プーシキンと詩「ロシア語」(Русский Язык)のナンセンス(随想録―8)
プーシキンと詩「ロシア語」(Русский Язык)のナンセンス(随想録―8)
プーシキン(Пушкин)はロシアを代表する詩人。ただ、彼の詩は曲者である。「プーシキン詩集」(青磁社)に、以下のような詩がある。:
復讐心
蜜蜂が熊めのおでこを刺した。
彼女は巣を守って 狼藉者に復讐せんと願った、
ところがどうしたことか?自分の方が針を奪われ死んでしまった。
復讐を渇望するものの運命はなにか?棺である。
137P
この詩は意味深だ。ちょうど今で言えば熊という圧倒的に大きな動物がロシア、か弱い蜜蜂はウクライナだ。この詩、どうにも強大なロシアの肩を持つ類の精神的傾向が感じられる(ロシアは、実際、熊に例えられる)。
また、プーシキンには異常な詩がある。「ロシア語」(Русский Язык:ルスキイ・イジーク)という題名の詩。(以前聴いていたNHKラジオ・ロシア語講座で取り上げられていたのだが、この本には収録されていなかった)この詩は、ロシア語は偉大だという言辞を繰り返すのみ。文化のかけらもなかったロシアを鼓舞する意図だったのだろうが、こんな俗物的な詩、フランスの詩人だったら、口が裂けても吟じないだろう。
ちなみにプーシキンの生没年は1799―1837。フランス詩に(世界に冠たる)象徴詩を根付かせたボードレールなら1821-1867。同時代人だね。ボードレールが大学教授なら、プーシキンは小学生だ。ブルジョア貴族の子女だった・育ちの良さが目立つプーシキン、反体制的だったそうだが、それはおぼっちゃん、広い意味で言えばロシアのツァーリズム(絶対君主制:今のプーチンを支える体制と同根)の信奉者だったと言えるだろう(ツァーリとはロシアの専制君主のこと)。
(2022.03.10)
今日の詩
@エイリアネイション(異化:alienation)
60を超えて体各部が変調してきている
最近では肩の凝りから右腕の痺れにいたる。
神経内科で診てもらうと
頸椎の骨の間にある軟骨が減っていることが
原因であることが解った。
そういえば、若い頃より5cmは身長が低い。
腰椎と合わせ、私は脊椎自体に
爆弾を抱えているのだ。
これは直立歩行をする人間にとって致命的?
いまやまともに机にも向かえないのだ。
好ましからざる変異?
――いや、私はむしろこの変異を「楽しむ」べき。
賢者たちは語る:Enjoy yourself! This is your new age!
イギリスのロックバンド:Killing Jokeはこう歌った。
中国の哲学者:荘子も同趣旨のことを語っている。
(2022.03.19)
今日の5句
ふつふつと
地より湧くのは
スズメ声
(2022.03.12)
枝は折れ
キノコも生えて
花は咲く
病める白梅。
(2022.03.12)
合掌も
穏やかなるか
地蔵様
(2022.03.12)
道端に
クリスマスローズ
君臨し
美しいこの花、キンポウゲ科の毒草です。
(2022.03.13)
初に見た
アオキのツボミ
薄緑
(2022.03.13)