虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

若者が敬遠するような「汚い」本ほど優れている

新旧「老子」。(カバー外し)→
私は1冊目をかれこれ20年ほど前に
東京にいたころ古本屋で80円で買い、
ぼろぼろになるまで読みました。
右が古いほう。




 ブックオフ(BOOK・OFF)の商売形態が若者に受け入れられて久しいです。「可能な限り汚れのない、新品同様の本」、これが合言葉です。ただ私の経験上、欲しい、あるいは欲しかった本が入手できるのはマレです。やや学術的な本になればほとんど取り扱っていませんし、マンガのコミックでさえ、状況は同じです。「これは!」といった私が読んでみたいコミックはないことが多いのです。
 一方、アマゾン(Amazonamazon.com)の場合、汚れた本(used)であっても、小部数であっても、SEOを施して市場に並ぶ「ロングテール商法(Long−Tail)」を取っており、読みたい人には大助かりです。「はてなブログ」の場合なら、訪問者が読んでみたいであろうと推測してブログのアフリエイト上に載るのですから、スリリングです。もちろん、GOOGLEの検索にも引っかかります。これから、どちらの商法が生き残るか、セメント・マッチですね。楽しみです。ただ、私個人としては、Amazonが勝つだろうし、勝ってほしいと思います。
 私の場合、チョット書き込みのある本の方が魅力的です。前にその本を持っていた人がどのような視点でその本を読んでいたかが解りますし、そのまんま注釈付きの本を読めるからです。その場合、きれいな本は、お呼びではないのです。


 話はちょっと変わって、私が中学補習塾で働いていたときのこと、塾長の指示のもと、全国都道府県の、優れた入試問題(数学、理科)を選び出しスクラップ帳を作成しました。訳あってその塾は退職しましたが、数年後、作成に関わる著作権があるだろうと塾にTELしたところ、塾長いわく「あの資料は古くなったので廃棄処分した。」
 ――これは、いったいどういうことなのでしょうか?高校の受験科目に限っても、出される問題のおおまかな範囲とネタは不変なはずです。新傾向問題とは言っても、それらのパターンの焼き直しであることが強く推定されるのです。せっかくかけた労力が無駄になってしまうではないですか。本質をみずに、流行を追う・・・
 問題の本質を見失った姿をこの塾長に見るのは行き過ぎでしょうか?行き過ぎではなく、私の見解こそ妥当だと思うのです。


今日のひと言:「古い=悪い、新しい=良い」という意識は、だれでも持っているものかもしれません。でも、古い、新しいという言葉自体に、価値観をこめることは誤りだと思います。ただ、時間の経過を示すに過ぎないことばだからです。「本当の価値」という物は、時間とともに変化しないものであると思われるのです。




グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

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