虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

       *虚像と実像

こんなメールをやりとりしました。

話題提供:「節約生活のススメ」を書いた山崎えり子という人が逮捕されました
ね。離婚していないのに別の男性と同居していて、知人から戸籍を買って婚
姻届を出したということで。著書によると、体の不自由な夫を助けながら節約
生活をして家計を立て直した妻ということだったし、それに、書いていた経歴
(経歴詐称)もドイツ訪問の経験もなかったそうです。私も「節約生活のススメ」
は読みました。80万部を超えるベストセラーです。
ところで、虚像と実像については、私もいろいろと考えるところがあるけど、何
か森下さんははっきりした考えを持っているのでしょうか。・・・といわれても、これ
は、メール一通で説明するには、したりないほど、思うところ、たくさんあるのかな。
でも、先の山崎さん、わかるのは、こういうのは、うそで塗り固めた人生とい
うのではなかろうか?私自身はペンネームを使うとしても、してもいないこと
をしたとか、書けないし、書きたくもないし、書いてもいけないようにも思うけど。

 返答(森下):中学の理科でやる、光の分野でレンズの虚像と実像という話を覚えているかな?レンズと物の位置関係で、見える像が変わってくるという事実を。レンズをものに近づけすぎて焦点距離より短くなると「虚像」になります。この現象は、虫めがね、ルー
ペでものが拡大できる点で、我我の役に立っています。
 この事実から考えると、「実像」も「虚像」も実在のものであり、「虚像」だから
といって蔑むことはない、と結論できますね。
 とは言え、山崎えり子さんの場合、非難を受けるタイプの「虚像」を作っていたわ
けで、僕も不快感を感じます。とは言え、山崎さんが受けるべき罰を受けたあとは、
その体験を書けばまたベストセラーになることもありえますねえ。今後の彼女次第だ
ね、こりゃ。
 虚像を特に好んだのがフランスのスタンダールです。自分の墓碑銘にも嘘を書かせ
ているほどですから。彼のような確信犯くらいになると、むしろ痛快で、普通の人の
「実像」が「虚像」に見えてしまうこともあります。
 今回の話題は面白いので、折に触れお互いの見解を伝えあいましょうね。

   以上です。

今日のひと言:フィギュアスケートも、寝技を採用したらいい。そうすると、トリプル・アクセルどころか、10回転も可能になる。