虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「知の巨人たち」:宇沢弘文、立花隆、渡部昇一

「知の巨人たち」:宇沢弘文立花隆渡部昇一



「知の巨人」だと評された学者、評論家など、最近多く聞くようになりました。↑の表題で挙げたように、少なくとも3人の名前が浮かびます。私自身はこの順で初めのほうにいる人ほど、その称号に相応しいと思います。


思いますに、「知の巨人」たるもの、必須条件として、「文・理」、いずれにも優れた人であることが必要だと考えます。一方の教養を持つだけではダメなのです。宇沢弘文さん(故人)は、学生時代には東大理学部数学科で学び、指導教官からは研究室に残れ、と言われたのですが、人の幸福を追求する経済学をやりたい、ということで転進し、ノーベル経済学賞にもっとも近い日本人だとされていました。でも、アメリカのシカゴ大学に留学し、そこで新自由主義の第一人者:フリードマンと大論争をして、以後ノーベル賞からは縁遠くなったのでした。


宇沢さんは経済学上での考え方として、「外部不経済」「社会的共通資本」などの諸概念を発案し、また、成田空港建設反対=三里塚闘争にも、現地へ出向き、反対派と膝を交えて解決策を模索するという行動派のスタンスを取っていました。そして、宇沢さんの死後、だれということなく、「知の巨人」という呼び名が生まれました。


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宇沢弘文


立花隆さんは、東京大学仏文科を卒業し、学士入学で同大学哲学科をも卒業しました。『田中角栄研究』で田中角栄の金脈を抉り、田中を葬る切っ掛けとなったことで、一般に知られています。彼の場合、私はよく知らないので、「知の巨人」とも言いにくいですが、最近の活動は文・理の枠を超えて評論活動をなさっているようです。評価が定まるのはこれからですね。


さて、問題なのが渡部昇一さん。この人は上智大学の学生時代に古英文法を専攻し、ドイツやイギリスの大学に学び、ドイツのミュンスター大学の博士号を取っています。そして、彼は名にし負う右翼の文化人であり、発言はおおむね右翼的志向の人と同調することが多いですね。


今私は渡部さん最晩年の著:『世界の地政学的大転換を主導する日本』(徳間書店)を読んでいますが、本人がマジメに書けば書くほど、アラが見えるようです。例えば、アメリカの前大統領:オバマさんが導入した「オバマケアー」をケンモホロロとこき下ろします。「国民皆保険」というオバマの理念自体、評価できるものですが、実施の際の混乱を渡部さんは強調します。そしてこの制度の改善を書くのではなく、全否定しています。


特に原発についてのスタンスには独特なものがあります。彼は放射線については「素人」だと自分で言っていますが、「放射線の正しい知識を普及する会」の会長に推挙され、おだてられてその職に就いた、というのですね。・・・これはスゴイ!!放射線について何も知らぬのに、このような軽率な行動が取れる無節操さ。このような人が会長に納まる組織!原発をバンバン稼動させ、石油やLNGの輸入をカットすべきなのだとしています。


「知の巨人」に戻ると、渡部昇一さんは、その称号に相応しくありません。専門の古英文法の分野では、なにかしら優れたものを持っていたかも知れませんが、専門外の分野に、恐れもなく発言していた、という風情です。上記の事実から見ると、理科系の教養が「ほとんどない」ということになるでしょう。これでは、危なっかしくて、その発言をまともに聞けるはずはありません。



今日のひと言:渡部さんは、SEALDs(今現在は発展的解散をしていますが)の学生たちも全否定していました。新しい息吹が測れない、哀れな人物だったと思います。



社会的共通資本 (岩波新書)

社会的共通資本 (岩波新書)

自動車の社会的費用 (岩波新書)

自動車の社会的費用 (岩波新書)

知的生活の方法 (講談社現代新書)

知的生活の方法 (講談社現代新書)



今日の一品


@レンコンの梅肉炒め


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弟作。我が家の定番料理。穴あきレンコンを切り、ごま油など3種のオイルでフライパンに火をかけ、炒め、スリごま、カツオ節、梅干し3個分の梅肉味付け。けっこう美味しいです。

 (2020.12.05)



@タコスミートスパゲッティその2


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この前、タコスミートを使って作ったスパゲティが、美味しいけどボソボソしていたと書きましたが、ケチャップで伸ばしたら、さらに美味しくなりました。

 (2020.12.06)



@スズキの塩麹焼き・ディル風味


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スズキの身のほうに塩麹を塗り3時間。耐熱皿にクッキングペーパーを敷き、スズキを乗せてオーブン・トースターで180度15分。仕上げ間際にハーブのディルをちぎって乗せて完成。

 (2020.12.07)



@たこ焼き風ガンモドキ


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小粒の「京がんも」を、たこ焼きに見立て、チンした後、青のり、カツオ節、中濃ソースで味付けました。ちょっと味が似ていました。

 (2020.12.08)



