*「ガロア」の着想2003年春、父がアルツハイマー(認知症のひとつ)を発病しました。森下家は、父、私、弟の、男3人の家族です。独身の息子2人で父の介護をしなければなりません。当時私は無職、弟は会社員でした。弟は会社に辞表を出したのですが、休職扱いになりました。
そうすると、「円」としての収入は、父の年金しかありません。十分な経済力のある弟に比べ、私にはそれがありません。まして、介護のため働きには出られません。男2人で、つきっきりで父を見なければならない大変な状況でしたから。
それでは私の収入はどうすればいいのか?――との難問が立ち塞がっていました。日常必要な商品はなんとかなります。でも、私の自由になるお金がありません!
そこで、父の介護のため働いた「行為」を点数化して、父の年金から貰うしかなかろう・・・ということに落着きました。言って見れば、肉親が介護施設の職員の働きをするのだから、その「行為」に父が対価を払うのはむしろ当然だと思われました。私設介護職員です。
その行為は、しかし、商品の対価の「円」ではなく、なにか別の通貨が必要だろう、とも考えました。そこで「地域通貨」の存在を思い出し、自分もそれをやろう、と決めました。これが「ガロア」着想の経緯です。
父は、アルミニウム二次精錬会社の工場長でした。私は工学部出身で「紙漉き(かみすき)」を趣味としています。だから、金属と紙の両方についての知識は充分持ち合わせていました。そこで、両者を比較し、金属を通貨単位にするのが良かろう、と決めました。ゲゼルの理屈から言っても、より熱とか水に安定な金属が「ガロア」の通貨に相応しいのではないか、と。
次は、具体的な「ガロア」の設定をお話しします。
なお、アルツハイマーの原因として、アルミニウムが有力な原因の一つとされています。そのアルミニウムに数十年晒された父が、アルツハイマーを発病したのは有り得る話です。
PS よく、物忘れしたときに「俺、アルツハイマーかな?」と言う人もいると思いますが、「若年性アルツハイマー」ならともかく、軽いノリで使って欲しくない言葉ですね。家族が実際に認知症になった人にしかわからないこともあるのです。次にあげるブログは、そんな家族の一人が書かれた日記です。・・・もしかしたら、地球人は、みんな宇宙人かもしれません。
http://d.hatena.ne.jp/sumomo8491/20051130
今日のブログを読まれた方は、「なんてドライな息子か!」と思われるかもしれません。確かにドライです。でも、普通の家族が実はドライな関係なのに、表面上ウェット、フレンドリーなことだって有り得るのではないかと思います。それに比べれば、「からっとしているでしょう?」と主張します。ドライにならざるを得ない状況が森下家にはあったのです。