虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

至高の医学



 人類の編み出した医学は、まさに至高のものになりつつあります。二つありますが、一つは「万能ワクチン」、もう一つは「iPS細胞」です。

 「万能ワクチン」は、インフルエンザ、エイズなどに有効か、と思います。なぜなら、従来型のワクチンは、ウイルスの表面に作用するため、表面の形を自在にかえるインフルエンザウイルスとかエイズウイルスには薬効が長続きしなかったのですが、「万能ワクチン」は、ウイルスの内部に作用するため、薬効が長続きするというわけです。


 「iPS細胞」は、皮膚から取りだし、どんな臓器にでもなれるという優れもので、再生医療の分野に多彩な用途がみいだせるのです。


 http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2362439/2721135
 によれば、

新ワクチンは、ウイルスの内部構造がほとんど変化しない点に着目し、「ウイルスの表面ではなく内側を攻撃する」と国立感染症研究所(National Institute of Infectious Diseases)の内田哲也(Tetsuya Uchida)氏はAFPに語った。これによりウイルスの自己増殖を阻止するという。また、ここから複数のインフルエンザ・ウイルスに効果のあるワクチンが生まれる可能性もあるという。

また、Wikipediaによると、


iPS細胞 (induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞、じんこうたのうせいかんさいぼう,もしくは「誘導多能性幹細胞」)とは、体細胞(主に線維芽細胞)へ数種類の遺伝子(転写因子)を導入することにより、ES細胞(胚性幹細胞)に似た分化万能性(pluripotency)を持たせた細胞のこと。京都大学山中伸弥教授らのグループによって世界で初めて作られた。
元来、生物を構成する種々の細胞に分化し得る分化万能性は、胚盤胞期の胚の一部である内部細胞塊や、そこから培養されたES細胞、及びES細胞と体細胞の融合細胞、一部の生殖細胞由来の培養細胞のみに見られる特殊能力であったが、iPS細胞樹立法の開発により、受精卵やES細胞をまったく使用せずに分化万能細胞を単離培養することが可能となった。
分化万能性を持った細胞は理論上、体を構成するすべての組織や臓器に分化誘導することが可能であり、ヒトの患者自身からiPS細胞を樹立する技術が確立されれば、拒絶反応の無い移植用組織や臓器の作製が可能になると期待されている。ヒトES細胞の使用において懸案であった、胚盤胞を滅失することに対する倫理的問題の抜本的解決に繋がることから、再生医療の実現に向けて、世界中の注目が集まっている。


  先日、人のiPS細胞を脊椎部に障害のあるマウスに埋め込んだら、マウスの歩行機能が回復したというニュースに接しました。


 ただ、両技術とも、これがもとでガンになるという副作用があるような気がします。実用化にはいますこしかかるでしょう。



「さて、それで人類は幸せなのでしょうか?」


うーーん、難しい問いですね。例えば仮に、全ての疾病が根絶でき、iPS細胞を使って、不老不死になったとして、それが人類全体をカバーできるようになれば、その後の社会はどうなるか、想像しにくいですね。全員・不老不死の仙人になるような・・・


 地球が養える人口に限りがある限り、宇宙への移民のような、まるで「機動戦士ガンダム」の世界へと突き進むのでしょうか。


 私は、「自然に与えられた」生命の火が消えるくらいに生きられれば、幸せだと思います。




今日のひと言:医学の良心は、一般社会の良心とはちょっとずれる気がします。もはや生きることが困難な人をむりやりに延命させることのようにね。


iPS細胞ができた! ひろがる人類の夢

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