@オカノリのマヨネーズ和え


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オカノリはアオイ科の野菜で、普通に茹でても硬いだけですが、5分も茹でると粘りが出て来ます。その有様から、「岡の海苔」:オカ・ノリと呼ばれます。今回は茹でて刻んだものを、マヨネーズと塩少々で和えました。

 (2020.12.10)







@今日のつぶやき


アメリカ、ロシア、中国、イギリス、ドイツなどの製薬会社が、次々と新型コロナウイルスのワクチンを実用化しているのに対し、日本でワクチンを開発したという話は聞きません。これはどうしてでしょうか?思うに、学問の「が」の字さえ知らない政治家や官僚が、自然科学の基礎研究というものを軽視し、すぐに結果のでる応用研究のみ研究者に許してきた結果であると思います。いまでこそ、高齢の研究者がノーベル科学3賞を受賞していますが、これからはノーベル科学3賞を受賞できる者は、日本からは出ないでしょう。そして、日本政府は海外産のワクチンを購入し、国富を消耗させるのでしょう。

 (2020.12.09)








今日の詩



@ウサギとカメ


ウサギはなにをやってもセッカチだ。
一方カメはなにをやってもノンビリだ。


こんな両極端な動物の間で
コミュニケーションは取れるのか?


難しいが出来ないことはあるまい。
お互いに愛と誠意をもっていれば。

 (2020.12.11)







今日の三句


ちぎられて
道に落ちたる
柚の実や


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どんな物語が隠されているのでしょう?

 (2020.12.06)



寒さにも
めげずに育つ
アブラナ


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(2020.12.06)



ニンジンに
比せる薬効
エゾウコギ


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そもそも朝鮮人参もウコギ科の植物ですが、エゾウコギという植物の潜在能力はニンジンに比肩します。リキュールにして飲もう。近所の漢方薬局で、100g640円(廉価)で入手できました。


1960年代、オタネニンジンと同じウコギ科の植物であることから、旧ソ連の科学アカデミーが、薬用としての研究を開始したとされる。1962年に強壮剤としての使用が承認され、1964年にエキス剤の生産が開始された。 1980年のモスクワオリンピックでは、ソ連がこれを選手団の強化に利用していたとして、話題になった。


日本では、古くアイヌ民族が民間薬として用いていたが、北海道の開拓を進めた和人はその価値を知らず、棘が固く邪魔な雑草として、見つけると片端から駆除を行っていた。「ヘビノボラズ」と俗称されるほどの嫌われようだった。


数種類のエレウテロシド(英語版)と呼ばれるサポニンを含有し、オタネニンジンが含有するジンセノサイドとの類似性が指摘される。他にクロロゲン酸、イソフラキシジンなどが有効成分といわれる。
動物実験によって報告されている有効作用[1]は、抗ストレス作用[2]、抗疲労作用等があり健康保持食品に含有していることがある。

wiki(エゾウコギ

 (2020.12.08)






 
バンクシー小劇場


ワニ:ワニは、雄が無理矢理雌をひっくり返して「強姦」し、起き上がれないで足をバタバタさせている雌には知らんぷりで去ってしまう、だから、ワニはすべて強姦の子なのだね。

 (2020.12.05)







写真集


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夕景(2020.12.05)



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アメリカセンダングサの実とジャージに付いた種
  (2020.12.06)






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プロポーズの言葉あれこれ:『美味しんぼ』・友人の場合

プロポーズの言葉あれこれ:『美味しんぼ』・友人の場合


英語で言うpropose(プロポーズ)の語源は「前に(pro)、置く(pose)」です。概ね男性が愛する女性に対して、「心情を吐露して、女性の反応を待つ」という行為のことです。昨今は女性が男性に行うケースも多いでしょうし(このケースは女性が男性の役割を演じているわけです)、同性愛者でも、男性的なほうが女性的なほうに働きかけて、恋が実るのでしょう。色色な場合を総括して、「働きかける者」と「それを受容する者」の2者がいることで、この共同行為は成り立つわけですね。


これまでなされたプロポーズの類型としては、例えば以下のようなものがあると思います。


@1:「毎朝、君の作った味噌汁が飲みたいんだ。」:これはむかしからの定番プロポーズ。でも現在では朝食に和食という古典的な若い家族は少ないでしょうから、「毎朝、君の淹れたコーヒーが飲みたいんだ」なら、現代的です。


@2:「結婚してくれなかったら、ボクは死ぬ」:男性が女性に甘えているのですね。母性本能をくすぐれた場合は、アリかな。


@3:@2の変形。「君のためなら死ねる」:これは往年の恋愛マンガ『愛と誠』で、主人公の早乙女愛にクラスメートの岩清水某が掛けた言葉。(愛の本命は太賀誠だったので、雑音にしかなりませんでしたが。)


