我が家の庭には、ミョウガ(茗荷)を植えていて、夏の盛りから秋にかけての時期、よく取れます。
ミョウガと言えば、水上勉氏の「土を喰う日々:新潮文庫」のなかでも取り上げられていて、ブッダの弟子の周梨槃特(しゅりはんどく)という物覚えの悪い人(自分の名前さえ忘れる)が死んだあとの墓にミョウガが生えてきた、という話があり、ミョウガはバカだ、また、その生えかたが間が抜けているからバカだとも言われるらしいです。
水上氏は、ほかの尊者たちが早くに悟りを開き、もとの凡庸な道に戻ってくる頃、悟りにいたるのは、それはそれ、優れた者だと書いています。
・ ・・・水上さんの至言です。
「みょうがは、私にとって、夏の野菜としては、勲章をやりたいような存在だが読者はどう思うか。こんなに自己を頑固に守りとおして、黙って、滋味(にがみ、香味)を一身にひきうけている野菜をしらない。」
ただし、薬味としては、ちょっとだけでいいので、大量のミョウガは使い切れません。その意味では、ミョウガは、スーパーで必要量だけ買えばいいのですが、このまま腐らせるのも勿体ない。
そこで私はミョウガを保存しておくことにしました。一つは「梅サワー漬け」に漬けること。「梅サワー漬け」とは、梅の実:酢:砂糖を1:1:1で漬け込んだ調味料で、役に立つものです。
もう一品、予定していたのが「佃煮」です。これも、作ってみました。「佃煮(ツクダニ)」とは、材料を醤油と砂糖で煮詰めた料理です。
さて、佃煮作りの本番。
昨今のガス・レンジは、センサーつきのものばかりで、強い火力、あるいは弱火でも、十数分加熱すると、自動的に消えてしまいますので(これは頭の弱ってきた高齢者対策かとも思われるのですが)、あらかじめ電子レンジで加熱してからガス・レンジに掛けることにしたのです。
材料のミョウガは千切りにしておきます。
でも、電子レンジでは水分が出ず、飛ばず、しなしなになったくらいでした。そんでそのミョウガを、砂糖+醤油の液に浸しながら、弱火で10数分煮て、(やはりセンサーが作用して止まったのでここまでにし)完成しました。(まとめると、電子レンジは必要ない工程かも。)
分量は当初の2割から3割程度になりました。
味の程は・・・食べると、まず醤油の味が前面に出ます。そして、次第にミョウガそのものの滋味が味わえる・・・美味しいです。大人向きの味と言えましょうか。この佃煮、作ってよかったです。
今日のひと言:ミョウガを佃煮にしようと考えたのは、私の創意です。他にも考えた人はいるかもしれませんが。ありあまる材料をなんとか腐らせずにいよう、という心持なのです。
- 作者: 水上勉
- 出版社/メーカー: 新潮社
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