姑はつらいよ お嫁さん、今にわかるわこの気持(書評)
ここで取り上げる本は、家政学の大家・西川勢津子さんが、全国の姑さんから寄せられた、嫁さんに対する恨み・つらみの相談に乗るという形で編著されたものです。1987年初版発行・PHP研究所。
古今東西、嫁と姑の仲が悪いのは通り相場で、ここに寄せられた広汎な訴えにも熾烈なものがありますが、西川さんは、それらに明確に答えています。もし、嫁と対立する姑が読んでみたら、目からウロコということになるかもしれません。
基本的に、嫁はその実母の分身であると書かれています。今でも人気のあるアニメ「サザエさん」の場合、サザエさんとフネさんの間で喧嘩が起きないのは、この両者が実母・実子の関係だからで、原作者の長谷川町子さんは巧妙に嫁・姑の争いが起きるのを回避しているのです。
嫁・姑の関係では、お互い犯してはいけない領分があるということを西川さんは主張します。
姑がやってはいけない顕著な例として、「甘エビ」を土産にもらったからと、おすそ分けで息子宅に出かけるのは好しとして、不在だったからとスペアー・キーを使って息子宅に入り込み、あとから嫁に嫌な顔をされて愚痴っている姑・・・これは、息子夫婦のプライバシーを暴くことになるので、厳に慎むべしというのです。
また、夫婦間のことや、孫のことに口出しするのも慎むべきであるとしています。価値観の相違も尊重すべきであると。ただ、孫のために作った「定額預金証書」を勝手に解約する嫁がいたなら、それは祖父母の善意を裏切ることになるのだから、非は嫁にあると説いています。
ほかにもいろいろな嫁・姑問題が取り上げられていますが、面白いと思った西洋の諺を一つ・・・「いかなる台所も二人の主婦を入れるほど広くはない」。でも、息子夫婦の食生活が西欧化されて嫁の作る料理が口に合わないなら、別メニューでとおしても構わないとしています。
嫁が旦那を尻に敷いている場合、「メンドリ時を告ぐれば家ほろぶ」「嫁さかしゅうして牛を売りそこなう」という諺を挙げています。女性の通弊として、感情に左右され、大局を見失う、目先の欲に惑わされる傾向があるとのこと。この辺は旦那(即ち息子)にしっかりしてもらうことが大事なようです。
この本、読者との一問一答型になっていますが、嫁に不満な投書が80件、嫁を褒め称える投書が11件・・・やはり世の姑の大半は、嫁に不満を持っているのですね。それは嫁の側からしても同じかも。
今日のひと言:編著者の西川勢津子さんは、1922年生まれ、日本女子大学卒業、家事評論家としての名声を確立。一男一女の母。家政学に明るく、家庭害虫駆除の本も書いておられます。
- 作者: 西川勢津子
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今日の料理 スウィート・マジョラムを使った2品
@トマト・マジョラム乗せ
@マジョラムの混ぜご飯
スウィート・マジョラムは、香り豊かで高貴なハーブ。私は以前、混ぜご飯にすると美味しいことを発見しましたが、以後このハーブを手に入れられず、作らずにいました。最近手に入ったので、やってみたという次第。チャーハンに入れても良いかも。
(2013.06.03)
今日の一句
今われは
俳句の森を
逍遥し
現在、私は「朝日俳壇 秀句選 四者共選二十年」(株式会社朝日ソノラマ:初版1991年)をひも解いているのです。
(2013.06.02)
今日の一首
愛犬の
戯れており
死んだ蛇
場所を移せば
蘇生し逃げる
このヘビは毒蛇の「ヤマカガシ」で、死んだとしか見えませんでしたが、犬が毒を食べてはこまるので、犬の手の届かない場所に移しておき、あとで埋葬してやろう、と思って時間をおいて現地に行ったら、姿を消していました。死んだ振りをしていたのでしょうか?それとも本当に蘇生したのでしょうか?・・・蛇は神秘的な動物です。
(2013.06.03)