虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

  *ガロア着想への序曲エンデの遺言」(河邑厚徳+グループ現代・NHK出版)は、ここ数年出版された本の中で、傑出した本の一つです。まずはこの本を読むことをお薦めします。「地域通貨=地域流通貨幣」のアウトラインが解かります。この本には続編があり、ミュージシャン・坂本龍一氏が河邑氏と作っています。余談ですが、私が学生だった頃、坂本氏の若い頃を直接知っている人に、「君は坂本くんに似ている」と言われたことがあります。もちろん、私はあんな美男子ではありませんが、雰囲気が似ているということだったのでしょう。
 この本の中で、特に注目されるのは、シルビオ・ゲゼルという経済学者です。彼は、「全ての物の価値は、時間とともに下がるのに、お金(マネー)だけは上がる(利子がつくこと)。これはおかしい!」と考えて、「時間とともに価値の下がる通貨」を考案します。この突飛な発想は実際にドイツやオーストリア自治体で試され、大成功を収めます。使わなければお金の価値が落ちるため、人々はこぞってその通貨を使い、大不況がふっ飛んだのです。ところが、その試みは中央銀行の横槍で中止に追い込まれます。この事例が、「地域通貨=地域流通貨幣」の初の例です。現在は、世界各地、日本でも、さまざまな試みが行われています。その際の通貨になるのは、独自に作った「模擬紙幣」とかコンピュータ上のポイントなどです。何らかの形で「中央管理者」を置きます。
 私は、拙著「災害の芽を摘む」のなかで、「金利(利子)」を否定していましたが、「エンデの遺言」における、ゲゼルの「マイナスの金利」には度肝を抜かれました。それで、この種の問題をマジに考えるようになったのです。そして「ガロア」を着想します。
     To be continued・・・・・

PS 高名な経済学者・ケインズは、「後世に与える影響は、マルクスよりもゲゼルのほうが大きいだろう」と予言していたそうです。(「エンデの遺言」より)


  なお、おなじメルマガを購読していらっしゃるお方を発見!!ケインズについて書かれておられました。いずれ、この方と共通の話題も出すでしょう。
   http://d.hatena.ne.jp/hira333/20051201