でこの問題を考えるのではなく、「存在しないのではないか?」という線で、証明に成功したのです。数学では、「有ること」を証明するより「無いこと」を証明することの方がずっと難しいのです。(条件は、四則演算と冪根のみ使って解けるか、ということでしたが)最初の終止符と言ったのは、アーベルの後世で、フランスのガロアが、ガロア自身が創始した「群論」を応用して「5次以上の次数の方程式には解の公式がない」、と大いにアーベルの結論を拡張したことで、この問題に、最後の終止符を打ったということなのです。(もっとも、微分積分を使えば、任意の次数の代数方程式も解けることが証明されています。)


楕円関数については、私はよく解りません。数学500年分の研究材料を残したという偉業であったのでしょう。そうなんだ。どんなものだか、その片鱗を知りたい方は「ヤコビの楕円関数」(wikipedia)を覗いてみてください。たぶん、楕円関数については、研究上先行したアーベルが、第一発見者としての栄誉を与えられるのでしょうが、より長生きしたヤコビの方が、現在の姿の楕円関数により近かったのでしょう。


“学問の女王”数学上の業績は、人類史上、不滅の業績と言っても良いでしょう。人間の逞しい知性がなければ、導けないものだからです。だからこそ、銅像は建つし、一国の最高額紙幣の顔にもなるのでしょう。アーベルには婚約者もおり、実力が認められて大学教授の椅子も用意されていました。人生これから、という時に、アーベルは結核でこの世を去りました。



今日のひと言:私は、中学校2年生のころ、数学に目覚め、数学者になることを夢想していました。その際、「数学史」と言える特殊な歴史を勉強しました。もちろん、教諭に言われたからではなく、自発的に、です。この学習は、ある意味、(良かれ悪しかれ)世界に関する興味の有り様を形作ってくれました。ピタゴラスアルキメデスユークリッドライプニッツオイラーガウス、アーベル、ガロア、リーマン、デデキントカントールヒルベルトゲーデル・・・全員優れた数学者です。憧れたなあ。(それにしても、ドイツ人数学者は多士済々です。ここで名を挙げた13人の内、8人はドイツ語圏の数学者です。8/13=62%を占めますね。)



参考過去ログ  

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今日の一品


@五味子酒(ごみししゅ)


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昨年7月に漬けて、半年以上寝かせて、飲みました。漢方の生薬として有名ですが、五味備わる味とされ、複雑な風味が楽しめます。単品でもこの複雑な味。面白いです。

 (2021.03.13)



@ケールとキャベツの親子炒め


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キャベツの祖先とされるのがケール。両者をごま油・ナンプラータラゴンで味付けました。癖の強いナンプラーを矯臭するのに、お決まりのパクチーではなく、タラゴンででも出来ることが最大の発見でした。キャベツ1個10円、ケールは自家栽培なので、この料理は原価30円くらいでしょうか。

 (2021.03.13)



@タコスミート重


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メキシコの複合具材、タコスミートをパックご飯の上に敷き、レンジで500w、3分チンしました。これが案外美味しい。

 (2021.03.14)



フダンソウのお浸し



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ホウレンソウと同じ、ヒユ科アカザ亜科の野菜。いつの季節でも採れる重宝する野菜で、特に夏ホウレンソウという別名があります。ホウレンソウと同じくシュウ酸を含むので、よく晒して(15分くらい)味付けします。

 (2021.03.14)



@ラムとジャガイモ炒め



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弟作。ジャガイモはあらかじめレンジで加熱調理し、ラムを炒め、塩コショウ、コリアンダー(パウダー)で味付けし、ジャガイモを投入、熱を通して火から降ろす。

 (2021.03.14)



@くわいの里


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id:darucoro9216kunさんが紹介していた、大阪府高槻市のお菓子屋:象屋の和菓子。名前の通り、野菜の「くわい=慈姑」が使われています。話の種にと、購入してみました。一個260円で、それほど安くはないですし、慈姑の味が特定できませんでしたが、美味しかったです。

 (2021.03.16)



ずんだ餅アイス


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今日のおやつ。枝豆と餅をフィーチャーして、アイスクリームにした製品。組合せが面白いです。美味しく食べました。

 (2021.03.19)






今日の詩(2題)


@「酒仙・李白シャルトリューズ」のソネット


高校漢文の参考書を読んでいたら
(有名な漢学者:藤堂明保さんの著)
ちょうど酒好きの詩人:李白の項を開いた。
躍動感のある「早発白帝城」なんか良いな。


この詩人、詩仙とも呼ばれる逸楽の人であり、
私も酒を飲みたくなってしまった。
そこでフランスの名酒:シャルトリューズ・ヴェール
グラスに注ぎ、久しぶりに飲んでみた。


まさしくこの酒、李白に似つかわしいかも知れない。
私なら、彼のような酒量を誇らぬし、
少々飲めば足りる。足るを知ることは大事なことだ。


川に映った月を取ろうとして、
溺死するほど酔狂であってはならない。
――でも、やっぱり、酒は美味しいな。

 (2021.03.14)



藤堂明保さんに関する過去ログ2題


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@醍醐(だいご)


言わずと知れたバター、チーズのこと。
つまりは乳製品一般を指すのだろう。
ここに一杯の牛乳がある。
喉の渇きを癒やしに飲むのだが、
この味の中に乳製品一般が味わえるか?


アイスクリームなんか
そのような物である気もする。
ホットミルクなら、出来る皮膜に
バターをイメージするのもありだな。
チーズはなかなかつながらないが
たぶん、気が付くときもあるだろう。
ああ、乳は偉大だ。


モーツァルトは、一つの旋律が浮かぶと
それから奏でられる
全ての形式の音楽が、一瞬で
頭に鳴り響いたという。
乳製品でも、そうありたいものだ。



BGM:交響曲リンツ:第3楽章」

 (2021,03,15)






今日の三句


手品かな
水路に手袋
接着し


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 (2021.03.19)



無残なり
梶の木
壊滅す


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散歩コースにあって、よくこれをネタに句を捻っていたのに、残念。おおかた宅地になるのでしょう。

 (2021.03.19)



岸辺にて
咲くナバナかな
美味しそう


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私の、春の散歩の楽しみの一つが、道々咲くナバナをつまんでそのまま食べること。鮮烈な味が良いのです。

 (2021.03.19)






今日の写真集


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この白い花の木、なんだろう?ユキヤナギ??


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整列するゲンノショウコ







☆☆過去ログから厳選し、英語版のブログをやっています。☆☆


“Diamond cut Diamond--Ultra-Vival”



 https://iirei.hatenadiary.com/



ダイアモンドのほうは、週一回、水曜日か木曜日に更新します。
英語版ブログには、末尾に日本語ブログ文も付記します。記事は
虚虚実実――ウルトラバイバルとはダブりませんので、こぞって
お越しを。