虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

毎晩ビールを3リットル飲んでも痛風にならない?


 私も中年、生活習慣病が気になっています。つとに、糖尿病の危険性は指摘されていましたが、最近は血液検査で、痛風の危険性を示す尿酸値が「7.7mg/dl」となり基準値の「7.0mg/dl」より高くなっていたのです。
 痛風とは、関節に尿酸(針形結晶)が析出して、地獄の苦しみを味わう病気で、そのもとは、核酸を形成する2つの塩基、アデニン、グアニンが代謝されてできるのです。プリン体といいます。

プリン体は、細胞の核に含まれるDNAの主成分で、エネルギー伝達物質のもとになる大切な物質です。「プリン」の語源は核酸代謝物の総称を表すラテン語「プリンヌクレオチド」で、お菓子のプリンとは無関係とのこと。
細胞の核に存在するので、ほとんどすべての食品に含まれ、細胞数の多い食品ほどプリン体の含有量が多いと言えます。

帝京大医学部の山内俊一教授(内科学)は「卵の粒が小さいイクラやタラコ、キャビア、ほかにはレバーやあん肝、白子など内臓や精巣、卵巣関連の食べ物には多い。同じ卵でも鶏卵は細胞が細胞1個なので、プリン体の量は事実上ゼロに近い」と説明します。

魚の場合、白身より赤身の方が含有量が多く、干物にすると乾燥によって重量あたりのプリン体が増えます。野菜の含有量は全体に少ないのですが、ホウレンソウやカリフラワー、キノコは比較的多く含まれます。
プリン体が肝臓で分解されると、老廃物として尿酸が生じます。尿酸は血液中に一定量存在し、余分なものは便や尿中に排泄されますが、一定の濃度を上回ると、血中に溶け切れなかった分が結晶化して沈着します。

プリン体って?」:http://www.kyoeikasai.co.jp/kpa/agent/monosiri2003-3.htm
より。

 以上がプリン体痛風についての基礎知識です。


ところでここに、面白い薬学部教授がいます。昭和薬科大学の教授:田代眞一氏です。
彼は以前から漢方薬の研究で中国に招かれることが多かったのですが、歓待にプリン体ずくめの中華料理をだされ、当時の中国の悪い水事情もあり(体液が濃縮されるため)、ついに痛風の前駆症状である「足の親指の付け根に激痛が走ります」。
  

そして彼が取った痛風予防法が、毎晩3リットルのビールを飲むことでした。


たしかに、酒類のなかではプリン体が多いとは言え、ビール500mlはカツオの刺身で11.8gにしか相当しないというのです。さらにビールの持つ利尿作用によって、プリン体も排出できる、という寸法です。ただし禁忌があって、おつまみには 高プリン体のものが美味しいときているので、あくまで、ビールだけ飲め、とアドバイスしています。なお、20年間ビールを毎晩3リットルも飲み、痛風に罹ってないというのですから、それなりの説得力がありますね。


以上の意味で、「プリン体99%カットのビール」を某社が販売していますが、「それは無意味な」商品であると断言できます。行き過ぎた「健康至上主義」の産物です。ある意味、「アコギな」商売ですね。



今日のひと言:それにしても、毎晩3リットルの高カロリーのビールを飲んでいたら、こんどは糖尿病になる恐れもあると思うが、どうなんだろう?田代氏は、よほどのビール好きなのですね。私も晩酌にビールは欠かしませんが、350mlで充分です・・・