@4:「君は、ボクと結ばれる運命にある」:このような神がかり的な言葉を吐いて、女性の心を射止めたのは、かの麻原彰晃、本名 松本智津夫 です。


@5:「じゃ、結婚すっか」「んだ」:これはマンガ『ドラゴンボール』における孫悟空とチチとの会話。直截的で良いなあ。悟空とチチが幼少期に出合い、チチが「大きくなったらお嫁にもらってくんろ」と言うので悟空「なんだか知らんがもらえるものならもらっておくぞ」と答え、チチは大きくなって再会するのを待ち望んでいたわけですが、悟空は忘れていたのです。チチの怒るまいことか。悟空が言うには「お嫁って、食うものかと思っていたぞ。」そしてあっさり結婚したわけです。(その場は、天下一武闘会。チチも拳法家の娘で、幼少期からかなり強かったのです。ウルトラセブンみたいにアイスラッガーを使って、敵を切り裂くのでした。2人は対戦の途中で結婚へ。)


想像力の希薄な私にはこれくらいの例しか挙げられませんが、ほかに2つのことを挙げてみようと思います。


@6:美味しんぼ:「これからは、過去に決別して、君に結婚、申し込むよ(要約)」
山岡士郎
(しばらく日にちを置いて、山岡が結婚について弱気なことを言うので)「受けるわよ!」(栗田ゆう子)


このやり取り、『美味しんぼ』らしく食に関する薀蓄がらみで成されたものとは必ずしも言えず、複雑な過去を持つ一人の男が、それらを清算して愛する女性との新たな歩みを誓ったものであると言っても良いでしょう。どうも今後、士郎はゆう子の尻に敷かれることを予感させますが、実際そうなります。(プロポーズのエピソードは美味しんぼ:第43巻)ただ、ゆう子は賢明な女性で、士郎の父で陶芸家・美食家の海原雄山の間の険悪な関係の修復に心を砕き、実際、この親子を和解に導きます。彼女は雄山からも、味覚・人格の上でも大いに評価されていたわけです。人間関係の改善という作業は、女性が男性より長けているということでしょうか。士郎は良い嫁をもらったということ。


@7:私の知る夫婦のプロポーズの言葉:「ボクは枠組みになろう、君はそれに絡んで綺麗な花を咲かせてほしい」


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ネジバナ:茎を花が旋回しながら咲く。それを3本、矢のようにくっつけました。(2018年の年賀状に使った絵。)


 この夫婦、夫は凄腕の鍼灸師で、妻は某薬用植物園の職員です。漢方薬をはじめとして、両者とも植物に縁がありました。この場合、彼はあくまで脇役に徹し、彼女の成長・開花をサポートすることを約束して、「心情を吐露」したわけです。もともと、好きあって同棲していたので、プロポーズには、いまさら観がありましたが、それはそれ、プロポーズはしっかり行うというあたり、同棲と結婚との違い、そのへんを勘案して、彼はプロポーズしたのです。彼女が受けたのは言うまでもありません。



今日のひと言:プロポーズの言葉、どんな相手かを知り尽くし、2人の未来を見据えて、適切な言葉を選ぶか、男性役の人物が苦労するものですね。まあ、その2人にもっとも合った言葉を選ぶとするなら、やはり、2人に合った言い回しに落ち着くのでしょう。恋する男性の多くは恋する女性と面と向かい、自分を「ボク、僕」と自称することは多いように思います。実は私もそうでした。「僕」とは「召使」「下僕」を意味する言葉で、男性は女性に使嗾されるのを買って出るということですかね?


ここで気づいたのですが、ここで挙げた7つのエピソード、3つはマンガからでした。私はマンガクラブで漫画を描いたり、漫画の評論をしたりしていたから?ほかのジャンルを知っている人なら、別の例が挙げられるでしょうね。








今日の一品


白モツとマンゴーの和え物


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白モツは圧力鍋で定常状態で10分加熱、一日置いて油で炒め、塩とシナモンでシーズニングし、乾燥マンゴーを水でふやかして、白モツが冷めたところで和えました。

 (2020.11.30)



@セリのお浸し


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セリの群落


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セリのお浸し


庭で群生しているセリを摘んでお浸しにしてみました。もとはスーパーで売っている一束のセリから増やしたのです。

 (2020.11.30)



@スモークレバー乗せプンパニッケル


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私の地域にある、ドイツ仕込みのハム・ソーセージ屋の商品。ここのスモークレバーは柔らかくて美味しく、ドイツ直輸入のライ麦パン数種も入手できるので、併せ食べたわけ。

 (2020.12.02)







今日の四句


コスモスの
花は飛ばされ
揺れにけり


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 (2020.11.28)



耕運機
追って食事の
カラスたち


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耕運機で耕されたばかりの農地には、美味しいエサが多く地表に出てくるのでしょう。

 (2020.11.29)



寒さかな
ダリアガーデン
冬姿


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 (2020.12.03)



今が夏
ヒガンバナの葉
青々と


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 (2020.12.03)








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