雑誌の「ぼったくり度」(R値)・・・ちょいワルオヤジはちょいバカ
*1181342201*雑誌の「ぼったくり度」(R値)・・ちょいワルオヤジはちょいバカオヤジ
世の中に、いろいろな雑誌があふれていますが、その雑誌の編集・営業姿勢を推定する指標として「ぼったくり度」(R値)を導入します。Rとは英語の「rip off=ぼったくる」から取りました。
私は以前P/P値という指標を導入しましたが、
( http://d.hatena.ne.jp/iirei/20061010 「女性雑誌を分類する」 参照)
そのP/P値は「雑誌1ページ当りの値段」を意味します。雑誌による収入は、購読料と広告料に大きく別けられ、広告の割合が多い雑誌ほど、購読料は低く抑えることができるわけです。私が上掲のブログで検討した女性雑誌の場合、この原理がうまく適用できましたが、後にその外のジャンルの雑誌についてP/P値を見たところ、「広告が多いのに、P/P値が高い」という矛盾した雑誌に結構出合いました。これは、購読料と広告料をうまく「ぼったくっている」と解釈されるので、その程度を示す指標としてP/P値にプラスアルファした「ぼったくり度」(R値)を導入するわけです。
そのために、雑誌の全ページのうち、広告にあたるページの割合(com率)を計算して、
「ぼったくり度」(R値)=P/P値*com率とします。なおcomとはcommercialの略です。P/P値もcom率も「割高感」を示すので、両者を掛けて強調します。R値が高いほど、営業上非良心的な雑誌であるということになります。以下実例を見ていきます。
NIKITA(主婦と生活社 06.9月号)
値段 ページ数 P/P値 com率 R値
780円 204P 3.8 88% 3.3
LEON(主婦と生活社 06.12 1.9)
780円 418P 1.9 100% 1.9
格闘技通信(ベースボールマガジン社 06.7.8号)
760円 154P 4.9 10% 0.5
AERA(朝日新聞社 06.7.24増刊)
380円 98P 3.9 31% 1.2
週刊新潮(新潮社 06.11.02号)
320円 190P 1.7 36% 0.6
NIKITAやLEONなどのcom率が異常に大きいでしょう?これは、普通の記事に見えても、実際は広告そのものである似非記事が多いからです。マニュアルのように見えても、よく見ると広告であるということで、私が見たところLEONの実に100%が広告なのです!それなら、株式会社リクルートなどが発行しているCAR情報や住宅情報のように無料=0円で配布しても問題はないはずではないでしょうか。NIKITAといい、LEONといい、「主婦と生活社」もあこぎな商売をするものです。分厚いNISSENだって只ですよ。どこが違うのでしょう?R値が2程度以上の雑誌なら、おおむねぼったくっている、と考えて間違いありません。
格闘技通信の場合、P/P値は4.9と、驚くほど大きいですが、com率はわずか10%で、ほとんどのページが有効な記事です。良心的な営業方針を持っていると思います。
AERAの場合、薄いつくりの本であり、そのほかの週刊誌たとえば週刊新潮と比べてみると、com率はほぼおなじですが、P/P値の違いから、R値はほぼ倍になります。この違いはどこから来るのでしょうか?ひとつには紙質がいいこと、もうひとつには記事のグレードが高いこと・・・などが挙げられますが、私が両者を読み比べたところでは、紙質は確かにAERAのほうがいいけれど、記事のグレードについてはAERAが優れているとは言えませんでした。ページあたり倍の値段を払ってまで買う雑誌ではない、というのが私の結論です。AERAもかなりぼったくっている、ということに落ち着くでしょう。(資料がすこし古くてゴメンなさい:でも、雑誌の経営戦略はそうそう変わるものではないと思っています。)
今日のひと言:今回は、P/P値の導入のときに比べ、単位が複雑になってしまい、解りにくかったかも知れません。それにしても、LEONのキャッチフレーズ「ちょい不良(ワル)オヤジ」とは、よく言ったものです。こんな詐欺のような雑誌を喜んで購入しているようでは「ちょい馬鹿(バカ)オヤジ」と名乗るべきでしょう。
- 作者: 松崎しげる
- 出版社/メーカー: 明日香出版社
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